楽曲を通して感じるのは、
きゅうかの「内側で動く瞬間」を中心に据えているということだ。
音の配置を見ると、静かなピアノや低めの弦楽器で内省や回想を描き、そこから徐々にオーケストラが広がって感情の高まりを表現するパターンが繰り返されているのが分かる。私はその繋がり方が好きで、場面の切り替わりや心理の揺れを音で補強する作りになっていると感じた。
特に、過去の断片がフラッシュバックする場面や、決断を下す直前の静けさに音が寄り添うことが多い。対比として軽やかなモチーフが日常の場面に、重厚な和音が緊張や別れの場面に割り当てられており、全体としてきゅうかという人物の内面劇を中心に組まれたサントラだと私は解釈している。比較的近い印象を持った作品として、'秒速5センチメートル'の楽曲配列のように感情の線を丁寧につなぐ設計が感じられるのも興味深い。