登入エアヴァクセンからこの森の街道までは徒歩で約四半日。
野宿するならエアヴァクセンが見えない場所で、と言われているから、森の街道沿いで……と思ってたけど、この可愛いお荷物のせいで大急ぎで回れ右しなければならなくなった。
昨日までは親切だった警備兵さんたちからすれば、今のぼくは勝手に町に入り込もうとする放浪者でしかない。近付けば追い払われる。その傍に仮住人がいれば保護しようとするはず。場合によっては仮住人を誘拐したと思われるだろうけど、その時は全速力で逃げるしかない。
そんなぼくの思いも知らず、上機嫌でついてくるアナイナ。
……本当に、もう。兄の事情も苦労も知らないで……。
アナイナは両親にもとっても可愛がられていたので、ちょっとワガママな性格に育ってしまった。あと、世間知らずでもある。一年後、自分がエアヴァクセンに居残れるかどうかなんて、考えたこともないだろう。いつまでも家族四人の生活が続くと、能天気に考えていたんだろうな。
町が町民に求めるのは、顔でも知恵でも体力でもない、スキルだ。町の役に立つスキル。
それがない人間は容赦なく切り捨てられる。
例え親がどれだけ町に貢献していても、だ。
十五歳未満の子供……仮住人なら、いいランクの町の仮住人であればあるほど、下のランクの町に移転されることを恐れる。仮住人としてそのランクの生活に
いわゆる、追放。
……もっとも、大体の追放はそのスキルに見合ったランクの町を紹介されてそこへ行かされることになるので、生活レベルが変わっても寝食に困ることはあまりない。
Eランクにも行けなかったぼくが例外なだけだ。
もちろん逆のパターンもある。ランクの低い町に生まれ育ち、成人式でランクの高い町への移転が決まる人も大勢いる。これは栄転と呼ばれ、その町出身の英雄のような扱いを受けて、子供たちはその後に続くのを望む。
しかし、いくら努力しても十五歳になるまでスキルが分からず、判明してもスキル上限をあげることができない。運次第だ。
努力でレベル上限が上がるなら、多分ぼくは残留が決まっていた。「まちづくり」と言うスキルを試してみたことはないけど、多分何かが造れるんだろう。レベルが上がればエアヴァクセンの役に立てたかもしれない。
Lv1のスキルで何ができるって言うんだろう……。
「おう、移転者か?」
聞いたことのない声に、ぼくははっと顔をあげ、足を止めた。
顔をあげて見回せば、粗末な服に粗末な剣で武装した男五人がいつの間にかぼくたちを取り囲んでいる。
「SSランクの町へ行けるなんて、相当な栄転じゃねぇか。その幸せ、ちょっと俺たちにも分けてくれよ。あるいは俺たちと一緒に来るか」
「なあにあなたたち。わたしは栄転なんてしてなムグッ」
ぼくは慌ててアナイナの口を塞いだ。しかし遅かった。
「栄転してない? その面からして、ガキ……仮住人か?」
「へえ。エアヴァクセンの仮住人なら、いい生活してるだろ」
「SSランクの町のアイテムの一つや二つ、置いてってくれよ」
盗賊――!
盗賊は町に属していない。犯罪などで町にいられなくなった人間が、町から遠く街道に近い場所に集まって小屋などを作って住み、街道を通る商人などを襲う。もちろんランクの高い町の品物が目当てなんだけど、当然のことながらランクの高い町ほど運び出す商品は厳重な警護がついていたりするので、そこらの盗賊じゃ手が出せない。
でも、なんでエアヴァクセンからこんな近い距離に盗賊がいる?
