LOGIN塚原範経は内気で人付き合いが苦手だが頭脳明晰な高校生。そして最先端の人工知能の開発者である。文化祭の準備のためにドローン搭載型光学迷彩機能付きのカメラを高校に持ち込んだせいで、校内の盗撮事件の嫌疑をかけられてしまう。居たたまれなくなった範経は家出を画策するが、意図を知った由紀と祥子の二人の彼女に拉致されてしまい……。 二人の彼女を持つ高校生、塚原範経の学園ハーレムものブラコン要素とドロドロドラマありのラブコメファンタジー、ここに開幕!
View More 唐崎由紀は
「お帰り」と母の裕子が出迎えた。「今日は祥子ちゃんと一緒じゃないの?」
「祥子ちゃんは今日、お
範経の腕を引っ張って、長い廊下の奥へ入っていった。由紀を溺愛する父親が「女の子の部屋は二階でなくてはいけない」と言って、平屋の屋敷の奥にわざわざ由紀の部屋を増築した。だから廊下の突き当りに階段がある。
由紀は範経の手首をつかんだまま階段を上がり、自分の部屋のドアを開けた。奥の窓際にあるベットに範経を押し倒し、スカートをひらひらさせながら腹の上に馬乗りになった。
「答えてもらうわよ」と由紀。
「何を?」と範経。
「今日の放課後、音楽準備室で川田先生と何を話していたの?」と由紀。
「先生の小説の感想を話したんだ」と範経。
「なぜ国語の先生と小説の話をするのに音楽準備室に行ったの?」と由紀。
「静かに話せるからって、川田先生が……」と範経。
裕子はお茶とお菓子をのせた盆を手に由紀の部屋をノックしようとしたとき、由紀の大きな声が聞こえた。由紀は普段おとなしい娘なので裕子は少し驚いた。つい、聞き耳を立てた。
「それで川田先生と何を話したの?」と由紀。
川田先生は小説家と二足わらじをはく国語の若い先生だ。
「先生の新刊の感想を話したんだ」と範経。
「新刊をいつ買いに行ったの?」と由紀。
「先生がくれたんだ、先週の金曜日に」と範経。
裕子は範経が国語の先生からも目を掛けられていることに感心した。
「なんで範経にだけ新刊をあげるの?」と由紀。
「知らないよ」と範経。
「あら、そう。それで、それからどうしたの?」と由紀。
「それだけだよ」と範経が答えるや否や、パーンという音がした。裕子はびくっとした。由紀が範経の頬を張ったのだろう。
「私に隠し事するの?」と由紀。
「ごめん……」と泣き声で範経。
「それからどうしたの?」と由紀。
「先生と……先生と……」と範経。
「先生とキスしたんでしょ」と由紀。
「うん……」と範経。「でも……ぼく、そんなつもりじゃ……」
と、そのとき、ドアをトントンとノックする音が聞こえた。
由紀がダッと立ち上がってドアの前に駆け寄り、バンッとドアを開けた。お盆を持った母親が立っていた。
「いつからここにいたの!」と由紀。
「さっきからよ」と鬼の形相をした娘に裕子は答えた。
「お母さん、聞いていたのね!」と由紀。
「家じゅうに聞こえているわよ」と裕子。
小柄な範経がベッドで身を起こし、左ほほを赤くしながら涙をぬぐっている。
「範経君がかわいそうよ」と裕子は部屋に入り、コーヒーテーブルにお盆を置きながら言った。
「お母さんは出てって!」と由紀は言い、母親を部屋から追い出してドアを閉めた。
由紀はベットの縁に腰を掛けていた範経を再び押し倒した。
「範経、私の誕生日にキスしてって言ったら、まだ私達は子供だからダメだって言ったわよね」と由紀。「でも今日はキスしてもらうわ。祥子には悪いけど、でも川田先生に範経を取られるなんて許せない。もう、絶対に待たないから」
