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第49話

Author: Hayama
last update publish date: 2026-02-10 17:00:00

「ただいま〜」

壱馬さんの声が、玄関に響いた。

壱馬さんの声が、この家に人の気配を運んでくれる。

「おかえりなさい」

自然に口から出たはずの言葉なのに、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。

おかえりなんて、誰かに向けて言ったのはいつぶりだろう。

「花澄も」

壱馬さんの言葉に、思わず足が止まった。

その一言が、胸の奥に静かに落ちていく。まるで、今までずっと探していた言葉だったみたいに。

……そっか。

私もこの家の帰る人で、ここには私を待っていてくれる人がいるんだ。

それだけのことなのに、どうしてこんなにも胸が熱くなるんだろう。

「た、ただいま」

言葉がつっかえた。

帰っても誰もいない家に向かって「ただいま」と言うことはなかった。言っても返ってこない言葉を、わざわざ口にする意味がなかったから。

ただいまとおかえりが交わされ
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