エアヴァクセンはSSランク、当然町や商品を守る警備兵も大勢いる。
「月頭は稼ぎ時なんでな、足を伸ばすんだよ」
ぼくの表情から考えを読んだのか、盗賊の一人が嫌らしい笑みを浮かべた。
「追放や栄転、目覚めたばかりのガキが街道を出歩く。スキルの使い方も慣れてないから町から支給された金が手に入れやすいんだよ」
「うわ、最悪」
「そうさぁ。だが、最悪のことをしなければ俺らも生きてけねぇんでな。町に頼らず生きるには金が必要なのさ」
「でも、残念ながらぼくは売り物にはならないよ」
アナイナが何か言おうとする口を塞いだままぼくは答える。
「ぼくは追放も追放、追放先がないんだから。Eランクの町すら紹介されない人間だよ? 紹介する町がないからお金も支給されなかったんだよ? そんなぼくが何か持っているとでも?」
「追放先がない?」
「そ。何処へでも行け、でも町の恥さらしだからどの町にも行くな。要するに人間のいる場所には行くな。それがぼくの鑑定結果」
「具体的には?」
「レベル上限が1だった」
うわ、と盗賊たちの顔が歪む。
「相変わらずエアヴァクセンはひどいな」
盗賊の一人が顔を歪める。
「町長のプライドが高いからなあ」
「ああ、SSランクってことで調子乗ってる」
「町のためじゃなくて自分のためだろが」
ん? この盗賊たち、ミアスト町長のこと、知ってる?
門まで行った、その光景。 塀で囲まれた部分と、門のすぐ外。 さっくりと切り取られたようになって、その先に地面がない。(まさか?!) その、まさかだった。 恐る恐る切り取られた先を見下ろすと、下には緑のもこもこ。森だ。 つまり……浮いている!「うっそ、本当に……」 盗賊団の皆さんも、ぼくと同じ思いだったらしい。「本当に空を飛ぶとは……」「嘘だろおい……」「なんで……」 呆然とした声が空に流れていく。 真下の山肌に洞窟が見えることから、今はこの町は真上に浮いているようだ。 それだけでとんでもない話だ。 しかも、それがぼく一人のスキルで。 レベル1、Maxの力で。SSランクの町に相応しくないと追い出された力で。 町長に見せてやりたいと思ってたら、風景が流れ出した。 この方向は……。「わ、ストップ、ストップ!」 明らかにエアヴァクセンへ向かい出したので、慌てて声に出して止める。 風景が流れなくなったのを確認して、ぼくは胸をなでおろす。「よかった~……焦った~……」「クレーくんの思った通りに移動することも出来るんだ……」「すごいな。世界中を回ることだって可能だ」「えー、なんで? なんでやめるの?」 アナイナが不満げに声をあげた。「町長に見せびらかすチャンスなのに」「今行ったら空の飛べる人たちに乗り込まれて町を奪われて終わりだよ」 アパルさんもうんうんと頷く。「捨てて逃げて、もっといい町を造ればいいじゃない」「クレー君が造って動かせると知れば、町長がクレー君を確保に動く。それこそ神殿の御神体のように扱われ、奴以外の誰にも会えないよう閉じ込められて町を操ることを強制されるだろう。場合によっては人を操るスキルの持ち主で……」「分かった。うん。お兄ちゃんをエアヴァクセンに行かせちゃいけない」 アパルさんの説明でやっとアナイナが納得してくれた。 アナイナが納得するなんて、さすがはアパルさん、勉強好き。説得が上手い。「あのさ」 ぼくは恐る恐る声をあげた。「一つ、いい?」「勿論」「本当に、町にしない?」 アナイナ以外全員年上、町から追い出されて苦労した人たちを前にこれを言うのは度胸が要った。でもぼくは言った。「この町はランク外。だから、紹介状もランク確認もいらない
