偽りの愛はいらない。天才医師はクズ夫を捨てる
木村真奈美(きむら まなみ)は、妊娠4ヶ月の時、夫である木村翔太(きむら しょうた)が書いた遺書を見つけた。
手紙の日付は3日後になっていた。3日後といえば、翔太が危険な任務に向かう日だった。
【この手紙をお前が読んでいるということは、俺はもうこの世にいないのだろう。でも、泉……どうか悲しまないで】
真奈美の指は震え、妊娠中の腹部がぎゅっと締め付けられるように痛んだが、ひたすら続きに目を通す。
【俺の遺産は、すべてお前に受け取って欲しい。もし真奈美から何か言われたら、こう伝えて。真奈美と結婚したのは、ただ責任を取るためだった、と】
一枚ずつ遺書を捲る真奈美の指先は、すっかり冷えきっていた。
彼女が幸せだと信じていた日々は、この一通の遺書によって容赦なく切り刻まれたのだった。