愛は飛蛾のように、灰となる余生
浅燈は、五年間片想いをしていた隣の家に住んでいた年上の幼なじみ・倫と付き合って一年になる。
舞踊専攻の彼は、いつも彼女に難易度の高い「遊び」を持ちかけてきた。
彼女はずっと「想いが通じた」と思っていた。
──あの日、彼とその友人たちの会話を偶然聞いてしまうまでは。
「倫さん、唐鎌で一年も練習してりゃ、もう相当腕も上がっただろ?未怜先輩を落とすためにそこまでやるとか、マジで執念深いな」
「練習だけじゃないさ、復讐も兼ねてるだろ。去年のダンスコンテストで先輩は『優勝したら付き合う』って言ってくれたのに、唐鎌が邪魔して優勝さらったからな」
その瞬間、浅燈はようやく気づいた。
倫が自分と付き合ったのは、彼の想い人を遠ざけた自分への報復のためだったのだと。
彼女はすべてを悟り、静かに彼の元を去った。
けれど倫は、狂ったように彼女の痕跡にすがりつき、今でも一緒にいるかのように幻想を抱き続けていた──