登入「えっと。アパル、さん?」
綺麗に焼けた焼き魚の身を歯でむしり取りながら、アパルさんは「ん?」と言う顔をした。
「スキル学を、勉強してらっしゃったんですか?」
「んん? んん、まあ。「法律」なんてスキルのせいか、色々学ぶことが楽しくてね。盗賊に身を落としても勉学だけは捨てられなかった」
身を噛んで飲み込んでから、アパルさんは頷いた。そう言えば宴会前、洞窟から大量の本を家に移動させていた。どうやってあれだけの本を持って出られたのかちょっと不思議な気がする。
それはさておこう。今欲しい情報はそれじゃない。
「スキル学って、どんなことを勉強するんですか? 確か「スキル学におけるレベルか上限1の噂話を、昔、聞いたことがある」とか仰ってましたね。レベル上限が1の法則。それ以上上げる必要がないからの1なんだって……」
「ああ。スキル学の古い文献でそう言われている……。でも、多分、君の欲しい答えは、私が学んだスキル学にはないと思う」
目を丸くしたぼくに、ほろ酔い状態のアパルさんは苦笑した。
「スキル学は、スキルについて研究するものだけど、スキルで何ができるかの実験などではないんだ。伝説や伝承を集めて、どんなスキルがあってどんな風に役立ったか、過去のことを調べる学問なんだ」
「過去……」
ぼくは、スキル学はエアヴァクセンがやっているように、スキルの持ち主を集めてどんなことができるのか試す学問だと思っていた。だから、アパルさんの手を借りれば、この意味不明のスキルを理解できると思っていた。
だけど、違うらしい。
本来のスキル学は過去のデータを集めるものらしい。
「だから、君が君のスキルとレベルで何ができるか、と言う未来を予測することはできない。実践してみないことには」
「実践……」
アパルさんは器の酒を空けて、袖で口元を拭う。
「その実践については、まったくもって悔しいことにエアヴァクセンが世界一なんだよ。あの町長は町を富ませ、SSSランクになることを悲願としている。だからこそ、スキルの成長研究に金を注ぎこんでいるんだ」
……その町長に見限られたんだから、ぼくも相当なもんだろうなあ。
「少しでも分かること、ありますか?」
「そうだねえ……」
アパルさんは木の器を傾けながら唸る。
「スキルとは、この世界を創り上げる精霊神が、気に入った人間に与えると伝承ではある。それと、傾向としてスキル名が具体的な能力を現しているほど上限レベルが高く、あやふやなほど上限レベルが低い。その代わり、具体的なほどできることは限られ、あやふやなほど何でもできるようになると。私の「法律」なんか、その決まりを守らせることしかできない。ただし決まりを守らせることに関しては強い」
「ぼくのスキルは「まちづくり」……あやふやだから上限レベルが低い? で、できる範囲が広い?」
「ここに上限レベル1の法則が来る。スキルレベル1上限の法則は、それ以上上昇する必要がないから、という説がある。上限レベルが低い者ほど強力な力を持っている、と言う話に繋がる。一体どういう意味なのか、と思っていたが」
「何か分かったんですか?」
「上限レベルが低い、と言うことは、それ以上あげたら世界の存亡に関わる、と言うこと……に繋がるらしい」
「世界の存亡?!」
「ああ。君のスキルを見て腑に落ちた。最初に使ったばかりでこれだけの力を発揮する……これ以上上昇するとSSS級を超える力を発揮するからこそのレベル1なんだろう。使い方に慣れてきたらどんな町を造れるか楽しみだ」
お酒のせいか、アパルさんは少し上機嫌。
「楽しみって」
「君のスキルは「まちづくり」。この世界で最大の町と言えば、三百年続いて五十年ほど前に壊滅した、唯一のSSSランク、最大人口三千人のディーウェスの町。スキル名をそのままの意で取れば、そんな町を造ることも出来るだろう」
「おお。豊かなるディーウェス、富める強国よ! 汝、豊かさゆえに滅びん」
シエルさんが詩人のように伝説の町ディーウェスを讃える一文を呟く。
いや、「富める強国」ディーウェスはぼくも知ってるよ? 知ってるけどさ、ぼくのスキルでそんな町が造れるわけないでしょ?