「いいわよね?」
由紀は範経に覆いかぶさって唇を合わせた。互いの舌先が触れたとき、由紀は我を失った。夢中で範経の首筋を両手で抱きかかえて押さえつけた。由紀の舌先が範経の口の奥にずるりと入ったとき、範経の体が脱力した。由紀は範経の舌を舌先に感じながら、範経の背中を優しくなでた。
由紀は起き上がるとシャツとスカートをさらりと脱いでから、範経のズボンのベルトを外した。
「由紀ちゃん、だめだよ……」と範経。
「もう一回言ったらまた叩くわよ」と由紀。「早く脱いで」
由紀は範経の隣に並んで布団をかぶった。
「避妊を……」と言った範経の口を由紀がキスでふさいだ。
……
日が暮れたころ、部屋のドアがノックされた。
由紀が「入らないで!」と言う前に母親の裕子が入って来て、ベットの前であきれ顔をした。
「あなたたち、すぐにお風呂に入りなさい。その間に布団を片付けておくから」と裕子が言った。なぜかすでに沸いていた風呂に二人で入った。
裕子は風呂から上がった由紀と範経を居間に呼んだ。裕子は由紀に避妊薬を飲ませ、「お父さんには内緒にするのよ。これからはちゃんと避妊をしなさい」とくぎを刺した。
裕子は二人に夕飯を食べさせ、おどおどとした範経を帰らせた。
麗華の前で膝をついていた範経が立ち上がった。「改めて紹介するよ。この子が麗華ちゃん。ぼくの義理の妹だ」「麗華です。範経お兄ちゃんが大好きで、近所に引っ越してきました。よろしくお願いします」と麗華がお辞儀をした。「あら、礼儀正しい子だわ。かわいいだけじゃないのね。私は美登里。範経の実の姉よ」と美登里。「美登里お姉さんのことは新しい父から聞いています。美登里が男で範経が女だったらよかったって。美登里を連れてきたかったと言ってました」と麗華。「あら、そうなの。私はお断りよ。範経と離れるなんて」と美登里。「それからこちらが、圭と明。ぼくの双子の妹なんだ」と範経。「よろしく、麗華ちゃん」と圭。「よろしく。父は私たちのこと、何か言ってたかしら?」と明。「はい。かわいいけど怖いから気をつけろと言ってました。俺は何度も殺されかけたって」と麗華。「殺す気なんてなかったわ」と圭。「兄をないがしろにするから、少し脅かしただけよ」と明。「あら、怖いわ」と由紀。「それから、こちらが由紀ちゃんと祥子ちゃんと玲子ちゃん。ぼくのクラスメイトなんだ」と範経。「よろしくお願いします」と麗華。「こちらこそ、よろしくね」と由紀。「本当に範経のことが好きなのね。もらい泣きしちゃった」と祥子。「由紀ちゃんと祥子ちゃんは範経の彼女よ。つまりあなたの直接のライバルだから」と美登里。「二人も彼女がいるの?」と麗華。「まあ、そうなんだけど」と範経。「そうよ。二人とも同じくらい範経のことが大好きなの」と由紀。「これで関係者が全員そろったということね」と圭。「裁判よ。被告人は範経。あなたはここに座って」と美登里が椅子を指さした。「裁判? 何でぼくが?」と範経。「兄さんには、いろいろ聞きたいことがあるわ」と明。「それに範経、麗華ちゃんにいろいろ隠してることがあるでしょ」と由紀。「兄さんは都合がいいことしか言わないから」と圭。「麗華ちゃん、悪いようにはしないから、一緒に見てるのよ」と祥子。「はい」と麗華。「どうしたの? みんな急に団結して」と範経。「あなたには、麗華ちゃんにすべてを説明してもらうわ」と由紀。「兄さんの考えを、兄さんの口からよ」と明。「範経、もうあきらめなさい」と美登里。「原告は麗華ちゃん、弁護人は由紀ちゃんと祥子ちゃんと玲子
