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第52話

Author: Hayama
last update publish date: 2026-02-13 17:00:00

「ん?」

壱馬さんが、少しだけ首を傾けて私を見た。

彼の表情はいつも穏やかで、優しくて、でも今日はその奥に、薄い影が差しているように見えた。

それは、私が見慣れた彼の表情とは違っていて、胸の奥がふとざわついた。

「どうして、悲しそうな顔するんですか」

言葉にするまで、少し迷った。

聞いてはいけない気もした。

でも、どうしても気になってしまった。

どこか寂しげだったから。

「え、そう?俺どんな顔してる?」

壱馬さんが少し笑いながらそう言った瞬間、胸がきゅっと締めつけられた。

笑っているのに、その笑顔がどこかぎこちなくて。

言葉にできない感情が、彼の目の奥に見えた気がした。

それは、悲しみとも、寂しさとも違う。

でも、確かに何かがあった。

「…なんだか、遠くを見てるみたいな顔です」

言葉が口をついて出た瞬間、胸の奥にひやりとした感
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