今さら復縁?私はもう双子の母になります
みかんしずく逆転ドロドロ展開愛人ひいき/自己中妻を取り戻す修羅場スカッと後悔
夫・桜井颯(さくらい はやて)が愛人の妊娠を告げてきたのは、私の誕生日だった。
その日、颯は水瀬杏奈(みなせ あんな)を家に連れてきた。彼女の腹は、服の上からでも分かるほど、わずかに丸みを帯びていた。
「杏奈が妊娠した。彼女と腹の子には、ちゃんとした立場を用意してやりたい」
颯は少しも悪びれず、当然のことのように言った。
「だから悪いが、一度だけ籍を抜いてくれ。
安心しろ。子どもが生まれたら、またお前と籍を入れ直す」
私は取り乱すこともなく、ただ静かにうなずいた。
そしてその日のうちに、颯と離婚届を出した。
役所を出ると、颯は私の従順さに満足したようにうなずいた。
「この間、おとなしくしていればいい。杏奈が子どもを産んだら、俺のほうから連絡する」
けれど次の瞬間、その声は冷たくなった。
「ただし、余計なことをして杏奈を困らせるようなら、復縁の話はなかったことにする。分かったな」
私は素直にうなずいた。
その日、私は桜井柚菜(さくらい ゆな)ではなく、夏川柚菜(なつかわ ゆな)に戻った。
子どもが生まれたら、また籍を入れ直す。
颯はそう言っていたけれど、杏奈が一人目を産み、やがて二人目の子どもが生まれても、彼が私を迎えに来ることはなかった。
でも、もうどうでもよかった。
私ももうすぐ出産を控えている。
お腹の双子は男の子と女の子で、私もじきに一男一女の母になる。
むしろ今さら颯が現れて、今の穏やかな暮らしをかき乱されるほうが怖い。
なにしろ、今うちで私を待っているあの人は、ひどく嫉妬深い。
一度すねると、機嫌を直してもらうのが本当に大変なのだ。