ほっとしたぼくの耳に届いてきたのは、雄叫び。 なんだ、何があった? 何かあった? 服を着替える暇も惜しく飛び出すと、町はそのままで、並んだ六軒の家の一軒で、ヴァダーさんが雄叫んでいた。「ヴァダーさん?!」「家が……家が消えていない! 町も消えていない!」 ……そうだね、ヴァダーさん、ぼく以上に心配していたからね。目が覚めたら夢だとか消えてたとか。「さて、これからどうしよう」 変な場所に町を造っちゃったなあ……。 森の奥深く、野獣や魔獣が平気で出る場所。エアヴァクセンに気付かれない土地。他の町との交流しようがない僻地。 確かに畑があって獣を捕らえて捌く場所があって水も豊かな町になっているけど、見た目だけ。住人七人は正直町とは言えない。村ですらない。寄合だ。「う~ん」「どうしたの?」「いや、色々と」 この返事はアナイナのお気に召さなかったらしい。グイっと耳を引っ張られる。「痛い」「お兄ちゃん、わたしに言えないこと考えてたの?」「いや、そうじゃなくて」 言っても仕方のないことを考えてたんだけど。 アナイナは納得せず更に耳を引っ張る。身長差があるから結構痛い。「アナイナ、痛い、痛い」「じゃあ言ってよ。わたしに内緒で何悩んでるの」「言っても仕方ないから……」「言ってみなきゃわからないでしょ?」 家の前でわーわーやっていると、ヴァダーさんの雄叫びで起き出した人たちも集まってきた。「どうしたんだね?」「ヒロント団長」「お兄ちゃんが考え事があるのになんでわたしを頼ってくれないのかって言ってたの」「頼れないんだよ……」「この町に、何か問題でも?」 久しぶりにベッドで寝たというマンジェさんが不機嫌そうに言う。「いや……場所が、良くないんじゃないかと」「場所?」「他の町とも離れてるし、人がなかなか来れないところだし……」「ああ、そうだな」 シエルさんも難しい顔をする。「町と言うには人口もないし増える予定もないし……。一目この町を見れば、是非とも住みたいという人が出てくるんだろうがなあ……この素晴らしい町……」「最低でも五十人。町と名乗るにはあと四十人近い人間がいるが、追放者を呼び込むにしても街道からも遠い……」 アパルさんが唸る。「いっそ、町ごと持ち歩ければいいんだけど」 ぽつりと呟いたぼくの言葉に、アナイ
「えっと。アパル、さん?」 綺麗に焼けた焼き魚の身を歯でむしり取りながら、アパルさんは「ん?」と言う顔をした。「スキル学を、勉強してらっしゃったんですか?」「んん? んん、まあ。「法律」なんてスキルのせいか、色々学ぶことが楽しくてね。盗賊に身を落としても勉学だけは捨てられなかった」 身を噛んで飲み込んでから、アパルさんは頷いた。そう言えば宴会前、洞窟から大量の本を家に移動させていた。どうやってあれだけの本を持って出られたのかちょっと不思議な気がする。 それはさておこう。今欲しい情報はそれじゃない。「スキル学って、どんなことを勉強するんですか? 確か「スキル学におけるレベルか上限1の噂話を、昔、聞いたことがある」とか仰ってましたね。レベル上限が1の法則。それ以上上げる必要がないからの1なんだって……」「ああ。スキル学の古い文献でそう言われている……。でも、多分、君の欲しい答えは、私が学んだスキル学にはないと思う」 目を丸くしたぼくに、ほろ酔い状態のアパルさんは苦笑した。「スキル学は、スキルについて研究するものだけど、スキルで何ができるかの実験などではないんだ。伝説や伝承を集めて、どんなスキルがあってどんな風に役立ったか、過去のことを調べる学問なんだ」「過去……」 ぼくは、スキル学はエアヴァクセンがやっているように、スキルの持ち主を集めてどんなことができるのか試す学問だと思っていた。だから、アパルさんの手を借りれば、この意味不明のスキルを理解できると思っていた。 だけど、違うらしい。 本来のスキル学は過去のデータを集めるものらしい。「だから、君が君のスキルとレベルで何ができるか、と言う未来を予測することはできない。