陽の下で散る愛
結婚記念日、本間郁人(ほんま いくと)は式場で起きた爆発で、乗り込んできた初恋の相手・黒川五十鈴(くろかわ いすず)を庇った。
私・本間真希(ほんま まき)は緊急手術で、そこへ行けなかった。
再び郁人に会った時、彼は血まみれになり、手術台で意識を失っていた。
後日、ある人が郁人に、なぜ見ず知らずの人を命懸けで助けたのかと尋ねた。
「妻は人命救助に全力を尽くす医者だ。臆病な男を好まないはずだ」
周りの人々は感動した。
しかし、彼が一番愛してくれた時、私は静かに身を引き、そっと去った。
一か月後、国際医療隊の出発式で、記者が私にインタビューした。「本間先生、あなたのキャリアで最も悔いのないことは何ですか?」
私はカメラを見つめ、冷静に答えた。「夫が昔の恋人のために爆発の衝撃波を防いだことを知っていても、私は手術台の前に立ち、自らの手で彼の折れた骨を繋ぎました」