بيت / ファンタジー / Lv1・Maxからのまちづくり / 第4話・反エアヴァクセン盗賊団

مشاركة

第4話・反エアヴァクセン盗賊団

مؤلف: 新矢識仁
last update تاريخ النشر: 2026-05-07 14:48:48

「あのー。もしかして皆さん、エアヴァクセンの町長、知ってる? ミアスト・スタット町長」

 まだもがもがやっているアナイナの口を塞いだまま、ぼくは聞いた。

「知ってるも何も」

 盗賊の一人が言う。

「俺らを追放したのはあの野郎だからな」

「え。もしかして……皆さん、元、エアヴァクセンの住人だったって、こと?」

 一番若そうな盗賊が頷いた。

「俺はな、Bランクの町から栄転でエアヴァクセンに来た。スキルは水を操る「水操すいそう」、レベルは50でレベル上限は3000だった」

 そりゃすごい。水を自在に操る能力をレベル3000で持っていたら、十二分に町のために働けるだろう。

「だけど、移転者歓迎の式典、俺は腹を壊して休んだんだ。緊張からくる心因性のもので、一日休めばよくなるって診断だった。ところが、次の日俺を待っていたのは、追放処分だった」

「え……?」

「ミアストの野郎曰く、エアヴァクセンの住人に、腹痛はらいたで重要な式典を休む人間などいらないそうだ。町も紹介しない、役立たずは出て行け、ってな。栄転できたと希望に満ちてやってきた町を二日で追い出されて、そのまま盗賊団に拾われたのが三年前」

「……マジか」

「マジだ」

 若そうな盗賊が大きく頷く。いや、若そうじゃなくて若い。栄転してすぐ追い出されて三年なら、十八かそこらかってことになる。

「オレもそう変わらねぇ。Aランクの町で生まれ、空中に光で絵を描く「空画くうが」、上限2000。故郷残留のはずが派手なことが好きなミアストに特別栄転をかけられて、毎日絵を描かされて右肩を痛めて思うように絵が描けなくなったら用済みだと追い出された」

「私は範囲内にいる人間に決まりを守らせ、守らない場合は罰を与える「法律」。上限は4500。町長に「SSランクの住人に相応しい行動をとるように」と言う決まりを町に、と言われたが、そもそもSSランクに相応しい行動がどんなものか分からない、具体的に決まりを作ってくれと言ったら逆切れされた」

「儂は土地を肥やす「豊作」。上限は5000。全部の畑にスキルを使えと言われて逃げ出した。エアヴァクセンの畑全部にスキル使えというのは無理じゃろ」

「ボクは動物を食べられるようにする「食獣しょくじゅう」。レベル上限は3500だったけど、レベル上限達してもあの野郎ミアストが望むようなスピードに入らなかったと言って追放」

 五人が五人とも、元エアヴァクセンの住人だったとは。しかも、ぼくよりはるかに役に立つスキルを持って……。

「問題がなければ、エアヴァクセンで平和に生きてけたんだ……」

「まあ、もうあの町に住もうっていう考えはないな」

「エアヴァクセンが理想にあふれ、よい町になろうと皆が努力していたのも今は昔、もう町長ミアストのプライドのために成長している町だからな」

「じゃあ、わざわざSSランクの町の傍で盗賊してるのは……」

「嫌がらせだよ、単純に」

 スキル「水操」を持っていた盗賊、ヴァダーさんが言った。

「俺たちを追い出したことを後悔させてやる、ってな。それが俺たち「反エアヴァクセン盗賊団」だ」

「……聞いたこと、ない」

 五人の盗賊団は苦笑いをした。

「仕方がないさ、儂が三十年前に作って、団員を入れ替えながら嫌がらせを続けてはきたものの、ミアストはともかく普通の住人は警備兵に守られているから、そういう盗賊団があるということすら知らん。一時は団員が十五人いたこともあったが、派手にやらかしすぎて徹底的に潰されて、囚われたり別の地方に逃げ出したりした。今ここに儂を入れて五人いるだけで奇跡だ」

