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第269話

Author: ルーシー
智也が受け入れた瞬間、邦夫の顔はぱっと明るくなった。

玲奈は疑問を抱えたまま、邦夫が休むまで沈黙を貫いた。

二人が二階に上がると、玲奈は寝室の前で足を止め、扉の外に立ったまま問いただした。

「智也......これ、どういうつもり?」

彼が「戸籍謄本を見つけた」と言ったから、彼女はここまで来た。

決して祖父に見せるための芝居をするつもりではなかった。

そんな偽りの温かさに、何の意味があるというのだろう。

智也は憤りを隠さない玲奈を見つめ、かすかに口角を上げた。

そして彼女の腕を取る。

「中で話そう」

玲奈は反射的にその手を振り払った。

「放して。

自分で歩けるわ」

怒りを帯びたまま部屋に入り、ソファに腰を下ろす。

智也も隣に腰を下ろし、横顔で彼女を見ながら言った。

「戸籍謄本は――じいちゃんが持っている」

玲奈は一瞬、言葉を失った。

だがすぐに察した。

この家で彼女たちの仲を望んでいるのは、邦夫ただ一人だ。

きっと離婚を止めるために、戸籍謄本を隠したのだろう。

短い沈黙ののち、玲奈は冷静に言った。

「だったら、もういいわ。

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