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153.社長の本音①

Author: Aica
last update publish date: 2026-01-02 23:01:50

「逢沢。これ。オレなりにちょっとやりたい企画とかまとめてみた」

部署でデスクワークをしていると、ヨッシーがそう言ってプロジェクトの資料を渡してくれる。

「あっ、ありがと! 実はあたしもちょっとまとめてみたんだ!」

そう言ってあたしも事前に用意していた資料をヨッシーに渡す。

「おぉ。お前もこの量すごいな」

「いや、だって自分の企画がカタチになるかもって思ったら、今までやりたくて温めてた想いがどんどん溢れてきちゃって」

「わかる! オレもいつどんなことがあってもいいように、ずっといろんな企画考えてきてたんだよね」

「うん。この資料見ればわかるよ」

「まぁ新人の頃から考えてたやつも、とりあえず書き出してるからさ。夢物語みたいな全然可能じゃないやつも書いてあるけどな」

「え、でもそれはそれで、今ならどこまで出来るかとかはなんとなくわかるしさ。その中で、どうすれば可能になるか考えようよ」

「マジで? それだとオレは嬉しいけど」

「もちろんもちろん。とにかくさ、うちらはまだまだ経験ないからさ、どんなのがいいとかわかんないし、もういいと思ったアイデアは出しまくろうよ」

「確かに。オレらで考えてても
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    「ええ。だから正直、神城とあんな記事出されるのは迷惑なのよ」「あっ、ですよね……」「と、いっても、神城をどうこう思ってるわけでもないわ。同じ被害者みたいなもんだし。彼がどういいう人間で、どういう人生を歩んできたのか、あたしは知ってるから、あんな記事実際は気にする必要もまったくないんだけど」「そうですよね。藤代さんは昔からの社長知ってますもんね……」「そうね。彼があーいう付き合い方してきたのも、それなりの理由があるのも知っているし、彼が抱えてることもわかってるから、正直あたしも彼があんな記事を書かれてすごく腹は立てているの」「藤代さんもなんですね……」そうなんだ。藤代さんもやっぱり同じように苛立ちを抱えているんだ。そっか、慧さんはそういう何かを抱えてるのも知ってるってことなんだな。羨ましいな。藤代さんの立場なら、慧さんの辛さとか抱えてるものとか強がってることとか、もっとわかってあげられたのかな。まだまだあたしはそこまで踏み込めない時もあるから、正直そこは少し寂しく思う。まだ慧さんは、そういう自分の弱さだったり、自分の過去を必要以上に話そうとはしてくれないから。だからと言って無理に聞き出そうとも思わないけど、でも何か抱えてるものがあるなら、あたしもそれを少しでも一緒に抱えたいし、わかってあげたいと思ってしまう。だけど、きっと今はまだ慧さんはあたしのことを思って、あたしが心配するような不安になるようなことは言葉にしないから。常にあたしが笑顔でいられるような、そんな場所と時間をいつも作ってくれているから。だから、そこは少しだけ寂しい、だなんて思ってしまうのは、少し贅沢な悩みなのかもしれないけど……。「あっ、ごめんなさい! 決してそういう意味で言ったんじゃないのよ!」すると、あたしが呟いた言葉に反応して、なぜか藤代さんが謝ってくる。「え? 何がですか?」あたしは何に対して謝られたのかわからず聞き返す。「決して昔の神城を知ってることをあなたに自慢したかったわけじゃないの」「あぁ~。なんだ。はい。わかってます」少し不安そうに話しかけてくる藤代さんが、少し可愛く思えて、笑いながらそう答える。「よかった。またやらかしたのかと思ったわ」「えっ? やらかしたって?」「今までのあなたへの態度。自分では気付かないうちに失礼な態度取ってたんじゃ