顔に出ていたのか、アナイナがぼくの鼻を強めに摘まむ。
「痛ッ」
「やってみなきゃわかんないでしょ?」
「いや、こればっかりは」
「夢は大きい方がいいの!」
まあ……アナイナの言葉にも一理あるけど……今は、夢を大きく持っていくより、この町が一晩明けても消えないことを祈るしかないんだよなあ。
ないんだよなああ!
◇ ◇ ◇薄いお酒なのに全員酔っぱらってふらふらとそれぞれの家に戻り、ぼくとアナイナも家に戻って、アナイナがなんで一緒に寝てたのにベッド別々になってるのと文句を言うのをもうこっちは成人だから妹と一緒に寝られないと無理やりアナイナ用のベッドに押し込んで眠って。
次の朝、町は消えていなかった。
「よ……かった……!」
ぼくの心配が一つ消えて、思わずへたり込んでしまった。
門まで行った、その光景。 塀で囲まれた部分と、門のすぐ外。 さっくりと切り取られたようになって、その先に地面がない。(まさか?!) その、まさかだった。 恐る恐る切り取られた先を見下ろすと、下には緑のもこもこ。森だ。 つまり……浮いている!「うっそ、本当に……」 盗賊団の皆さんも、ぼくと同じ思いだったらしい。「本当に空を飛ぶとは……」「嘘だろおい……」「なんで……」 呆然とした声が空に流れていく。 真下の山肌に洞窟が見えることから、今はこの町は真上に浮いているようだ。 それだけでとんでもない話だ。 しかも、それがぼく一人のスキルで。 レベル1、Maxの力で。SSランクの町に相応しくないと追い出された力で。 町長に見せてやりたいと思ってたら、風景が流れ出した。 この方向は……。「わ、ストップ、ストップ!」 明らかにエアヴァクセンへ向かい出したので、慌てて声に出して止める。 風景が流れなくなったのを確認して、ぼくは胸をなでおろす。「よかった~……焦った~……」「クレーくんの思った通りに移動することも出来るんだ……」「すごいな。世界中を回ることだって可能だ」「えー、なんで? なんでやめるの?」 アナイナが不満げに声をあげた。「町長に見せびらかすチャンスなのに」「今行ったら空の飛べる人たちに乗り込まれて町を奪われて終わりだよ」 アパルさんもうんうんと頷く。「捨てて逃げて、もっといい町を造ればいいじゃない」「クレー君が造って動かせると知れば、町長がクレー君を確保に動く。それこそ神殿の御神体のように扱われ、奴以外の誰にも会えないよう閉じ込められて町を操ることを強制されるだろう。場合によっては人を操るスキルの持ち主で……」「分かった。うん。お兄ちゃんをエアヴァクセンに行かせちゃいけない」 アパルさんの説明でやっとアナイナが納得してくれた。 アナイナが納得するなんて、さすがはアパルさん、勉強好き。説得が上手い。「あのさ」 ぼくは恐る恐る声をあげた。「一つ、いい?」「勿論」「本当に、町にしない?」 アナイナ以外全員年上、町から追い出されて苦労した人たちを前にこれを言うのは度胸が要った。でもぼくは言った。「この町はランク外。だから、紹介状もランク確認もいらない
ほっとしたぼくの耳に届いてきたのは、雄叫び。 なんだ、何があった? 何かあった? 服を着替える暇も惜しく飛び出すと、町はそのままで、並んだ六軒の家の一軒で、ヴァダーさんが雄叫んでいた。「ヴァダーさん?!」「家が……家が消えていない! 町も消えていない!」 ……そうだね、ヴァダーさん、ぼく以上に心配していたからね。目が覚めたら夢だとか消えてたとか。「さて、これからどうしよう」 変な場所に町を造っちゃったなあ……。 森の奥深く、野獣や魔獣が平気で出る場所。エアヴァクセンに気付かれない土地。他の町との交流しようがない僻地。 