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4-5【同情か、怒りか(前編)】

Auteur: 蕪菁
last update Dernière mise à jour: 2025-12-27 15:50:08

 シシリューア共和国は、かつて大陸を発祥とする大帝国から独立した、十数の小国の一つである。

 建国時は国王の統治による君主制国家だったが、産業によって力を付けた貴族や商人の台頭で王家は求心力を失った。

 変わって国政に躍り出た有力貴族たちの尽力により、現在の貴族議会による共和制国家となった。

 これはアデーレもよく知る国の成り立ちであり、常識的なものだ。

「バルダート家は主に鉱山業で財を成し、現在の地位を確立していきました」

 淡々と語るロベルトの言葉に、静かに耳を傾けるアデーレ。

「蒸気機関の誕生で、特産でもある溶鉄鉱の需要は増大し、最初はその特需に沸きましたが……」

「うまくはいかなかったんですか?」

「ええ。大陸各所で採掘が活発になると、シシリューア産の溶鉄鉱は輸出から国内消費が主になりました」

 前に溶鉄鉱が竜の身体であると教わったことを思い出す。

 世界中に竜の体が眠っているのかと、心の中で驚く。

「このままでは共和国自体が国際的な競争力を失うと考えた旦那様は、唯一無二の最新技術を開発することに注力する方針へと転換しました」

「技術……それはうまく行ったんですか?」

 アデーレの問いに、ロベルトは力強くうなずく。

「熱を失った溶鉄鉱の再利用。廃棄以外の選択肢がなかったそれを特殊な技法により製錬し、素材として再利用するすべを確立しました」

 そこまで話したロベルトが、おもむろにポケットから何かを取り出す。

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