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    「ありがとうございます」『ん? 何が?』「電話、かけてきてくれて。慧さんの言葉を、声を、届けてくれて」だから、今あたしはその嬉しさを伝えるだけ。『オレが依那の声が聞きたくて、話したかったから』「嬉しいです。これで慧さん帰ってくるまで、また頑張れます」『オレも。依那と出会ってから、依那が当たり前にいてくれてたから。やっぱ長く離れるとオレも頑張れる力出ないみたい』「ホントですか?」『もちろん。依那がそばにいてくれて、メシ作ってくれて、ずっとオレを気にかけて支えてくれたことで、オレは日々頑張れてたんだなぁって、離れてまた初めて実感した』あたし自身が望んでしてくれることを、慧さんはそうやって感じてくれるなんて……。だけど、きっとそこには、あたしが慧さんを大好きで、その想いと共に存在してるのは確かだから。だから、あたしのその想いが、慧さんに届いてるのだとわかって、また嬉しくなる。「あたしの当たり前が、慧さんにとっての当たり前になってくれて嬉しいです」『そうだな。オレにとって依那はもう当たり前にいる存在だから。だからこそ、オレにとって、それだけ依那が大切な存在なんだってことだからわかっておいて』「はい」きっとその当たり前はマイナスの意味じゃなく、プラスの意味なんだと慧さんは伝えてくれているように感じた。いつか当たり前は慣れて飽きてしまう時がくる。だけど、あたしも慧さんとは、その当たり前がそういう意味じゃなく、いて当たり前の幸せを、ずっと感じ合える関係でいたい。当たり前だからこそその幸せにまた幸せを感じられたり、もっとその幸せが増えたり、大切に感じたり、そういう当たり前を、あたしは慧さんと作っていきたい。だからこそ、慧さんに好きでいてもらえる努力はし続けなければいけないし、好きだというその気持ちを、ちゃんと慧さんに伝えていかなければいけない。「慧さん。大好きです」だから、遠く離れている時だからこそ、会えない日々が続くからこそ、この言葉を伝えよう。不安だとか、寂しいだとか、そういう気持ちも全部ひっくるめて、結局その気持ちが一番大事だから。『ん。オレも』自分の想いをなかなか言葉にしない慧さんが、ここまで伝えてくれるだけで十分。あたしのその想いに対して、そうやって返してくれるだけで、ちゃんと届いてるのだと感じられる。そして、その言葉

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    『それ以外は?』「えっ?」『なんか不安だったり伝えておきたいことある?』「えっ……!?」慧さんからそう言われ、一瞬美山さんとの記事や、さっきのやり取りを思い出す。だけど、慧さんのこの言葉がそれを指してるのかはわからない。そもそも海外で忙しくしている慧さんが、今そんな情報を知ってるのかもわからない。でも、情報通の慧さんだから、もしかしたらもうすでにそれも知っているのかもしれない。だから、もしかしたら、あたしが不安で寂しくなったタイミングで、電話をかけてきてくれたのは、それを気にかけてなのかもしれない。だけど、もしかしたら、本当に同じタイミングで、あたしが慧さんを思い出して恋しくなってたのと同じように、慧さんもそう感じて、ただ電話をくれただけなのかもしれない。「いえ。大丈夫ですよ。慧さんは、お仕事頑張ってください」今慧さんが何を思って、何を知って、何を感じているかはわからない。だけど、今あたしが不安を伝えたところで、慧さんは出張中でどうにか出来るわけでもない。結局はその場しのぎの言葉になるかもしれない。だから、やっぱり今それを慧さんに伝えることはしないでおいた。『うん。ありがとう。依那の声聞けて、依那と話せてまた頑張れそう』「あたしもです。慧さんちょっと恋しくなってたんで、こうやって話せて嬉しかったです」だけど、恋しかったその気持ちは、伝えたくなった。それくらいは大丈夫だよね?だって、どんな時だって、あたしは慧さんをずっと恋しく想ってるのは確かだから。『ん? ちょっと……?』「え?」『ちょっとしか恋しくなってなかったってこと?』すると、電話越しから、慧さんの少し嬉しい意地悪な言葉が返ってくる。「あっ! いえ! めちゃめちゃ恋しいです! めちゃめちゃ慧さんに会いたいです!」そして、そんな慧さんにまんまと流されて、勢いよくあたしはその想いを伝えてしまう。『ハハ。よかった。出張で離れてる間に、オレへの気持ちも離れていってるのかと思った』「えっ!? そんなことあるはずないじゃないですか! 逆にこの会えない時間で慧さんの想いも強くなってます!」『なら安心した』やっぱり今日の電話での慧さんは、いつもと違う言葉をあたしにくれる。ほんの少しかもしれないけど、慧さんがこんな後ろ向きな言葉をあたしに対して、こんな言葉を伝えるのは