ドアがノックされて、視線が集まった。「ごめんなさい。勝手に上がらせてもらったわ」と言って、真由美がドアを開けて部屋に入った。「あら、真由美叔母様。お久しぶりです。呼び鈴を押して下さったら、玄関でお迎えしたのに」と美登里。「気にしないで、他人じゃないんだから。美登里ちゃん、美人になったわねえ。それに圭ちゃんと明ちゃんも、かわいいわ」と真由美。「お久しぶりです、おばさん」と圭と明。「範経、寝間着なの? それにお友達もいるのね」と真由美。「由紀ちゃんと祥子ちゃんと玲子ちゃんだよ」と範経。「由紀ちゃんと祥子ちゃんは範経の彼女で、玲子ちゃんは普通のお友達だそうよ」と美登里が紹介した。「初めまして」と由紀と祥子と玲子が軽く頭を下げた。「なんか、取り込み中だったのかしら」と真由美。「ええ、とっても。わかりますか?」と圭。「あら、ごめんなさい。こっそり入って麗華に本当の範経を見せてあげようと思ったの。麗華、いらっしゃい」と真由美がドアの外に声をかけた。 よそ行きのスカート姿の麗華が姿を見せた。「麗華ちゃん!」と範経。 麗華は範経に走り寄って抱きついた。「範経お兄ちゃん! お兄ちゃん、お兄ちゃん、会いたかった、会いたかったよ。みんなが私の気持ちを勘違いだっていうの。お兄ちゃんを好きなことなんて気のせいだっていうの。ほんとうに好きなのに、ほんとうなのに。お兄ちゃん、麗華のこと好きだよね、嫌いになってないよね。お兄ちゃん、お兄ちゃん!」「麗華ちゃん、もちろん大好きだよ。会いたかったよ、麗華ちゃん!」と範経。「お兄ちゃん、もうどこにも行かないで!」と麗華。「麗華ちゃん、もう泣かないで。お兄ちゃんはどこにも行かないよ。いつでも会えるように麗華ちゃんは引っ越してきたんでしょ。もう大丈夫だよ」と範経。「本当! 本当なの! もう離れないよ、ずっと一緒にいようね、ずっと一緒だよ! お兄ちゃん、お兄ちゃん!」と麗華。「本当だよ。ずっと一緒だから。安心するんだ、麗華ちゃん」と範経。「わかった。ずっと一緒だから。ずっと一緒よ」と麗華。「大変だったね、麗華ちゃん」と範経。「うん。わたし、頑張ったの」と麗華。「ごめんね、独りにして」と範経。「あーん!」と麗華が泣いた。「お兄ちゃん大好き! 大好きだから、もういなくならないで!」「これから
「そろそろ起きるよ。本題に入りたいんだ」と言って範経は体を起こした。「そうだったわね」と美登里。「本題があったの?」と祥子。「麗華のことでお願いがあるんだ」と範経。「何かしら?」と由紀。「麗華は母子家庭で育ったから、父親を知らない。だから、たまたま側にいた男性のぼくに依存してしまったらしい」と範経。「そのようね」と由紀。「だけどそれは普通じゃない」と範経。「それで?」と由紀。「麗華は普通の人間関係がよくわかってない。だから教えてあげたいんだ」と範経。「へ?」と祥子。「ぼくが同世代の女の子と普通にお付き合いしてるって見せてあげたいんだ。そうすれば、彼女はぼくを結婚相手じゃなくて兄として見てくれるんじゃないか」と範経。「範経、何言ってんの?」と祥子。「どう思う? 明ちゃん、圭ちゃん」と由紀。「ありえない。そんなことで麗華って子があきらめるわけないわ」と圭。「義妹なんでしょ。普通に結婚できるわ。何でお兄ちゃんをあきらめるの?」と明。「だそうよ」と由紀。「半年も相思相愛で一緒にいたのに、突然引き離されたら誰でもびっくりするわ」と圭。