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さよなら、帰り道を忘れた人

さよなら、帰り道を忘れた人

夫の高橋光希(たかはし みつき)は極度の方向音痴で、ナビすらまともに読めない。結婚式の時も道に迷って遅刻し、結果として式が三日も延期になった。 記念日にも道に迷い、丹精込めて作った料理はすっかり冷めきってしまった。 妊娠八ヶ月の私、星野穂香(ほしの ほのか)がトイレで転び、必死に助けを求めた時でさえ、彼は焦りながらも、五年間も通い慣れたはずの帰り道でまたしても迷い、子供の火葬を終えた頃、彼はようやく姿を現した。 鬱々と塞ぎ込む私を、周りの人たちは慰めた。 「あいつは馬鹿だから道を覚えられないのよ。わざと遅れたわけじゃないんだから、夫婦喧嘩なんてやめなさい。子供はまた授かるわ」 私はただぼんやりと頷いた。 しかし、亡くなった我が子の葬儀に向かう途中、光希は運転手を使わず、いっさい迷うことなく迂回し、アシスタントの佐藤翠衣(さとう すい)の家へと向かった。 「穂香、葬儀まではまだ時間があるから、俺、先に翠衣を空港まで送ってくるよ。彼女、実家の方で急用があるらしくて急いでるんだ」 私に拒否する隙すら与えず、車はすでに彼女の家の前に着いていた。 翠衣は手慣れた様子で助手席に乗り込み、発する一言一言が私の胸を容赦なくえぐった。 「私のしつけ、完璧でしょ?私の家への道を忘れたりしたら、ズボンを剥ぎ取ってお尻を叩いてやるんだから」 彼女は後部座席にいる私に気づくと、恥ずかしそうに舌をペロリと出した。 「今のは冗談だよ」 私はこみ上げる怒りを必死に堪え続けた。しかし光希は翠衣を送り届けた後、またしても葬儀会場への道を忘れ、結果として葬儀の開始を三十分も遅らせた。 子供の骨壺を両手に抱えながら、私の心は完全に死んだ。 誰かにとっての「例外」になれる人は、確かに存在する。ただ、それが私と私の子供ではなかったという、それだけのことだ。
Short Story · 恋愛
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振り返ることなく

振り返ることなく

藤原和也と共に過ごした五年。 私は彼の信仰を尊重し、海外留学の機会を諦めた。 誰にも知られることのない白椿のように、ただ従順に彼の傍らに寄り添い続けた。 だが五年目、彼は別の女を愛した。 その女は太陽みたいに明るくて、まるで本物の白椿のようだったという。物分かりのいい女のふりをしている私とは、まるで違うと。 彼は彼女のために戒律を破って還俗し、仏堂を去った。 あまつさえ、女の妊娠が分かると、結婚まで約束した。 どうしようもない無念を胸に、私は噂の「白椿」を一目見に行った。 その夜、母の頭を銃弾が貫く写真が、私の元へ送りつけられた。 「これ以上恵の邪魔をするなら、次に写真に写るのはお前だ」 胃の腑がひっくり返るような衝撃に、私は気を失うまで吐き続けた。 次に目覚めた時、私は「恵」という存在を知った日に戻っていた。 すぐさま母を呼び戻し、海外のトップ校へ電話をかける。 「三日後、そちらへ向かいます」
Short Story · 恋愛
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互いの身代わり

互いの身代わり

「真実か挑戦か」のゲームで、私は「真実」を選んだ。 私は一枚の紙を引いた。そこには、【あなたたち、いつ結婚するつもりなの?】と書かれていた。 友人たちは一瞬で静まり返った。 私は隣にいる江崎一輝(えざき いっき)の方へと身を向け、彼の表情から答えを読み取ろうとした。 そのとき、一輝がテーブルに置いていたスマホが光り、画面には南川雫(みなみかわ しずく)からのメッセージが表示された。 【一輝、ドナーが提供をやめたって、医者が言ったの。すごく怖いよ】 一輝は立ち上がり、後ろの椅子に掛けていた上着を取ると、皆に軽く謝って、足早に店を出て行った。 私の気まずさなんて、彼はまったく気にも留めなかった。 私は表情を整え、笑いながら言った。「何を見てるのよ、今月末にご祝儀をもらうから、ちゃんと来てお祝いしてね」 場の空気は一気に明るくなった。 「ほらな、一輝はわざとクールぶってるだけだって思ってたんだよ」 周囲の祝福の声が私を包み込む。けれど、私は少しも嬉しくなかった。 だってそれは結婚式なんかじゃなく、私が自分のために用意した「葬式」なのだから。
Short Story · 恋愛
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猫被り女キラー

猫被り女キラー

番組に出演する前、私はカメラの前に立つだけで足がすくむほどの重度な人見知りだった。 そんな私が、未来の姑に背中を押され、一念発起してバラエティ番組に出演することに。 ところが、婚約者の元カノがまさかの「猫被り女」だったなんて知る由もなかった。 私は彼女の策略を逆手に取り、絶対に追い詰めてやると心に決めた。 元カノは涙を浮かべて私に訴えかけた。「ねぇ、凜華ちゃん、一杯のお水を汲むくらいのこと、イヤなの?」 私はニッコリ笑いながら、彼女に水をぶっかけた。そして、自分の太ももを思いきり叩き、涙ぐみながらこう言い放った。 「お姉さん、こんなドジな私のこと、きっと許してくれるんですよね?」 元カノは歯を食いしばりながら、必死に怒りを抑え込んでいた。
Short Story · ラノベ
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晴れ間の行方