実践してみないことには」「実践……」 アパルさんは器の酒を空けて、袖で口元を拭う。「その実践については、まったくもって悔しいことにエアヴァクセンが世界一なんだよ。あの町長は町を富ませ、SSSランクになることを悲願としている。だからこそ、スキルの成長研究に金を注ぎこんでいるんだ」 ……その町長に見限られたんだから、ぼくも相当なもんだろうなあ。「少しでも分かること、ありますか?」「そうだねえ……」 アパルさんは木の器を傾けながら唸る。「スキルとは、この世界を創り上げる精霊神が、気に入った人間に与えると伝承ではある。それ
盗賊団の皆さんが感動と号泣と荷運びを終えたところで、ぼくとアナイナがいる家にやってきた。 手に手に、焼けた魚だの炙った干し肉だの多分酒が入った壺だのを持っている。「……えーと?」「飲もう!」「えーと」 シエルさんの端的な言葉に悩んでしまったぼくに、ヒロント団長が笑いかけた。「儂らだけの町を造ってくれたお礼と、儂らのこれからを祝って、宴会をしようと言う話になった。主役は君だ。来てくれるかな?」「そ……」「喜んで!」 ぼくより先にアナイナが返事した。「アナイナ……」「こういう時はね、盛大にお祝いするのがいいの! みんなもそれを願ってるの! 何がどうあってもこの町を造ったお兄ちゃんがこの宴会の主役なの! お兄ちゃんがいないとお祝いにならないの!」「そういうことだよ、クレーくん」 ヒロント団長が大きく頷いた。「何のお返しにもならんが、せめて感謝させてくれ。エアヴァクセンから出てきたばかりの君らの舌には合わんかも知れんが、今儂らにできる精一杯で感謝させておくれ」「……じゃあ……うん、お邪魔じゃなければ……」「おいおい、妹さんも言っただろう、君が主役だと」 主役……ねえ。 ぼくは結構地味な子供だった。エアヴァクセンでは同年代の子供を集めて一緒に教育するけど、その中でもかなり目立たない方にランクインしていた。集団行動で町の外へ見学に行った時に、ちょっと用足しに行った隙に忘れられてみんな帰ってしまって、両親が慌てて迎えに来たことがある。 主役なんて、なったことない。 でも……一応この宴会は、ぼくの「まちづくり」に感謝してってことなんだから、ぼくが主役になるのかなあ。「行こ、お兄ちゃん!」 アナイナが手を引っ張って、盗賊団の皆さんがぼくを担ぎ上げて、わっしょいわっしょいと町の広場へ向かった。 宴会は、本当に素朴なものだった。 町の広場に火を焚いて、そこで肉や魚を炙りながら食べる。食料を持たされなかったぼくには半日ぶりの食事で、「食獣」のマンジェさんが美味しくしてくれている。 盗賊団……と言っても反エアヴァクセンを掲げたこの人たちは、話に聞く盗賊団と違って、移転者狙いでも旅をするのに必要な金と荷物は残すらしい。つまり、森の奥に金銀財宝を積み上げてさらってきた女を侍らせて……と町から離れて贅沢三昧、とは縁がない人たち。 狩った野獣や
正直、ショボい光景を覚悟して目を開けた。 所詮はレベル1Maxのスキルだ、ボロ家の一軒でも立っていれば大ラッキーという気分で。 ゆっくり開いた視線の先、眼の前にあるのは、門だった。 衛兵がいてもおかしくないような、立派な門。 左右を見れば、城壁と言ってもいい立派な塀。 エアヴァクセンよりも立派な入り口だった。「これ……は……?」「おいおい、レベル1のもんじゃないぜこれは」 盗賊団の皆さんも呆然と入口を見上げている。 アナイナだけが、自分がやったわけでもないのに得意気に胸を張っていた。「ほーら、やっぱり、お兄ちゃんじゃない」 何だその威張り方は。「い、いや、塀だけが立派だっていう可能性もある。中に入ってみないことにゃ」 ヒロント団長の言葉に、アナイナを除いた全員が頷き、恐る恐る門をくぐる。 