 団長のヒロントさんが渋い顔をして言った。

 思えば、寝物語に聞く「盗賊」は、卑怯で薄汚くて臭くって恐ろしい、そういう存在だった。

 だから、反エアヴァクセンを真面目に掲げる盗賊団がいるとも思わなかった。

「……月頭にここに顔を出すのは、実際には移転者への警告だ。相当上手く立ち回らないと町から追い出され帰る場所を失う、とな。ほとんどの移転者は栄転組で、そんな儂らの警告など聞かずに飛び込んで行ってしまうが……」

「後はあんたみたいな追放者のスカウト。……正直、エアヴァクセンの移転は無茶苦茶と言っていい。町長ミアストはSSランクだから何やっても認められていると思っている節がある。そんな奴に追い出されたりするのを呼び込むんだ。……こっちも上手くはいってねぇけどな。追放先の決まっている移転者は、町の守りのない生活に耐えられねえ……」

 「空画」と言うスキルを持つシエルさんも苦い顔だ。

「町を、造ればいいじゃない」

「アナイナ?!」

 突然の一言に、盗賊団の全員が目を丸くした。

 話される事実に呆然として思わずアナイナの口を塞いでいた手を放してしまった、その途端にアナイナが続ける。

「町がないって言うなら、町を造ればいいじゃない。みんなが平和に暮らせる、エアヴァクセン以上の街を」

استمر في قراءة هذا الكتاب مجانا
امسح الكود لتنزيل التطبيق

أحدث فصل

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第182話・家族に例える

    「そうだな、グランディール家という家があるとしよう。その家で君は父親。家の主だ」 よくわからない話に持っていかれたような気もするけど、とりあえず頷いておく。「町民は子供。父親は子供を養う義務を負う」 うん、それは分かるけど。「他の町は友達だとしよう。友達だったら、時々晩御飯の御裾分けとかが来る。子供が遊びに行っても怒らず相手してくれる。時々家族で遊びに来たりもする。近所の家とも遠くの家とも仲良くしている」 それがどうだっての?「この友達の家の一つの父親を無理やり引っこ抜いて、残った子供を家族にする。するとどうなる?」「そりゃあ、その家の父親抜いちゃったんだから、ぼくが養わないといけないだろうね」「そう。君は急いで稼ぎを増やさなきゃいけない。稼ぎを増やすこと自体はグランディール家にとっては難しくはないかもしれない。だけど、もう一つ問題が起きる」「?」「父親が大好きだった子供たちから、父親を無理やり引っこ抜いて家族にしてしまった。お父さんがいないから今日から自分をお父さんと呼べと言った。今まで友達のお父さんだったのに突然自分のお父さんになってしまった。認められるか?」「無理だよね」 ぼくも父さんが突然いなくなって別の人が父さんだよって言って来たら、父さんを探して家を出るだろうな。 あれ……。 あれ……? あ!「そう。子供が納得しない。納得せず父親を連れ戻しに行ったり家を出たりするだろうね。そして、他の家も、それまで仲が良かったのにいきなり父親を追い出して子供を家族にした家と、いつものように仲良くできるかい? 今まで友達だった子供が兄弟になると言われて納得できるかい?」「うん、無理だね。そりゃあ、無理だ」 二人の言いたいことがやっとわかってきた。「それに、それまで友達だった家も、いつ父親を引っこ抜かれてグランディール家に連れていかれると思ったら、友達付き合い出来なくなる」「そしてみんな離れて行く、あるいは敵に回る。そういうこと?」「ああ」 スピティの町民は水路で喜んでくれたけど、それと引き換えにスピティじゃなくグランディールになれって言ったらどう思ったろう。 周りの町も、町長が来て何か教えると町を併合されるなんて言われたら、歓迎はしなくなるだろうなあ。 そうなると味方がなくなる。 町の人数が少し増えるのと引き換えに、周り

