元夫の愛は期限切れです
夫・藤沢直哉(ふじさわ なおや)の誕生日。
私、藤沢夏帆(ふじさわ かほ)はバラの花束を抱え、彼を驚かせるつもりで、足音を立てないように郊外の家へ入った。
すると、私たちの寝室から、男女がじゃれ合う声が聞こえてきた。
西園綾香(にしぞの あやか)が、甘えた声で言った。
「夏帆さん、今日はこっちには来ないって聞いてますけど……大丈夫ですよね?」
直哉は、私には聞かせたことのない優しい声で答えた。
「心配しなくていい。あいつは俺に逆らえない。今日はこっちに来るなって言ってある。だから来ないよ」
床には、脱ぎ散らかされた服と、崩れたケーキがあった。
私は二人に声をかけることも、問い詰めることもせず、そっとドアを閉めて家を出た。