「しかもお兄ちゃん、本気でかわいいと思って義妹の世話をしてたんでしょ。そんなのお兄ちゃんが悪いわよ」と明。「それじゃ、ぼくはどうすればいいんだよ」と範経。「麗華って子をここに呼べばいいわ。兄さんが嫌われるように仕向けてあげる」と圭。「そして、勝ち目がないってわからせてあげる」と明。「かえって逆効果よ。実妹と義妹じゃ勝負は見えてるわ」と由紀。「どういう意味かしら?」と圭。「説明しなきゃだめなの、妹さん」と由紀。「待ってよ。普通の生活を麗華に見せればいいだけなんだ。余計なことはしなくていいんだよ」と範経。「あなたの言う普通の意味が分からないわ」と由紀。「範経、今の状態が普通って、少し違和感を感じるよ。こんなブラコンの姉妹にべったりの生活、普通じゃないから」と祥子。「それに、仲良しな二人の彼女だって変よ」と圭。「これなら、お兄ちゃんラブな義妹が増えても全然変じゃないわよ」と明。「何が問題なの?」と由紀。「麗華をまっとうな家庭生活に戻してあげたいんだ。ちゃんと両親と生活して小学校に通う生活にだよ」と範経。「現実を受け入れさせるしかないわ」と由紀。「範経にはお付き合いを
美登里が由紀と祥子と玲子を連れて、圭と明の部屋のドアを開けた。ベットの側にいた圭と明が立ち上がった。「連れてきたわよ」と美登里が圭と明に言った。「こんにちわ、圭ちゃん、明ちゃん」と由紀。「お見舞いに来たよ」と祥子。「お久しぶりです。由紀先輩、祥子先輩」と明。「もう一人の方はだれですか? ひょっとして、お兄ちゃんの三人目の彼女さん?」と圭。「玲子ちゃんだよ。彼女じゃなくてクラスメート」と範経が体を起こしながら言った。「はじめまして。滝川玲子です」と玲子が挨拶をした。「圭です」と圭。「明です」と明。「玲子先輩はどんなお知り合い?」と圭。「盗撮事件のときに助けてくれたんだ」と範経。「わざわざお見舞いに来てくれるくらい仲が良くなったんだね」と圭。「ええそうよ。でも普通の友達だから安心して」と由紀。「普通の友達では男子の家に来ないわ」と明。「玲子はゴシップが好きなのよ」と由紀。「範経からはドロドロな愛欲の香りがするって」と祥子。「言ってないわ!」と玲子。「それで私たちのブラコンぶりを見物に来たのね」と圭。「違います!」と玲子。「だけど特別なことは何もないわ。ただ私たちで兄を看病してるだけです」と明。「あなたたちのベッドで?」と由紀。「そうよ。兄の家具がまだそろってないの」と圭。「だからって、妹と同じベットで寝起きするなんて」と由紀。「それが何か?」と明。「異常よ」と由紀。「あらそうかしら。兄が家出中にどこで寝泊まりしてたか知りませんが、二人の彼女さんとどんなふうに過ごしていたのか知りたいものですわ」と圭。「健康な男女が夜に寝室ですることなんてきまってるわ。とっても健全なことよ」と祥子。「兄一人に女が二人なんて、どこが健全なのかしら」と明。「兄と妹二人よりはましよ」と由紀。「私たちの関係は兄妹愛です。あなたたちの浅ましい肉欲と一緒にしないでください」と圭。「ちょっとあなたたち、いい加減にしなさい。お茶を入れてきたからみんな椅子に座って」と美登里。「お兄ちゃんは起きちゃだめ。私が食べさせてあげる」と言って、圭が膝枕をした。「玲子、あなたが大好きないちゃいちゃシーンよ!」と由紀。「圭ちゃんと明ちゃんがすごい美少女で驚きました。しかも双子なんて」と玲子。「その上、ブラコンなのよ。普通に人前で