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第181話・頑張っているぼく

    「しかし、どれくらいの人数が必要?」 ぼくの問いに、アパルが眉間にしわを寄せる。「それが分かれば苦労はない……だけど、町長の力をフォローするには、かなりな人数が必要になると予測できる」「空を飛ぶだろ? 人間を地上と町へ行き来させるだろ? 家や施設が建つだろ? 土地が広がるだろ? 勝手に家具や服が出来るだろ? 素晴らしい陶土が出るだろ? あとなんだ?」 指折り数えるサージュ。思えば結構無茶な力技をしてるな、この町。「それだけのことを一人のスキルで賄ってるんだから恐ろしい」「伝説になり損ねた町は町長の死後やんわりと滅びて行ったけど、グランディールは町長が弱り出したら一気に行きそうだ」「なんで?」「お前の力技でこの町はもってるんだ、お前の力技が出来なくなったら、それっきりのアウトになるのが目に見えてるだろが」「え、ぼくのせい?」「というか、この町自体がお前に頼りきりなんだ。この町を滅ぼすのは簡単、お前一人をどうにかすればいい。ミアスト辺りがこのことに気付かなければいいが」「じゃあ、ぼくが前に拉致された時は……」「大ピンチだったんだ。お前は町民……俺たちやシエルがいれば何とかなると思っているようだが、実際の所俺たちはいくらでも替えが効く。町にとって替えが効かない才能を持っているのはお前一人なんだ」 ぽかんとしていると、アパルが溜息をついて手を伸ばし、ぼくの髪の毛をくしゃくしゃにした。「自覚を持ってくれ町長。この町も、町民も、お前がいなきゃ砂の城。あっという間に波に削られて消えてしまうんだ」「……ぼく、そんな大げさなことをしたくて町を造ったんじゃないけど」 ただ、ミアストを見返してやりたかっただけで。 ぼくのスキルが無意味ではなかったと思い知らせてやりたかっただけで。「なら、大げさになりそうだから町を捨てるか?」「冗談じゃない!」 サージュの一言に、ぼくは頭に血が一気に上って思わず怒鳴ってしまった。「ぼくだけならそれでいいかもしれないけど、ぼくはここにいる人たちを守る責任がある! 思い通りにならなかったからって捨てることは出来ない! それじゃあ、ミアストと一緒になってしまう! 町の評判を自分の評判と勘違いしているあいつと!」「分かった、言いたいことは分かったから落ち着け」 サージュがぼくを宥める

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第180話・伝説になり損ねた町

    「一代で終わった町って言うのは、どんな感じなの?」「うん、多分お前も予想していると思うが……」 サイドデスクに置かれた本をサージュは指差す。「設立した町長のスキルの効果範囲が広い町だ」 一瞬、部屋に静寂が満ちた。 エキャルの羽音すら聞こえない。「……「まちづくり」みたいに、ざっくりした町だね」「ああ」 サージュの指先にある本には、「滅び逝く町」と書かれている。「「富める強国」ディーウェスのスキル研究家プラーグマ・ファクトゥムが研究した、素晴らしいと誰もが言ったのに一代で滅びたいわゆる「伝説になり損ねた町」について書かれた書だ」 ディーウェスは三百五十年前から五十年前まで続いた、身近な伝説、SSSランクの町だ。まだディーウェスの偉大さを覚えている人もいる。畑仕事担当で元エアヴァクセン盗賊団団長、ヒロント長老は、小さい頃にディーウェスの住民と話す機会があったらしい。ディーウェスの知識を教えるためにやってきたその人に、ディーウェスはどんなところ? と聞いたら、「みんなで作った楽園だよ」と答えてくれたらしい。長老は「今はグランディールが儂にとってのディーウェスだよ」と笑って言ってくれたけど。 そんな町に住んで、存分にスキル学を学んだ人が書いた書。「伝説になり損ねた……」 まさしく、このまま放っておいたらグランディールが辿るかも知れない道だ。「フォーゲルは鳥の本しかないと思っていたが、珍しい本もあったもんだ。スキル学を政治に役立てず、更にただ真実を知りたいと志すような物好きが手に取る本だからな」「アッキピテル町長には……」「許可を得てるよ。町長になってからスキル学の本も集めたけど自分しか読まないからどんどん読んでくれとさ」 アパルもサージュも椅子に座って、目線で読めと促す。 「滅び逝く町」にはしおりが二枚挟んである。「ここを読めってこと?」 二人が頷くので、そのページを開いてみる。 幸いなことに、ぼくに読める字で書いてあった。 『夢幻の町トラオム』 聞いたことがない。 続きを読む。 『万能のスキルと謳われたエニュプニオン・ソムニウムが一代にして作り上げた町。夢のように素晴らしい町、SSSランク、全ての町が手本にした町だが、エニュプニオン亡き後、誰もそのスキルの後継になれず、文字通り夢幻と終わってしまった町で