確かに畑があって獣を捕らえて捌く場所があって水も豊かな町になっているけど、見た目だけ。住人七人は正直町とは言えない。村ですらない。寄合だ。「う~ん」「どうしたの?」「いや、色々と」 この返事はアナイナのお気に召さなかったらしい。グイっと耳を引っ張られる。「痛い」「お兄ちゃん、わたしに言えないこと考えてたの?」「いや、そうじゃなくて」 言っても仕方のないことを考えてたんだけど。 アナイナは納得せず更に耳を引っ張る。身長差があるから結構痛い。「アナイナ、痛い、痛い」「じゃあ言ってよ。わたしに内緒で何悩んでるの」「言っても仕方ないから……」「言ってみなきゃわからないでしょ?」 家の前でわーわーやっていると、ヴァダーさんの雄叫びで起き出した人たちも集まってきた。「どうしたんだね?」「ヒロント団長」「お兄ちゃんが考え事があるのになんでわたしを頼ってくれないのかって言ってたの」「頼れないんだよ……」「この町に、何か問題でも?」 久しぶりにベッドで寝たというマンジェさんが不機嫌そうに言う。「いや……場所が、良くないんじゃないかと」「場所?」「他の町とも離れてるし、人がなかなか来れないところだし……」「ああ、そうだな」 シエルさんも難しい顔をする。「町と言うには人口もないし増える予定もないし……。一目この町を見れば、是非とも住みたいという人が出てくるんだろうがなあ……この素晴らしい町……」「最低でも五十人。町と名乗るにはあと四十人近い人間がいるが、追放者を呼び込むにしても街道からも遠い……」 アパルさんが唸る。「いっそ、町ごと持ち歩ければいいんだけど」 ぽつりと呟いたぼくの言葉に、アナイ
「えっと。アパル、さん?」 綺麗に焼けた焼き魚の身を歯でむしり取りながら、アパルさんは「ん?」と言う顔をした。「スキル学を、勉強してらっしゃったんですか?」「んん? んん、まあ。「法律」なんてスキルのせいか、色々学ぶことが楽しくてね。盗賊に身を落としても勉学だけは捨てられなかった」 身を噛んで飲み込んでから、アパルさんは頷いた。そう言えば宴会前、洞窟から大量の本を家に移動させていた。どうやってあれだけの本を持って出られたのかちょっと不思議な気がする。 それはさておこう。今欲しい情報はそれじゃない。「スキル学って、どんなことを勉強するんですか? 確か「スキル学におけるレベルか上限1の噂話を、昔、聞いたことがある」とか仰ってましたね。レベル上限が1の法則。それ以上上げる必要がないからの1なんだって……」「ああ。スキル学の古い文献でそう言われている……。でも、多分、君の欲しい答えは、私が学んだスキル学にはないと思う」 目を丸くしたぼくに、ほろ酔い状態のアパルさんは苦笑した。「スキル学は、スキルについて研究するものだけど、スキルで何ができるかの実験などではないんだ。伝説や伝承を集めて、どんなスキルがあってどんな風に役立ったか、過去のことを調べる学問なんだ」「過去……」 ぼくは、スキル学はエアヴァクセンがやっているように、スキルの持ち主を集めてどんなことができるのか試す学問だと思っていた。だから、アパルさんの手を借りれば、この意味不明のスキルを理解できると思っていた。 だけど、違うらしい。 本来のスキル学は過去のデータを集めるものらしい。「だから、君が君のスキルとレベルで何ができるか、と言う未来を予測することはできない。実践してみないことには」「実践……」 アパルさんは器の酒を空けて、袖で口元を拭う。「その実践については、まったくもって悔しいことにエアヴァクセンが世界一なんだよ。あの町長は町を富ませ、SSSランクになることを悲願としている。だからこそ、スキルの成長研究に金を注ぎこんでいるんだ」 ……その町長に見限られたんだから、ぼくも相当なもんだろうなあ。「少しでも分かること、ありますか?」「そうだねえ……」 アパルさんは木の器を傾けながら唸る。「スキルとは、この世界を創り上げる精霊神が、気に入った人間に与えると伝承ではある。それ
