あの夜を捧げて笑われたけど、私はMITに合格した
高校の卒業ダンスパーティーの前日、イーサンに誘われて、私は初めてを捧げた。
彼の動きは荒くて、一晩中求められ続けた。
正直、痛みもあったけど……それ以上に、心は甘い幸福感でいっぱいだった。
だって、私はずっとイーサンに片思いしてて――ようやく、その想いが叶ったんだ。
「卒業したら結婚しよう。ルチアーノ家を継いだら、お前をいちばん高貴な女にしてやる」
そう、彼は私の耳元で囁いた。
翌朝、イーサンは私を腕に抱きながら、私の養兄にふたりの関係を明かした。
私は照れながら彼の胸にもたれて、世界でいちばん幸せな女だって思ってた。
……その時までは。
突然ふたりがイタリア語で話し始めて――
養兄のルーカスが、からかうように言った。
「さすがヤング・ボス。初回からクラス一の美少女が自分からお誘いとは。
で?うちの義妹の味はどうだった?」
イーサンは気だるそうに返した。
「見た目は清純だけど、ベッドの上じゃとんでもなかったな」
周りから笑い声があがる。
「じゃあ、これからは妹って呼べばいい?それとも義姉さん?」
でもイーサンは眉をひそめた。
「義姉?それはない。チアリーダーのシルヴィアを狙ってるけど、テクに自信なくてな。だから先にシンシアで試しただけ。
俺がシンシアと寝たことは、シルヴィアには絶対言うなよ。あいつ、気分を害しそうだからさ」
……だけど、彼らは知らなかった。
私は、ずっと彼のそばにいるために、こっそりイタリア語を勉強してたことを。
全部、聞こえてた。
私は何も言わなかった。ただ、静かに心の中で決めただけ。
大学の進学先――
カリフォルニア工科大学から、マサチューセッツ工科大学に、志望を変えることを。