ページをめくるたびに、あの三つ頭の犬の描写がいつも目に浮かんでしまう。'ハリー・ポッターと賢者の石'における
フラッフィは、明確なルーツを持った存在として描かれていて、古代ギリシャのケルベロス神話を下敷きにしつつ、魔法界の生態系に根を下ろしている。原作ではフラッフィをハグリッドが飼っていて、「ギリシャ人からもらった」といった旨の言及があり、神話的生物が現代の魔法使いによって保護・飼育されているという背景が示される。
その位置付けが面白いのは、単なる怪物ではなく“守護”という役割を負わされている点だ。賢者の石を守るための番犬として使われることで、神話と物語上の機能が結びつき、フラッフィの存在理由が強固になる。音楽で眠らせられるという弱点も、伝承化された生物像と人間側の機知が交差する象徴になっていると感じる。こうした起源描写は、神話の再解釈と個人的な愛着が混ざり合った結果だと受け取っている。