遅咲きの向日葵
藤原翔太(ふじわらしょうた)には、幼なじみの桜井優子(さくらいゆうこ)がいた。
ある日、優子が妊娠した――父親は誰なのか、誰も知らなかった。
優子の評判を守るため、翔太は「この子の父親は自分だ」と名乗り出ることにした。
その結果、私のお腹の子供は「父親不明の子」という汚名を着せられることになった。
「優子は真面目で純粋な子なんだ。未婚の母なんて彼女には耐えられない。世間の目が辛すぎるだろう」
翔太の何気ない一言で、5年間続いた私たちの愛は、まるでバカみたいなものに思えた。
その後、家族は総出で私を病院に連れていき、中絶手術を受けさせた。
その間、翔太は優子のそばに寄り添い、彼女を至れり尽くせりで世話していた。
翔太が家に戻ってきた時、私はすでに子供を堕ろし、彼の元を去っていた。