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第35話 待花

Author: 暁万里
last update publish date: 2026-06-21 11:00:47

「それは俺の作品だ」

 綾人の言葉に、澪はゆっくりと目を見開いた。

「綾人さんの……」

 改めて作品へ視線を向ける。

白い桔梗。

 白百合。

 白い胡蝶蘭。

 色とりどりの花で作り上げられた作品ではない。静かで、凛とした強さと美しさを感じる。様々な白が重なり合いながらも、ひとつの世界を作り上げていた。

「すごいですね……」

 思わず呟く。

 胸の奥がじんわりと温かくなる。

 やっぱり、懐かしい。初めて見るはずなのに、どうしてだろう。

 ずっと昔から知っているものを見つけたような気持ちになる。

 この香りを知っている。

 アンジェリケでも扱っている花なのだから、当たり前だ。でも、違う。そうじゃない。私はこの花の、この作品の香りを、知っている。 

「気に入ったか」

 隣に立つ綾人の声に、澪はハッと意識を引き戻

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  • 「君は俺の花だ」妹に婚約者を奪われた私を、冷徹華道家が溺愛して離してくれません   第3話 触るな

    「……澪?」 聞き慣れた声だった。 その瞬間、澪の体は強張る。 振り返った先には、息を切らせた拓真が立っていた。 雨に濡れた髪。 乱れた呼吸。 まるで必死に追いかけてきたみたいだった。「澪……!」 澪の姿を見て、安堵したように表情を緩めた拓真が、一歩近づいてくる。 けれど澪は思わず一歩足を後ろに引いた。 その仕草に、拓真の顔が傷付いたように歪む。「待ってくれ。話を聞いてほしい」「……」「誤解なんだ」 その言葉に、澪は思わず顔を上げた。 誤解。 その言葉が胸に刺さる。 だって澪は見たのだ。確実に。この目で。 ホテルの前で。 拓真が美羽に口づける姿を。「誤

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