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第622話

Author: ルーシー
和真の身体が、ぴたりとこわばった。

心晴を見つめるその目に映っていたのは、なおも揺るがない拒絶だった。

その瞬間になってようやく、和真は彼女の本当の意図を悟った。

心晴がここへ来たのは、自分を本気で刑務所に送る覚悟を決めていたからだ。

そう思い至った途端、和真の顔つきは一変した。

醜く歪み、怒気をあらわにして怒鳴りつける。

「心晴、よく考えろよ。

今ここで訴えを取り下げれば、まだこれで終わりにできる。

けどお前がこのまま突っ張るなら、数年後に俺が出てきたとき、お前を一生悪夢の中に引きずり込んでやる。

一生、安らかに生きられないようにな」

だが、心晴はその脅しをまともに受け止めようとはしなかった。

苦く笑って、目を赤くしたまま彼を見つめる。

「和真。

昔の私は、本当にあなたを愛していた。

でも、少しずつ見えてきたの。

あなたは一度だって私を愛してなんかいなかった。

最初から最後まで、あなたが愛していたのは自分だけだった。

あの日、私はあなたにやめてって言った。

何度もお願いした。

でも、あなたは私の言葉なんて少しも聞かなかった。

今日ここへ来たのは
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  • これ以上は私でも我慢できません!   第622話

    和真の身体が、ぴたりとこわばった。心晴を見つめるその目に映っていたのは、なおも揺るがない拒絶だった。その瞬間になってようやく、和真は彼女の本当の意図を悟った。心晴がここへ来たのは、自分を本気で刑務所に送る覚悟を決めていたからだ。そう思い至った途端、和真の顔つきは一変した。醜く歪み、怒気をあらわにして怒鳴りつける。「心晴、よく考えろよ。今ここで訴えを取り下げれば、まだこれで終わりにできる。けどお前がこのまま突っ張るなら、数年後に俺が出てきたとき、お前を一生悪夢の中に引きずり込んでやる。一生、安らかに生きられないようにな」だが、心晴はその脅しをまともに受け止めようとはしなかった。苦く笑って、目を赤くしたまま彼を見つめる。「和真。昔の私は、本当にあなたを愛していた。でも、少しずつ見えてきたの。あなたは一度だって私を愛してなんかいなかった。最初から最後まで、あなたが愛していたのは自分だけだった。あの日、私はあなたにやめてって言った。何度もお願いした。でも、あなたは私の言葉なんて少しも聞かなかった。今日ここへ来たのは、ひとつだけ伝えたかったから。私は今日のことを、絶対に後悔しない」その言葉が終わるや否や、和真は怒り狂ったように怒鳴った。「心晴、今さら清純ぶるなよ。俺に抱かれたことがないわけじゃないだろ。それで訴えるなんて、何様のつもりだ。自分を貞淑な女か何かだとでも思ってるのか?」心晴はその罵声すら受け流し、静かに言った。「あなたに会うのは、これが最後。これから先、私たちはもう別々の道を行くの。住む世界が違うのよ」そう言い切ったとき、心晴の目はまた赤く潤んだ。それでも振り返る前に、最後に一言だけ残す。「元気で」そう告げると、彼女は玲奈の手を取り、二度と振り返ることなくその場を後にした。外へ出るまでのあいだ、心晴は足早に歩き続けた。拘置施設の外へ出たところで、ようやくその足が止まる。立ち止まった瞬間、涙はさっきよりも激しくあふれ出した。玲奈はそんな彼女を見ると、一歩近づいて、そっと抱きしめた。心晴は玲奈にもたれかかり、嗚咽まじりに言った。「玲奈……私が彼と出会った頃の彼は、あんな人じゃなかった」玲奈は心晴の背を撫でな

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