転生した後、夫の初恋の出産介助なんて引き受けない
結婚七周年の日、夫は急な予定を理由に約束をすっぽかし、私は病院の産婦人科へ戻って残業することにした。
真夜中、救急に運ばれてきたのは、取り乱したひとりの妊婦だった。妊娠後期の激しい性行為が原因で早産となり、さらに大量出血まで起こしていた。
だが、彼女は助からず、手術台の上で息を引き取った。手術室を出て家族に結果を告げようとした私が目にしたのは、本来フランスへ出張しているはずの夫だった。
夫は早産で生まれた子を抱き、私を指さして怒鳴った。
「お前は今まであれだけの人を助けてきたくせに、どうしてよりによって美玲を死なせた!最低な女め、お前に医者を名乗る資格はない!」
夫は、私が水沢美玲(みずさわ みれい)に嫉妬してわざと手術を失敗させたと思い込み、私を裁判にかけた。私は医師免許を剥奪され、服役の末、獄中でひどい仕打ちを受け命を落とした。
だが次に目を覚ましたとき、私は美玲が破水して病院に運ばれてきたあの日へと戻っていた。
美玲はその場にひざまずき、泣きながら私にすがってくる。
「あなたがこの病院でいちばん腕のいい先生だと聞きました。お願いです、私とこの子を助けてください……!」
私は彼女の手を振り払い、冷たく言い放った。
「今日は休みを取って離婚するんです。手術はしません」