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第179話・伝説の町

     アナイナはとりあえず御見舞いに来ない、らしい。 ヴァリエは……どうやら女性陣が説得してくれたらしい。シートスから「弱っている姿を見られたくないという言い訳で大人しくなってくれたので、とりあえず寄ってほしくない時は弱った振りをして追い払ってください」と言う手紙が来た。 なるほど、騎士の主は弱ってる姿を見せてはいけないものなのか。 最近はヴァリエも大人しくなったけど、初対面の時の正体不明ストーカーの戦慄の恐怖はまだ残ってる。逃げ切ったと思ったら町の中から声がした時は、正直、心臓止まるかと思った。 その襲来がないというのだから、安心して本を読みながら考えに浸れる。 アパルが貸してくれた、伝説の町の本。 エキャルをモフりながら読んで、色々考えてみる。 伝説の町が初代で潰れなかったのは、仮住人が目覚めたスキルにあるかも知れない。 例えば空飛ぶ町ペテスタイは、出来てから五・六年後の子供たちには、浮遊や飛行と言ったスキルが多かったという。町長亡き後、彼らが町を飛ばし続けたとか。 そう考えてみると、確かに町によって、発生しやすいスキルはある。 エアヴァクセンは最近はめっきり減ってしまってはいるけれど、その昔は「鑑定」が多かったという。ファヤンスは陶器関連に偏っているし、フォーゲルは鳥に関連しないスキルの持ち主はいないんじゃなかろうかってくらい。 ところが、グランディールにそれがあるか分からない。 ……まだできて一年も経っていない町に判断材料がないってだけのことなんだけど。 一番最初がアナイナで半年後……くらい? その次は五・六年間が空くから、生まれやすいスキルの傾向が全然見えない。十年くらい経たないとはっきりとはしないという。 ……十年後に考えろって話だよな。 でも、今、気になってるんだから仕方ない。 気になったことは気になった時に聞いたほうがいい。後回しにすると聞く機会がなくなっているかも知れないから。 それに、アパルやサージュと町に関する疑問や心配を共有することは、将来のグランディールにとっていいことだと思う。 予想できる不安を早め早めに取り除く。それは町が長く続くのに必要なことだと思うから。     ◇     ◇     ◇「おーう、大人しくしてたか」 サージュとアパルがやってきたのは、相談してから三日後のこと。「

