あなたと永遠の別れを
婚約者に人前で結婚を破棄された翌日、私は飛行機に乗って江松市へ向かった。
彼は恋人を慰めながらこう言った――
「早乙女清枝(そおとめ きよえ)は小さい頃から甘やかされて育った。少し騒げば自分で戻ってくるさ。君が気に病むことはないよ」
友人たちは、私がなおも墨谷基成(すみや もとなり)に未練を抱き、また何か騒動を起こすのではと恐れていた。
だが、私はすでに、別の人の求婚を受け入れていたことを彼らは知らなかった。
今回の江松行きは、嫁ぐための旅だったのだ。
結婚式が近づく中、私は基成からこれまで贈られた物を一つ残らず箱に詰めて送り返した。
かつて宝物のように大切にしていた、あの想い出のネックレスさえも。
これからは、時だけが流れ、あなたとは二度と交わらない。