恐らく身分などを改められる小部屋を抜けて、入った塀の中。 中を見て、これまたアナイナを除いた全員が絶句した。 門から奥に一直線に伸びる大通り。 向かい合って並んで建つ、小さいけど立派な六軒の家。 奥の方に食肉解体所。 泉のあった場所には、屋根の付いた水汲み場がある。 そして水汲み場の更に向こうに、倉庫や畑。少なくともここにいる全員が暮らしていけるだけの設備が整っていた。「す……げえ……」 ヴァダーさんの口は開いたまま。「スキル学におけるレベル上限1の噂話を、昔、聞いたことがある」 アパルさんが、呟いた。「レベル上限が1なのは、それ以上上げる必要がないからの1なのだと……しかし、まさか、「まちづくり」とはいえ、ここまでの町ができるとは」「でも小さいな」 シエルさんの呟きに、フォローを入れてくれたのはヒロント団長だった。「それは多分、今ここにいる全員が生きていけるだけの町、と思って作ったからじゃろう、そうじゃな、クレーくん?」「あ、はい」 人の住めない町が出来上がることも覚悟していたので、とりあえずここにいる七人が生きていける町、と望んだ。「じゃあちょっと待て、エアヴァクセンのような千人規模の町を造ろうと思えば造れる、そういうことなのか?」「いや、それは分かんない」 やってみようと思ったこともないし。ていうかそもそも町が造れるとも思ってなかったし。「これだけでも十分だろ」 ヴァダーさんが町を見回して言った。「人
一瞬空気が凍り付き、動き出すのに数秒かかった。「簡単に言ってくれるなお嬢さん」 盗賊団、スキル「法律」のアパルさんが苦笑した。「町を造るには、色々なスキルの持ち主が大勢集まらなければならない。まずお嬢さんは未成年だからスキルもない。そして我々もそのようなスキルはない……」「一応食事には困らないけど、洞窟の中での生活があんたに耐えられるとは思えないけどね」 スキル「食獣」のマンジェさんが不愉快そうな顔をした。確かにそうだよな、家を建てるみたいなスキルがない限り、雨風をしのげるところなんて洞窟とかしかない。聞いた限り、反エアヴァクセン盗賊団の中に家を建てられるスキルはない。「お兄ちゃんがいるんだもん、大丈夫だよ」 ああ、まただ。 アナイナの「大丈夫」ほど大丈夫じゃないものはない。 アナイナにかかっては、ぼくが絡んでいれば大体「大丈夫」なんだ。理屈もへったくれもない、ただの思い込み。「レベル1にしてMaxになったお兄ちゃんが、役に立つのか?」「立つよお」「アナイナ」 口を塞ごうと手を伸ばす前に、アナイナはマンジェさんに向かって反抗的に言った。「だって、お兄ちゃんのスキルは「まちづくり」なんだから」 今度こそ。 誰も身動きしなくなった。「まちづくり……?」 ヒロント団長が呟いた。「……本当に?」「うん。鑑定式で見たもん。スキル名「まちづくり」、レベル1、上限1って」「いやいやそれはないだろう」 マンジェさんが手を横に振る。「確かにスキル名は魅力だが、上限レベル1ってのは役に立たないって言ってるのと同じだ」「やってみないと分からないでしょ? だって、お兄ちゃんまだスキル使ったことないんだもん、ねー」 ねーじゃないねーじゃ。 確かにぼくはこのスキルで何ができるのかを知らない。これが「家つくり」だったりしたら追放されても森のどこかでぼろ屋を作ってそこで生活しようとも思えただろうけど、「まちづくり」はざっくりしすぎてて何ができるのかは分からない。 「可能性は、ある、な」 ヒロント団長はついてこい、とぼくを手招きした。「あの、ぼく、盗賊団に入るって決めたわけじゃ……それに妹を返してこないと」「えーっ!」 アナイナが金切り声をあげた。「やーーーっ! お兄ちゃん、一緒に連れてってくれるんじゃなかったの? わたし、お兄ち