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第178話・フォーゲルにとっていい人、悪い人

     エキャルをモフりつつ、アパルが持ち込んでくれた娯楽本を読んだりして時間を潰す。 時々スヴァーラさんに御見舞いの手紙を書いて、それをエキャルに持たせたり。 スヴァーラさんからは、気にかけてくれてありがとう、エキャルが来るとオルニスも喜んでくれるので嬉しい、体は順調に回復しているし、モルやミアストの目がないというのは安心できるけど、時々自分が助かったのを知っているんじゃないかという不安に襲われる、という手紙が戻ってくる。 この不安ばかりはどうしようもないので、フォーゲルのお医者さんにメンタル面も見てあげてくださいと頼んである。 時々、青色の小さな羽根が手紙についてくる時もある。オルニスの羽根で、オルニスも元気ですよ、と書いてくる。 小さい頃、青い小鳥が幸せを運んでくるという話を母さんから聞いたことがある。 幸せを運んでくる青い小鳥と、その子が大好きな飼い主。 これは、揃って幸せになれないとダメだよな。 フォーゲルを選ぶかもしれないし、グランディールに来るかもしれない。どっちに行くとしても、小鳥の健康は保証するとアッキピテル町長は言ってくれた。 鳥の町フォーゲルは、鳥に好かれている人、鳥に愛されている人を無条件に気に入って、手を貸してくれる。スピティへの展示即売会には来ていなかったけど、フォーゲルで伝令・宣伝鳥売買をしているパサレ・ティールから、ぼくたちが鳥を買いに来た時の印象なんかを聞いていたんだろう。最初の手紙の返事から丁寧だったし、アッキピテル町長にグランディールを案内した時、宣伝鳥の面倒を見ていた鳥飼ティーアを認めてくれたのか、エキャルラットのぼくへの懐きっぷりを認めてくれたのか、その両方か。とにかくグランディールと言う町を高く評価してくれて、Cランクの町を対等に扱ってくれている。そして同じようにスヴァーラさんにも親切にしてくれている。 鳥が懐くのはいい人。鳥に嫌われるのが悪い人。そんな分かりやすい判断基準だけど、鳥のことを何より知っているフォーゲルではそれが一番分かりやすい人間評価だ。 ……もちろん食用の鳥もある。 卵だけを取る鳥だけじゃなく、鳥肉になる鳥もある。 それでも、その鳥の命に感謝して食べろ、とフォーゲルは言う。 命をいただくのだから感謝すべきだ、それが出来ない町には売らない、というのがフォーゲルの主張。 フォーゲルか

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第177話・未来への警戒

    「五代、もつか?」「何故、そんなことを?」 聞いてくるアパルとサージュに、ぼくは最近思い付いてから頭を離れなくなった疑問を口にした。「この町、空を飛んで、勝手に家が出来て、土地が広がって、家具や服が出来て、お湯が循環して。これ、ぼく一人のスキルだよね」「ああ」「じゃあ、何かの理由でぼくがいなくなったら、この町は立ち行かなくなっちゃうんじゃないかと思って」 はっとサージュとアパルがぼくの顔を見て、それからお互いの顔を見合わせた。「グランディールがSSSランクに行ったとしても、ぼくがいなくなった途端に滅んじゃったら意味がない。町が続かないといけない……それには、ぼくのスキルを肩代わりしてくれる誰かがいないといけないんだ。だけど、「まちづくり」のスキルがそうポンポン生まれるとは思えない。だから、他の町はどうだったのかなって」「…………」 そう。それがぼくの気がかり。 気が早いかもしれない。ぼくはまだ十六にもなっていない。普通に考えれば短くても後四十年は生きられる。 でも、ぼくがいなくなると、町がどうなるのか。 恐らくは町民から切り捨てられたことで町への罰を逃れられたファヤンスとデスポタ、いずれ自滅するだろうけど、今のところはSSランクの町を維持? しているため町長の座にしがみついていられるエアヴァクセンとミアスト。そんなことを考えていたら不安になってきたんだ。 グランディールは完璧だと思う。衣食住に不自由せず、スキルに拘らずに好きなことがやれて、お金がなくても生きていける。夢の理想郷。 でも、このまま放っておけば、夢はぼくが消えた瞬間に終わってしまう。 だから、他の町が気になったんだ。 伝説と呼ばれる町が、最低でも五代、生き残った理由。 それが分かれば、グランディールも生き続けられるかもしれない。ぼくの「まちづくり」なんていう反則級スキルで成り立った町は、ぼくがいなくなっても生き残る方法を考えないと、一代で終わってしまう。 何か、秘訣はあるんだろうか。 スキル学に詳しい二人なら何か知っているんじゃないか、と思ったんで聞いた。「確かに……調べてみるか」「フォーゲルの書物も見せてもらえるかな」 頭脳二人が動き出すので、ぼくはこれ以上動かないほうがいいな。 椅子に座り直して、薬湯をコップに注ぐ。「でも、町長」 アパルが部屋を出

