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山歩きの道具としてのゲーターの歴史をたどると、その起源は19世紀後半のアルプス登山に遡ります。当時の登山者は雪や小石の侵入を防ぐため、革製の簡易カバーをブーツに巻きつけていました。
現代のゲーターが確立されたのは1930年代、防水性のあるナイロン素材が登場してからです。画期的だったのは『Vibram』ラバーソールと組み合わせることで、急勾配でも滑りにくいシステムを完成させた点。『エベレスト遠征隊』が採用したことで一気に普及し、現在では軽量化と透湿性を追求したゴアテックス製が主流になっています。雪稜歩行だけでなく、砂漠での砂よけとしても活用される汎用性の高さが特徴です。
最近面白いと思ったのは、北欧のトレイルランナーがゲーターを防寒ではなく、マダニ対策に使っているという話。用途の広がりこそ、この装備の真価と言えるでしょう。
ゲーターの進化で興味深いのは素材革命よりも、実は締め具合の調整技術の発展です。初期の紐式から1975年に登場したフック式、さらに現在のマジックテープ併用型へ。この変化により、深雪歩行時の『雪食い』現象が激減しました。
『アコンカグア』登頂時に試した最新モデルは、内側にシリコンスポンジが埋め込まれており、地形に合わせて自然に密着する仕組み。メーカー各社が競うように開発している可動式アジャスターは、くるぶしの動きを妨げないよう計算尽くされた設計です。雪庇の上を歩く時、足首の自由度こそが安全確保の鍵になることを実感しました。
ゲーターが必要な理由を考える時、富士山の吉田ルートで実際に起きた遭難事例が参考になります。2018年、7月の登山で突然の降雹に見舞われたグループが、ゲーター未着用で足首まで雪に埋もれ動けなくなった事故がありました。あの時ゲーターがあれば、靴内への浸水を防ぎ体温低下を遅らせられたかもしれません。
岩場を歩く時も同様で、細かな礫が靴に入ると歩行リズムが狂い転倒の原因に。特に『ダウンヒル』では、前傾姿勢になるため debris の侵入リスクが3倍になるという調査データもあります。軽量化ブームでゲーターを省略する人も増えていますが、標高差のある縦走では依然として必須アイテム。最新のウルトラライトモデルなら90g程度で収まるため、荷物の重量を気にする必要もありません。