服装や傷の描写では実用的な工夫を重視してきた。例えば、生地の摩耗を自然に見せるために縫い目の乱れや色ムラを入れると、過去の時間が背負われている印象になる。ポーズはあくまで自然に、しかし身体の重心を低く取ること。これはゲームのキャラクターデザインで見かける'The Last of Us'のような生々しい孤独の表現にも応用できるテクニックだ。
ゲームのシナリオで感情を伝える技法として、音楽と沈黙の使い分けが効果的だと思う。『NieR:Automata』では戦闘後の穏やかなピアノ曲が虚無感を増幅させ、逆に無音の場面が孤独を強調していた。
キャラクターの細かな動作も重要で、『The Last of Us』のエリーはプレイヤーが見ていないところで鼻をすすったり、不安そうに足を組んだりする。こうしたディテールが没入感を生む。
選択肢のない会話シーンも感情移入を促す。『Firewatch』ではラジオ越しの会話だけが唯一の人間関係で、声のトーンだけで信頼関係の変化がわかる。UIを極力排除した演出が、感情の揺れを直撃的に伝えていた。