私の死後、妹の嘘がすべて暴かれた
妹の白石葵(しらいし あおい)は幼い頃からうつ病を患っていて、医師からは、できるだけ刺激を与えないようにと言われていた。
だから、私・白石雫(しらいし しずく)の人生は、音を立てることさえ許されなくなった。
葵を刺激しないために、家では笑うことも、泣くこともできなかった。けがをしても、痛いと声を上げることさえ許されなかった。
両親はいつも申し訳なさそうな顔で、私を抱きしめた。
「雫は本当にいい子ね。葵の病気は、家族みんなで支えていかないといけないの。あなたは元気で、しっかりしているんだから、もう少しあの子に譲ってあげて。ね?」
あの日、私はうっかりコップを倒してしまった。その大きな音で、妹はたちまち取り乱した。
父は初めて私に手を上げた。怒鳴り声が飛んだ。
「少しは気をつけられないのか!葵を死なせたいのか、お前は!」
私は父に突き飛ばされて床に倒れ、後頭部をテーブルの角に強く打ちつけた。血が流れ出した。
けれど家族全員が、悲鳴を上げる妹の周りに集まり、誰ひとり私を見なかった。
私は冷たい床に横たわったまま、意識が少しずつ遠のいていった。
みんな、妹の気持ちが何より大事なのだと思っていた。私のこの程度のけがなら、少しくらい後回しにしてもいいと。
でも彼らは知らなかった。
頭蓋内出血は、待ってなどくれないのだ。