試す彼女、99回目で御曹司に捨てられる
はなまる日和男性視点夫を取り戻す修羅場御曹司スカッとひいき/自己中逆転
一ノ瀬澄佳(いちのせ すみか)は昔から、人を試すのが好きだった。
大学を出たばかりの俺に、一億の住宅ローンを背負わせようとしたのも、その一つだ。
俺が断ると、澄佳はすぐに、大学時代から人気者だった藤森雅彦(ふじもり まさひこ)へ、一億を超える豪邸を一括で買い与えた。
そして豪邸の権利書を手に、俺へ告げた。
「謹也、実は私、お金に困ってなんていなかったの。貧しいふりをしていたのは、あなたを試すためよ。
でも残念ね。あなたは不合格だったよ。もう、終わりにしましょう」
俺――遠野謹也(とおの きんや)は、ただ笑って背を向けた。
奇遇だな。
俺も国内一の資産家の息子で、貧しいふりをしていただけだ。
四年後、俺たちは富豪ランキングサミットで再会した。
その時の澄佳は、富豪ランキングの五十位以内に食い込んだばかりで、雅彦と腕を組んで会場へ入ってきた。
彼女は、ブランド物に見えない地味な服を着た俺が、カイエンのキーを手にしたまま子供を抱いてあやしているのを見て、どこかの家の運転手だと決めつけたらしい。
そして、嘲るように笑った。
「謹也、私に会うためにここまで来たの?ずいぶん必死なのね。
でも、もう無理よ。私は富豪ランキングに名を連ねる側で、あなたは人に雇われる側。今さら私に手が届くと思わないで」
俺は相手にしなかった。
ただ、親父にどうしても顔を出せとうるさく言われて来たことだけが、ひたすら恨めしい。
せっかく空けた、息子と過ごすための一日が、こんな場所で潰れてしまったのだから。