晴れ間の行方

幼なじみの浅田浩平(あさだ こうへい)と兄の小林悠斗(こばやし ゆうと)、この二人が、新しくやってきた貧しい転校生、入江薫(いりえ かおる)に心を奪われてしまった。 浩平は私との婚約を反故にした。 「小林美咲(こばやし みさき)なんてお嬢様、俺には荷が重すぎるよ」 そう言い放った。 一方の悠斗は、亡き母の遺言を忘れてしまった。 「薫は本当に可哀想だ。美咲への愛情を少しだけ分けてあげるのは、悪くないだろう?」 そう言うのだ。 私の誕生日には、浩平は薫のもとへ駆けつけた。 母の命日には、悠斗は薫とその母親と、楽しげに食事をしていた。 そして、二人が薫を連れて、港市で開催されるデザインの授賞式に出席している時、私は、三人の思い出が詰まったあの家に火を放った。 死を偽装して、東の都をあとにしたのだった。 けれど、私の死の知らせが港市に届くと、とっくに私を見限っていたはずの二人の男は、狂ったようにその夜のうちに東の都に戻り、焼け跡にひざまずき、声をあげて泣き崩れた。
Short Story · 恋愛
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裏切りの契り。 〜涙に濡れた愛の果て〜

裏切りの契り。 〜涙に濡れた愛の果て〜

15歳の橘美咲(たちばな みさき)は、一場の惨烈な交通事故で両親を同時に失った。もう一台の車には、日本屈指の財閥「神宮寺グループ」の当主夫妻が乗っており、美咲の通報と救護によって命を取り留めた。 神宮寺夫妻はこの恩を忘れなかった。15歳の美咲を東京の貴族学校に入学させ、18歳の兄 橘英司(たちばな えいじ) をアメリカ・マサチューセッツ工科大学へ送り、金融を学ばせた。 さらに彼らは、マスコミの前で堂々と宣言する—— 「美咲が18歳になったら、我が息子神宮寺哲也(じんぐうじ てつや)と結婚させる」 しかし、その時16歳だった哲也には、すでに心に決めた相手がいたーー。
恋愛
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隠れ御曹司の溺愛に身も心も包まれて

隠れ御曹司の溺愛に身も心も包まれて

この春から配属され一ヶ月が過ぎたところ。彼の言葉で脳内に桜の花びらが舞っているかのような感覚に陥った。 ヒロイン  27歳  相野 真歩(あいの まほ) ✕ ヒーロー 22歳 年下イケメン隠れ御曹司 岩本 圭介(いわもと けいすけ) 学生時代から付き合っていた恋人がいるヒロイン。 同棲生活し職場も一緒。 ところがある日、他の女の人に「家政婦代わりに住んでもらっている」と話しているのを聞いて深いショックを受けていると…… 年下イケメン隠れ御曹司の溺愛攻撃が始まった!
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寄り添う者

寄り添う者

主人公は色々な人と出会い、その人の人生に触れていく。 それが主人公の抱える孤独と向き合うことで⋯⋯。
文芸
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桜の生贄

桜の生贄

穏やかな日常は、唐突に、そして無慈悲に断絶した。  目を覚ますと、そこは見知らぬ閉鎖空間。  戸惑うユーリと大輝の2人の前に立ちはだかるのは、巨大な大鎌を携えた赤い眼の殺人鬼の影だった。  逃げ場のない檻。狂ったルール。   「……ここから、出られるのか?」  絶望の底で、心優しい少年だったユーリの瞳から光が消えていく。  迫りくる死の恐怖と、剥き出しの殺意。  極限状態に追い詰められた少年たちが辿り着くのは、生存か、それとも。  命を懸けた、残酷な脱出劇の幕が上がる。
ホラー
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心に陽だまり

心に陽だまり

私は神宮寺雪菜(じんぐうじ ゆきな)。 妊娠五か月のとき、夫の神宮寺修一(じんぐうじ しゅういち)は、初恋の女――黒沢美波(くろさわ みなみ)のことで、四か月ものあいだ一度も健診に付き添ってくれなかった。 そして五度目の健診の日も、結局また来なかった。 電話越しの声は冷たく、その奥にわずかな苛立ちが混じっていた。 「子どもは俺だけのもんじゃないだろ。母親になるんだから、お前がもう少し頑張ればいい話じゃないか。俺がいないと何もできないのか?」 私は何も言わなかった。 ただ、待合室のテレビに映っている―― 美波に向かってやさしく微笑んでいる修一の姿を、黙って見つめていた。 そして、小さく。 「……うん」 とだけ返した。 修一は私の様子がおかしいことに気づいたらしく、まだ何か言いかけていたけれど、その前に私は通話を切った。 近くでは看護師たちが、修一が美波のために花火を打ち上げたというニュースの話で盛り上がっていた。 ようやくこちらに気づいた看護師が歩み寄ってくる。 「神宮寺さん、妊婦健診はこちらになります」 私は静かに首を横に振った。 そして、落ち着いた声で言った。 「結構です。一週間後の中絶手術を予約してください」
Short Story · 恋愛
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