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第8話・スキル学

    「えっと。アパル、さん?」 綺麗に焼けた焼き魚の身を歯でむしり取りながら、アパルさんは「ん?」と言う顔をした。「スキル学を、勉強してらっしゃったんですか?」「んん? んん、まあ。「法律」なんてスキルのせいか、色々学ぶことが楽しくてね。盗賊に身を落としても勉学だけは捨てられなかった」 身を噛んで飲み込んでから、アパルさんは頷いた。そう言えば宴会前、洞窟から大量の本を家に移動させていた。どうやってあれだけの本を持って出られたのかちょっと不思議な気がする。 それはさておこう。今欲しい情報はそれじゃない。「スキル学って、どんなことを勉強するんですか? 確か「スキル学におけるレベルか上限1

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第7話・炎の舞

     盗賊団の皆さんが感動と号泣と荷運びを終えたところで、ぼくとアナイナがいる家にやってきた。 手に手に、焼けた魚だの炙った干し肉だの多分酒が入った壺だのを持っている。「……えーと?」「飲もう!」「えーと」 シエルさんの端的な言葉に悩んでしまったぼくに、ヒロント団長が笑いかけた。「儂らだけの町を造ってくれたお礼と、儂らのこれからを祝って、宴会をしようと言う話になった。主役は君だ。来てくれるかな?」「そ……」「喜んで!」 ぼくより先にアナイナが返事した。「アナイナ……」「こういう時はね、盛大にお祝いするのがいいの! みんなもそれを願ってるの! 何がどうあってもこの町を造ったお

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第6話・望んでいたぼくらの小さな町

     正直、ショボい光景を覚悟して目を開けた。 所詮はレベル1Maxのスキルだ、ボロ家の一軒でも立っていれば大ラッキーという気分で。 ゆっくり開いた視線の先、眼の前にあるのは、門だった。 衛兵がいてもおかしくないような、立派な門。 左右を見れば、城壁と言ってもいい立派な塀。 エアヴァクセンよりも立派な入り口だった。「これ……は……?」「おいおい、レベル1のもんじゃないぜこれは」 盗賊団の皆さんも呆然と入口を見上げている。 アナイナだけが、自分がやったわけでもないのに得意気に胸を張っていた。「ほーら、やっぱり、お兄ちゃんじゃない」 何だその威張り方は。「い、いや、塀だけが立

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第5話・町がないなら造ればいいじゃない

     一瞬空気が凍り付き、動き出すのに数秒かかった。「簡単に言ってくれるなお嬢さん」 盗賊団、スキル「法律」のアパルさんが苦笑した。「町を造るには、色々なスキルの持ち主が大勢集まらなければならない。まずお嬢さんは未成年だからスキルもない。そして我々もそのようなスキルはない……」「一応食事には困らないけど、洞窟の中での生活があんたに耐えられるとは思えないけどね」 スキル「食獣」のマンジェさんが不愉快そうな顔をした。確かにそうだよな、家を建てるみたいなスキルがない限り、雨風をしのげるところなんて洞窟とかしかない。聞いた限り、反エアヴァクセン盗賊団の中に家を建てられるスキルはない。「お兄ち

فصول أخرى
استكشاف وقراءة روايات جيدة مجانية
الوصول المجاني إلى عدد كبير من الروايات الجيدة على تطبيق GoodNovel. تنزيل الكتب التي تحبها وقراءتها كلما وأينما أردت
اقرأ الكتب مجانا في التطبيق
امسح الكود للقراءة على التطبيق
DMCA.com Protection Status