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両片思い24

Author: 相沢蒼依
last update publish date: 2025-12-04 05:44:40

☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。

石川さんが出て行った瞬間、鉄平はがっくりとうな垂れながら、ものすごく小さな声で呟く。

「石川にアレを見られてたなんて、しくじった……。今後一切、壮馬に手を出しちゃいけないな」

「ここでしたキスもそうだけど、給湯室のキスも珍しかったもんね。いつもは、うまくあしらって終了なのに」

悔しそうな顔で長机をバシバシ叩きまくる恋人に向かって、宥めるように話しかけた。それなのに、まったく効力がなかったらしい。

ムスッとしたまま、俺の頬をぐりぐりする。八つ当たりもほどほどにしてほしい。

「坊ちゃんが全部悪いんだ。もっとしっかりしてくれたら、俺がこんなに苦労せずに済むんだぞ」

ずっと長机を叩いて気が済んだのか、最後に大きな音を立てるようにグーで殴り、じろっと俺を睨む。

「え~、俺ってばしっかりしてると思う。社内にいる問題児をこの手で成敗した上に、悪さができないようにコントロールもバッチリやってのけたでしょ?」

(俺としては鉄平に、そんなに苦労させてるつもりはないのにな)

「……おまえ、石川が悪さをしていたという相談、いつの間に受けたんだ?」

「受けてないよ
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    「江藤さんの場合、女ばかりの行列に並んだとしても、違和感があまりないと思うんだよね。そこにいるだけで、絵になるからさ。きっとお客さんのために買うのかしらなんて思われて、自然とスルーされるんじゃないかな」 のろけまくる弟の話を聞いて、宮本の口角が自然と上がっていった。「だよね……。江藤ちんは俺と違って格好いいから、たとえ下着売り場にいたとしても、彼女のものを買うと思われて、自然とスルーされそうだ」「兄貴の例え話、なんだか極端だなぁ。だけど俺たち兄弟が江藤さんが平気なところに顔を出しても、女性客にスルーされないことくらいは分かる」「佑輝、すっごく美味しかったって言ってたよね。江藤ちんから貰ったチョコレート」 昨年わざわざ電話を寄越すなり、ここぞとばかりに自慢されていたせいで、強く印象に残っていた。「うめぇってもんじゃなかった。もんのすごく美味って感じ! チョコレートの味が濃くてさ、それが口の中で溶けていく感じがまろやかで甘すぎなくて、躰が震えちゃうくらいに美味しかった」「へぇ、そんなに美味しかったのか」「うん! 江藤さんに言わせると「芳醇なカカオの香りが……」って、テレビに出てくる美食家みたいなことを言ってたっけ。忘れちゃったけど」 一番聞きたいことを忘れた弟に、宮本はできの悪さをひしひしと感じた。「今年は、どうするんだろうな」「マメな江藤さんのことだから、二年連続で同じ店のものを贈るなんてことを、絶対にしないと思うんだよね。決算期で仕事が忙しいのに休日を使って、きっとどこかのお店に並んでるような気がする」「そっか。ふたりは相変わらず、うまくいってるんだな」「……実は、そうでもなくて」「喧嘩するほど仲がいいっていうだろ?」(そういえば最近、江藤ちんからの愚痴メッセや電話が着ていないな――)「喧嘩というか、そういうんじゃなくてさ。この間、江藤さんの実家に顔を出したんだ。ものすごい勇気を出しまくった」 一度は逃げてしまった挨拶の場に顔を出したことを、心の中で賞賛しまくった。口に出すとすぐにつけ上がるので、あえて言葉にしない。兄として、弟のコントロールはバッチリなのである。

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