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月明かりの下、君はもういない

月明かりの下、君はもういない

結婚して5年。安西彩葉(あんざい いろは)は、ようやく夫である安西勲(あんざい いさお)が、自分のことを愛し始めてくれている、そう感じていた。 最初は他人行儀な勲だったが、時間の経過と共に、自分のアレルギーの薬を覚えてくれたり、手料理も食べてくれるようになった。それに、友人にも自分のことを「妻」として紹介してくれるようになったのだから。 一緒に過ごしていく中で、氷のようだった勲の心もようやく溶けたのだと、信じていた。そして、自分の亡き姉である入江柚葉(いりえ ゆずは)への想いも、勲は断ち切り、やっと自分のことを見てくれるようになった……そう思っていた。 そんなある日、諦めの悪い幼馴染みの中島英樹(なかじま ひでき)によって彩葉は役所の前まで連れ出され、彼からプロポーズを受けた。 彩葉が、自分は既婚者だと断ろうとした、まさにその時、職員の言葉が聞こえてきた。 「安西彩葉様。3日前、ご主人の安西様よって、すでに離婚届が提出されています」 その日の夜、勲は柚葉にそっくりな女性を家に連れてきて、笑いながらこう紹介した。 「彼女は山口渚(やまぐち なぎさ)。これから、うちで一緒に暮らすことになったから」 彩葉はついに悟った。どんなに頑張っても、決して届かぬ想いというものがあるのだと。 そして、毎年彩葉が離婚するのを待っていた英樹が、10回目のプロポーズに現れる。 「これで安西との関係も終わったんだ。今度こそ、俺のこと見てくれるよな?」 彩葉は英樹の手からバラの花束を受け取ると、二度と振り返ることなく、勲のいない新しい人生へと歩み出したのだった。
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三年の想いは小瓶の中に

三年の想いは小瓶の中に

結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
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花紋の少年と魔法図書館

花紋の少年と魔法図書館

この世界の魔法は、本に記された“言葉”を読むことで発動する。 同じ詩でも、読む者の感情や記憶によって、まったく異なる魔法が咲く。 中でも“花紋”を持つ者は、書かれていない言葉すら咲かせる特別な存在――。 幼き日の魔法事故で親友を喪った少年・ユウリは、ただ一つの願いを胸に旅に出る。 「もしどこかに、“言葉で死をほどく魔法”があるなら——」 たった一人の親友が残した“読めなかった言葉”を、もう一度届けるために。 伝えられなかった想い。咲かなかった詩。 その全てを抱えて、少年は“読む”旅を始める。 魔法と言葉が織りなす、やさしくも苛烈な異世界ファンタジー──。
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黒瀬部長は部下を溺愛したい

黒瀬部長は部下を溺愛したい

イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブショートストーリー。 ※キャラクター、イラストはAIです
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九年という名の、偽りの愛

九年という名の、偽りの愛

誕生日の日、私・竹村静子 (たけむら しずこ)のスマホにあるスレッドが流れてきた。 【本当の「愛の献身」って何だと思う?】 そのスレッドには、すぐにスレ主の自問自答が続く。 【この質問なら私が答えられるわ。あるチョロ男が、私に近づくために、親友の彼氏になったの。 大学時代、私がブランドバッグを買うお金がなくて困っていた時、クラス委員長だった彼は私の親友の奨学金申請書をこっそり取り下げて、代わりに私を推薦してくれたわ。私が奨学金をゲットした時、そのお馬鹿な親友は「自分がどこか条件を満たしてなかったのかな」なんて悩んでたっけ(笑)。 その後、親友が大学院の推薦枠を取ったことが公示された。私が「悔しい」って一言漏らしたら、彼がすぐに「彼女は推薦の条件を満たしていない」と大学に通報してくれたの。結局、親友は二回も試験を受ける羽目になって、やっと合格できたってわけ】 行間から滲み出る「偏愛されている自分」への優越感に、コメント欄は批判の炎上となっていた。 しかし、スレ主は恥じるどころかそれを誇りに思っているようで、傲慢にもダイヤの指輪の写真をアップした。 【あんたたちがいくら妬んでも無駄よ。今日は親友の誕生日なんだけど、彼は私にダイヤの指輪をプレゼントしてくれたわ。で、親友がもらったのは私の「おまけ」の指輪ってわけ。 ていうか、私の一言で彼、彼女の誕生日祝いを後回しにしちゃったし】 スマホが突然振動し、彼氏である今井亮平(いまい りょうへい)からLINEが届いた。 【静子、仕事でトラブルが起きちゃってさ。遅刻お許し券を使わせてくれ】 【誕生日プレゼントはベッドサイドに置いてあるよ。気に入ってくれるといいな】 私はプレゼントボックスを開けた。中には銀色のシンプルなプレーンリングが静かに横たわっていた。 私は何かに操られるようにQRコードスキャナーを起動し、箱についているコードを読み込んだ。画面には「景品」の二文字と、さっきのスレッドにあったものと全く同じダイヤの指輪が表示された。 奨学金、大学院試験、誕生日、そして景品の指輪。 私は全てを悟った。スレッドに書かれている「大馬鹿者の親友」とは、私のことだったのだ。
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夜明け前に、愛憎は幕を下ろす

