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第129話

Author: ルーシー
電話口で愛莉が弾んだ声を響かせた。

「まだだよ。これからララちゃんと海に行って、星を見るの!」

智也は居間のソファに腰を下ろし、タバコに火をつけた。

「......ああ。見終わったら早めに帰って休め」

「うん」

愛莉は素直に頷き、期待を込めて尋ねる。

「ねえパパも来てよ。パパがいないと、なんだか物足りないし、ララちゃんもつまらなそうなの」

智也は横目で浴室に立つ玲奈の姿を見やり、おじいさんに「泊まるように」と言われたことを思い出す。

結局、娘の誘いを断った。

「今日は行けない。また今度、三人で一緒に行こう」

愛莉はしょんぼりとした声を出した。

「......わかった」

「それじゃあ、ララちゃんを大事にしてやれ。パパは切るぞ」

沙羅の名が出た途端、愛莉の声は弾けた。

「やった!じゃあ行ってくるね。もしパパが来るなら早く来てね!」

「ああ」

電話が終わると、智也は携帯をしまった。

浴室に残っていた玲奈は、父娘のやり取りを聞き、失望と馬鹿らしい思いが入り混じる。

最初から最後まで、自分のことなど一言も出なかった。

心が痛む。

けれど涙は一滴も落ちない。
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