盗賊団の皆さんが感動と号泣と荷運びを終えたところで、ぼくとアナイナがいる家にやってきた。 手に手に、焼けた魚だの炙った干し肉だの多分酒が入った壺だのを持っている。「……えーと?」「飲もう!」「えーと」 シエルさんの端的な言葉に悩んでしまったぼくに、ヒロント団長が笑いかけた。「儂らだけの町を造ってくれたお礼と、儂らのこれからを祝って、宴会をしようと言う話になった。主役は君だ。来てくれるかな?」「そ……」「喜んで!」 ぼくより先にアナイナが返事した。「アナイナ……」「こういう時はね、盛大にお祝いするのがいいの! みんなもそれを願ってるの! 何がどうあってもこの町を造ったお兄ちゃんがこの宴会の主役なの! お兄ちゃんがいないとお祝いにならないの!」「そういうことだよ、クレーくん」 ヒロント団長が大きく頷いた。「何のお返しにもならんが、せめて感謝させてくれ。エアヴァクセンから出てきたばかりの君らの舌には合わんかも知れんが、今儂らにできる精一杯で感謝させておくれ」「……じゃあ……うん、お邪魔じゃなければ……」「おいおい、妹さんも言っただろう、君が主役だと」 主役……ねえ。 ぼくは結構地味な子供だった。エアヴァクセンでは同年代の子供を集めて一緒に教育するけど、その中でもかなり目立たない方にランクインしていた。集団行動で町の外へ見学に行った時に、ちょっと用足しに行った隙に忘れられてみんな帰ってしまって、両親が慌てて迎えに来たことがある。 主役なんて、なったことない。 でも……一応この宴会は、ぼくの「まちづくり」に感謝してってことなんだから、ぼくが主役になるのかなあ。「行こ、お兄ちゃん!」 アナイナが手を引っ張って、盗賊団の皆さんがぼくを担ぎ上げて、わっしょいわっしょいと町の広場へ向かった。 宴会は、本当に素朴なものだった。 町の広場に火を焚いて、そこで肉や魚を炙りながら食べる。食料を持たされなかったぼくには半日ぶりの食事で、「食獣」のマンジェさんが美味しくしてくれている。 盗賊団……と言っても反エアヴァクセンを掲げたこの人たちは、話に聞く盗賊団と違って、移転者狙いでも旅をするのに必要な金と荷物は残すらしい。つまり、森の奥に金銀財宝を積み上げてさらってきた女を侍らせて……と町から離れて贅沢三昧、とは縁がない人たち。 狩った野獣や
正直、ショボい光景を覚悟して目を開けた。 所詮はレベル1Maxのスキルだ、ボロ家の一軒でも立っていれば大ラッキーという気分で。 ゆっくり開いた視線の先、眼の前にあるのは、門だった。 衛兵がいてもおかしくないような、立派な門。 左右を見れば、城壁と言ってもいい立派な塀。 エアヴァクセンよりも立派な入り口だった。「これ……は……?」「おいおい、レベル1のもんじゃないぜこれは」 盗賊団の皆さんも呆然と入口を見上げている。 アナイナだけが、自分がやったわけでもないのに得意気に胸を張っていた。「ほーら、やっぱり、お兄ちゃんじゃない」 何だその威張り方は。「い、いや、塀だけが立派だっていう可能性もある。中に入ってみないことにゃ」 ヒロント団長の言葉に、アナイナを除いた全員が頷き、恐る恐る門をくぐる。 恐らく身分などを改められる小部屋を抜けて、入った塀の中。 中を見て、これまたアナイナを除いた全員が絶句した。 