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それぞれの想い②

last update Huling Na-update: 2025-02-03 18:00:58

アレン・トーマスは生まれた時から魔法の才に恵まれていた。

10歳で既に冒険者として名を馳せ、16歳の時には彼の名前を知らぬ者が居ないほどに。

しかし常に彼は独りだった。

ソロでのダンジョン攻略、護衛任務、魔族討伐の旅、いつどこであっても1人だった。

もちろん彼も何度かパーティに誘われ複数人で動いていたこともある。

だが、彼は突出した強さのせいで魔族討伐では仲間とうまく連携が取れず、護衛任務では戦力差がありすぎて気を使う動きしかできず、結局ソロでしかまともに活動はできなかった。

いつしか、ソロで1度も敗北を経験したことがない、魔物を狩るときは肉片1つ残さない彼を周囲は殲滅王と呼ぶようになった。

そんな時、1つのパーティが彼に声を掛ける。

レイ・ストークスを筆頭に4人で構成されたパーティだ。

レイはアレンの圧倒的強さに惚れ込み自分のパーティへと誘ったが、アレンも今までソロで活動することが殆どだった為首を縦に振らなかった。

それでもレイは何度も手を差し伸べる。

ほとんど毎日のようにアレンの所へ押しかけては、パーティへ誘う。

そんな日々が半年も続き、ついにアレンが折れた。

1度だけなら……とパーティへ一時的に加入し魔物討伐任務を請け負う。

1度だけのつもりが案外気楽でいられる空気感で、なによりレイや他のメンバーもかなり腕が立つようだ。

いつの間にか、パーティーと行動することが当たり前になってきてアレンが思いの外接しやすい存在だと認知されだすと、パーティー加入希望者が出てきた。

人数も15人を超えるかと思われる頃レイからある提案がされる。

「アレンさん、私達で旅団を作りませんか?」

旅団。

それは魔族の討伐を目的とする精鋭集団を指す。

「是非アレンさんに団長を努めて欲しいんです」

旅団を作ることに異論はないが、団長となると話は別だ。

「ボクには人を率いる才能はないよ」

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