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第113話 新しい扉が開く

Author: 暁万里
last update publish date: 2026-08-18 10:47:33

 個展初日の朝。

 澪は綾人とともにギャラリーへとやって来た。

 秋晴れの空の下、庭ではコスモスが風に揺れている。

 木製の扉の前で、ギャラリーのオーナーが穏やかな笑顔で二人を出迎えた。

「おはようございます」

「おはようございます。本日はよろしくお願いいたします」

 澪が深く頭を下げると、オーナーは嬉しそうに目を細めた。

「こちらこそ。今日という日を、ずっと楽しみにしていました」

 その言葉に、澪も自然と笑みを返す。

 扉が開かれる。

 柔らかな木の香りと、花の香りが静かに迎えてくれた。

     ◇

 ギャラリーには、十五作品が静かに並んでいた。

 大きな作品もあれば、小さな作品もある。

 けれど、そのどれもが『ありがとう』という想いで繋がっている。

 澪はひとつひとつの作品の前に立ち、ゆっくりと見つめた。

 花びらの向きを少しだけ整える。

 葉の角度を直す。

 ほんの数ミリだけ枝を動かす。

 その細かな手入れを終えるたび、小さく頷いた。

(うん……大丈夫)

 花たちも、この穏やかな空気の中でどこか嬉しそうに見えた。

 少し離れた場所では、綾人が静かにその様子を見守っていた。

 
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