結婚式を雪崩で潰した真犯人を庇う夫、さようなら
トップクラスの弁護士である夏川明日香(なつかわ あすか)の結婚式は、雪崩により台無しになった。
明日香の夫、夏川翔太(なつかわ しょうた)は彼女をかばって重傷を負い、意識不明となった。
この雪崩は事故ではなかった。翔太の母親を死に追いやった仇の娘・新井瞳(あらい ひとみ)が、仕組んだことだった。
真犯人を突き止め、寝る間も惜しんで証拠を集めて裁判にかけ、ようやく明日香は病院へ翔太に会いに行くことができた。
しかし病室の前で彼女が見たのは、すべてを壊した真犯人を激しく抱きしめ、口づけを交わす翔太の姿だった。
彼は咎めるような口調でありながら、その言葉の端々には深く溺れるような想いが満ちていた。
「瞳、お前は本当に残酷な女だ。分かってただろ。お前さえ望めば、俺はすぐにお前と結婚するって……」
翔太はずっと前から、母の仇の娘を愛していたのだ。
自分の真っ直ぐな想いは、2人の関係においてただの当て馬でしかなかった。
これまでの努力が、すべて無意味に終わった瞬間、明日香は騒ぎ立てることなく、即座に離婚届を作成し、翔太のもとを完全に去った。
再会したとき、明日香のそばに立つ別の男の姿を見て、翔太は声を上げて泣き出した。
「明日香、俺は……後悔しているんだ」