門から奥に一直線に伸びる大通り。 向かい合って並んで建つ、小さいけど立派な六軒の家。 奥の方に食肉解体所。 泉のあった場所には、屋根の付いた水汲み場がある。 そして水汲み場の更に向こうに、倉庫や畑。少なくともここにいる全員が暮らしていけるだけの設備が整っていた。「す……げえ……」 ヴァダーさんの口は開いたまま。「スキル学におけるレベル上限1の噂話を、昔、聞いたことがある」 アパルさんが、呟いた。「レベル上限が1なのは、それ以上上げる必要がないからの1なのだと……しかし、まさか、「まちづくり」とはいえ、ここまでの町ができるとは」「でも小さいな」 シエルさんの呟きに、フォローを入れてくれたのはヒロント団長だった。「それは多分、今ここにいる全員が生きていけるだけの町、と思って作ったからじゃろう、そうじゃな、クレーくん?」「あ、はい」 人の住めない町が出来上がることも覚悟していたので、とりあえずここにいる七人が生きていける町、と望んだ。「じゃあちょっと待て、エアヴァクセンのような千人規模の町を造ろうと思えば造れる、そういうことなのか?」「いや、それは分かんない」 やってみようと思ったこともないし。ていうかそもそも町が造れるとも思ってなかったし。「これだけでも十分だろ」 ヴァダーさんが町を見回して言った。「人
一瞬空気が凍り付き、動き出すのに数秒かかった。「簡単に言ってくれるなお嬢さん」 盗賊団、スキル「法律」のアパルさんが苦笑した。「町を造るには、色々なスキルの持ち主が大勢集まらなければならない。まずお嬢さんは未成年だからスキルもない。そして我々もそのようなスキルはない……」「一応食事には困らないけど、洞窟の中での生活があんたに耐えられるとは思えないけどね」 スキル「食獣」のマンジェさんが不愉快そうな顔をした。確かにそうだよな、家を建てるみたいなスキルがない限り、雨風をしのげるところなんて洞窟とかしかない。聞いた限り、反エアヴァクセン盗賊団の中に家を建てられるスキルはない。「お兄ちゃんがいるんだもん、大丈夫だよ」 ああ、まただ。 アナイナの「大丈夫」ほど大丈夫じゃないものはない。 アナイナにかかっては、ぼくが絡んでいれば大体「大丈夫」なんだ。理屈もへったくれもない、ただの思い込み。「レベル1にしてMaxになったお兄ちゃんが、役に立つのか?」「立つよお」「アナイナ」 口を塞ごうと手を伸ばす前に、アナイナはマンジェさんに向かって反抗的に言った。「だって、お兄ちゃんのスキルは「まちづくり」なんだから」 今度こそ。 誰も身動きしなくなった。「まちづくり……?」 ヒロント団長が呟いた。「……本当に?」「うん。鑑定式で見たもん。スキル名「まちづくり」、レベル1、上限1って」「いやいやそれはないだろう」 マンジェさんが手を横に振る。「確かにスキル名は魅力だが、上限レベル1ってのは役に立たないって言ってるのと同じだ」「やってみないと分からないでしょ? だって、お兄ちゃんまだスキル使ったことないんだもん、ねー」 ねーじゃないねーじゃ。 確かにぼくはこのスキルで何ができるのかを知らない。これが「家つくり」だったりしたら追放されても森のどこかでぼろ屋を作ってそこで生活しようとも思えただろうけど、「まちづくり」はざっくりしすぎてて何ができるのかは分からない。 「可能性は、ある、な」 ヒロント団長はついてこい、とぼくを手招きした。「あの、ぼく、盗賊団に入るって決めたわけじゃ……それに妹を返してこないと」「えーっ!」 アナイナが金切り声をあげた。「やーーーっ! お兄ちゃん、一緒に連れてってくれるんじゃなかったの? わたし、お兄ち