夜明け前に、愛憎は幕を下ろす

「申し訳ありません、宮下さん。今回の体外受精も、失敗でした」 病院の廊下で、宮下朝香(みやした あさか)はぼんやりと検査結果を見つめていた。いつの間にか、頬が冷たく濡れていた。 これで、もう八回目だった。 結婚してから四年、朝香は「妊娠しにくい体質」と診断された。 子どもが欲しくて、八回の体外受精を試みた。けれど、どれもさまざまな理由で失敗に終わった。 彼女と田中雅文(たなか まさふみ)の愛って、やっぱり、実らない運命なの?
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ケーキ一口で夫が息子を地下室へ

ケーキ一口で夫が息子を地下室へ

野村悠斗(のむら ゆうと)の義姉の息子・野村浩平(のむら こうへい)の誕生会の時のことだった。その日、私の息子・野村和也(のむら かずや)はうっかりケーキを一口、浩平よりも先に食べてしまった。 激怒した悠斗は、和也を地下室に放り込んだ。 「お前ってやつは、何でもかんでも浩平くんのものを取りやがって!今日は浩平くんの誕生日なんだぞ。なのに、泣かすとは。ケーキ一口も我慢できないほど、腹が減ってたのか?」 そう言って、彼は和也の口をガムテープで塞ぐ。 「ここで反省してろ!3日たったら出してやるから!」 地下室には一筋の光さえ差し込まない上に、毒蜘蛛まで出た。和也のような小さな子供にとっては、半日も耐えられない場所だった。 私、野村絢香(のむら あやか)は和也を許してほしいと涙ながらに懇願したが、悠斗の心は微塵も動かなかった。 「そんな手が通用するとでも思ってるのか?玲奈さんが一人で子供を育てるのがどれだけ大変か、何度も言ってるだろ。なのに、お前は聞き入れるどころか、ますますあの親子をいじめて……いい加減にしろ!」 私は悠斗のズボンの裾を掴んで膝をつき、二度と野村玲奈(のむら れな)親子の前に姿を見せないと約束するから、和也を出してほしいと訴えた。 しかし、悠斗はズボンの裾を引き抜き、私を蹴り飛ばすと冷たく言い放った。 「そんな和也のことが心配なら、お前も一緒に反省すればいい。3日後には玲奈さんたちを海外に送り出す予定だ。だがら、お前たちが二度と彼女たちに嫌がらせができないようになってから出してやるよ」 玲奈親子を海外へ送り届け、優雅な生活を整えてからようやく私と息子のことを思い出し、手土産を持って迎えに来ようとした悠斗に、秘書から電話が入る。 「奥さんと和也くんが……見当たりません!」
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結婚三年目、夫が裏切った

結婚三年目、夫が裏切った

長瀬渉(ながせ わたる)が破産した時、私は彼と共に家賃の安い地下室に引っ越し、一日三つのアルバイトを掛け持ちしながら借金を返した。 その後、渉は再起を果たし、プロポーズの際に私に「本当の居場所を与えてやる」と約束した。 しかし結婚三年目、私は偶然家の不動産登記簿を目にした。所有者欄には彼の元カノの名前が記されていた。 彼は目を赤くして、「彼女には借りがある」と説明した。 私はうなずくと、狭い地下室に住んでいた頃、テーブルいっぱいに積まれた借金返済の督促状の写真を彼の前に突き出した。 「彼女への借りはこの家で返したわね。じゃあ、私へのは?」
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五年の愛は風に流された

五年の愛は風に流された

「やるの?」 親友に送るはずだったネイルの情報を、間違えて親友の兄に送ってしまった。10分後、その兄から返信が来た。 「下にマイバッハの車が止まってる。すぐ降りてこい」 まさか、年齢だけじゃなく、それ以外もこんなに大きいとは思わなかった。 あの夜は甘い蜜のような時間が流れ、理性が吹き飛びそうになるほどだった。 目が覚めたあと、彼は責任を取ると言ってくれた。 彼は本当に私を溺愛してくれた。月と星は無理でも、それ以外ならどんな願いも叶えてくれる人だった。でもたった一つだけ、人前では絶対に彼女として認めてくれない。 5年後、彼は一人の女を連れて帰ってきた。 その女の腰に腕を回し、私に向かって「俺の彼女だ」と言った。 私は彼に聞いた。「それなら、あなたを5年間待ち続けた私は何だったの?」 男は気怠そうに笑いながら、私の全身を凍りつかせるような言葉を吐いた。 「待ってたって?俺、君に待ってろって言ったか? 夏目寧子(なつめ ねいこ)、これからはそんなふうに一途に誰かを好きになるのはやめなよ。正直、怖くなる」 なるほど、私がすべてを捧げた想いは、彼にとっては避けたい厄介なものだった。 彼に連絡しないようにして、諦めることを学んで、最終的には離れようとしている。 けれど一週間後、私が結婚式で別の人と誓いの言葉を交わしているとき…… かつて情熱的だった彼は、列席者の中で目を赤くしていた。
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結婚七年、もう彼を捨てる

結婚七年、もう彼を捨てる

七度目の結婚記念日。私はたった一人で食卓に向かい合っていた。 スマホがふいに光を放った。ロック画面には、未読のメッセージが二件。 一件は夫、遠野圭(とおのけい)から。【今夜は会社で残業だ】と。 もう一件は匿名メッセージで、【圭さん、マジでエグいって。奥様、メンタル大丈夫そ?】と、添付されていたのは、男女が熱くキスを交わす写真だった。 記念日のために用意したケーキの蝋燭を吹き消し、私は気だるく目を閉じた。 【離婚しましょう】そう、彼に送った。
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