  • おいしい契約恋愛   178.彼女の実感⑩

    「ただ、あたしは単純で勢いで動いてるだけなんですけどね」「だから、オレにとったら、逆に振り回されてる」「えっ!? あたしにですか!? まさか!」「こういう時お前ならどう言うのかなとか、どんな反応すんのかなとか、逆にオレが考えてる」「嘘ッ!?」「そんな気持ちオレから持つことなんて今までなかった」「前の彼女にもですか?」「そう。誰にも。期待とか、希望とか、楽しみとか、心配とか、不安とか。特定の誰かにそういう明るい前向きな感情も負の感情も必要以上に持たないようにしてたし、自分自身実際そういう感情は生まれてこなかったから」「そこまで……ですか?」「あっ、仕事はまた別だけどな。まぁ

    last updateLast Updated : 2026-03-31
  • おいしい契約恋愛   158.社長の本音⑥

    そして、食堂から部署に戻ろうと、ちょうど閉まりかけてたエレベーターまで駈け寄って、乗り込む人のあとに続いて桜子と中に乗り込む。それからすぐ後ろの人がすぐの階で降りたタイミングで。「お疲れ様」後ろから声をかけられて振り向くと。「あっ、本村さん! お疲れ様です」すると、そこには社長と本村さんの姿が。うわっ! 気付いてなかった。社長と本村さん奥に乗ってたんだ。わー会社で会えて嬉しいっっ。「お疲れ様です。社長」「お疲れ……」……ん??なんでそんなボソッと呟く返し方??今、ここには桜子と本村さん、あたしたちのこと知ってる人しか乗ってないよね??なんか疲れてるのかな??「今

    last updateLast Updated : 2026-03-30
  • おいしい契約恋愛   162.社長の本音⑩

    「お前、自己評価低すぎな」「えっ?」「オレはさ。お前が思ってるより全然お前のこと好きだから。お前が実感してないだけで、オレん中ではそんな小さいことでも嫉妬するくらい、十分お前にハマってんだよ」「……ハマってくれてるんですか?」「いや、そこわざわざ確認しなくていいから」「え、めちゃ重要で大事なことです」「だからってなぁ。……って、オレも自分でビックリしてるわ」「えっ?」「まさかこんなんで嫉妬するくらい、誰かに本気でオレも好きになれるんだなって、改めて実感した」「本気で……」「でも、まさかそれがお前とは思わなかったけどな(笑)」「え、不服ですか?」「まさか。逆に納得だなっ

    last updateLast Updated : 2026-03-30
  • おいしい契約恋愛   160.社長の本音⑧

    「いや、意味わかんないのこっちだから。ってか、全然違うし。っつーかその逆だわ」「逆? ってなんですか?」「お前に愛想尽かしてたら、こんなイライラしてねぇわ」「えっ、イライラ……。じゃあ、やっぱり……あたしに……」「まさかオレがこんな小さいことで、イラつくとはな」「……」どうしよう。社長、あたしのことでイラついてる……。だけど、なんでイラついてんのかもわかんないし、どうすればいいのかもわかんない……。「あたしは……、どうすれば、いいですか……?」そう聞いたけど、ホントは怖い。なんて言われるのか。聞きたくない言葉を言われるのが怖い。だけど……。「はぁ……。ごめん」え

    last updateLast Updated : 2026-03-30
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