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第11話・町に必要なのは

Auteur: 新矢識仁
last update Date de publication: 2026-05-10 08:04:05

「これで、町長はお兄ちゃん。名前もグランディールに決まった」

 アナイナは満足そうに言って、みんなを見回した。

「これから、どうする?」

「住民を集めるんじゃないの?」

「いや、必要なものがある」

「えー?」

 自分の考えを反対されるのに慣れていないアナイナが。割って入って来たアパルさんに口を尖らせる。

「何よ」

「町の売りだよ」

「空飛ぶ町ってのじゃダメなの?」

「そうじゃない。ただ空を飛ぶだけじゃ、町の売りにはならないんだ」

「なんでー?」

「だって、不便なところもあるだろう? 今のところ、下に降りるにはグランディールを下ろしてやらないといけないし、上り下りする時にいちいち動かさなければいけない」

「あ、そっか」

 納得するしかない言葉を言われて、うん、とアナイナが頷く。

「その不便さを背負ってでもこの町に引っ越してきたいという、こう、背中を押す何かがなければ、人は来ない」

「じゃあ、みんなが来たいと思う素敵な何かを考えなきゃならないの?」

「そう」

 さすがのアナイナもこの難問にいつもの適当な答えを出せず、悩んでしまう。

「売りはさておいて、人を呼ぶとして足りないものは?」

 
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  • Lv1・Maxからのまちづくり   第54話・スキルの素

     ヴァローレの瞳が金色に光る。 普通の物の鑑定ならどうということもないけれど、他人のスキルや誰かがスキルを仕込んだ痕跡などを鑑定する時は目が光る。だからこっそり鑑定することができない。 今は関係ないけどね。スキルの痕跡を見てるって知られて困る人はここにいない。 目を光らせながら一つずつ荷物を見ていくヴァローレ。 手にとってはじっと見て、「違う」と呟いて牛車から下ろす。 そうやって一つずつ荷物を下ろしながら確認していき、ある一つで目を止めた。「これだ」 呟いて、荷物の中からヴァローレが引っ張り出したのは、野菜の種の袋に仕込まれた小さな留め具だった。「スキルが仕込まれてる」「どんなスキル?」「ん~……」 金色の目が留め具を凝視。「これのある場所を特定できる、かな」「リューの「場所特定」みたいな?」「ああ。だけどスキルを込めたものがないと特定できないタイプらしい。じゃなきゃこんなもの仕込まない」 留め具をぼくの手の中に落とすと、次の荷物に取り掛かる。 全部の荷物を「鑑定」するのに半刻かかった。「うん、これだけだ。数を置いたら怪しまれると思ったのかな」「これをここに置いていけば、追ってこられない?」「ああ。他の物にスキルやそれに関係する気配はないからね」 ぼくには何の変哲もない留め具にしか見えない。それが見えるヴァローレはすごいと思う。「だから、スピティで仕込まれたものがあるとすればこれの他にはない」 金の瞳が緑の瞳に戻る。「っと、こんな感じでいいかい?」「十分十分。ありがとうヴァローレ。きみがいてくれてよかった」「鑑定ならエアヴァクセンの鑑定師より上かもな」「おい、褒め殺すつもりか? SSランクの鑑定師なんて、手の届かない人間だろう」「いやいや、それこそスキルすら「鑑定」するスキルは珍しい。君の故郷はレベルと低上限で惑わされて追い出したんだろうが、失敗したな」「僕は失敗してもらえてよかったけど」 照れ隠しのように頭を掻いて、ヴァローレは呟く。「そりゃあ盗賊に身を落としていた頃は先の見えない人生で真っ暗だったけど……。僕は、グランディールで役に立った方が、他の町で鑑定師として扱われるより楽しい……と思う。鑑定師を見たこともないヤツが何言ってんだって思われるだろうけど」「そう言ってもらえると嬉しい」 これはぼく

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第51話・気になること

    「ははは、それで牛車ごと売ってきたと」 デレカートが愉快そうに笑う。 ここはデレカート商会の建物。トラトーレが四頭立て牛車の準備と、ついでに礼という名の生活用品などを積み込むのに時間がかかるので、ぼくを囲んでてくてくとデレカート商会まで歩いてきたというわけ。「トラトーレとしてはピーラー氏は失いたくない顧客ですからな。ピーラー氏自身は厄介な方ですが、彼が紹介する顧客は大手の信頼のおけるところばかりで」 なるほどねえ。それであれだけワガママ聞いてたわけだ。いい客を連れてきてくれる客は大事大事。「しかし、話に聞く巨大ベッド、四ヶ月後なのでしょう? 間に合うのですか……?」「一つ目も二ヶ

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第50話・史上まれにみるひどい客

    「……素晴らしい、その一言ですな」 トラトーレがそう言ってぼくの顔を見る。「草原をイメージした、五人も並んで眠れそうなベッド。……完成しないと思っていましたよ」「無理もない」 アパルが苦笑する。「うちのデザイナーが何夜もかけてデザインしたものです」「木質も作りも何もかもが素晴らしい……」 トラトーレがごくりと唾をのむ。「グランディールの町スキルは真に、真に素晴らしい!」「……ありがとうございます」 アパルやサージュでなく、ぼくが頭を下げる。「これを、ピーラー氏に直接お渡しすればよろしいでしょうか」「はい。私共は既に仲介料を受け取っておりますので」 それにしても、とト

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第49話・ベッド完成(一つだけ)

     それから月日が過ぎ、ようやっとベッドの一つが完成した。 と言っても、ベッド製作時間はほぼ一瞬。町民がベッドが出来るように念じ、細かいデザインやなんかをシエルが思い浮かべるだけ。それだけで超巨大ベッドが出来上がる。 もっとも今回はちょっと例外だったけど。 いつもなら家具工場の中に出来るようにと念じるけど、今回は町の門……入り口に出来るようにと念じたのだ。 だって、デカいんだもん。ベッド。 一旦町を下ろし、ファーレに特製の牛車を作ってもらい、乗せる手間を省くため、幌を被せず、四頭立て牛車の上に作り上がるようにと念じてもらった。 完成したベッドはそりゃあすんばらしい出来だったけど、門

  • Lv1・Maxからのまちづくり   第48話・説教は続くよいつまでも

     シートスの懇々としたお説教はその後も続く。「二人とも町長の特別な存在になりたいんでしょうけど、町長が町民の誰かに贔屓したら他の町民に不満が出るでしょう? 町長には平等でいていただかないと困るんです。それを妹だ騎士だと自分が一番名乗り上げて……自分が優先されないと気が済まない! あなたたちは恐らく、自分こそが町長の一番お気に入りと認められたいのでしょうが、町長に町民の一番気に入りがあっては困るんです! なりたいと思う気持ちは分かりますよ? あなたは町長の妹ですし、あなたは町長に忠誠を捧げたい。町長の特別になりたい。でもその結果がどうなるか考えたことがあるんですか?

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