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第1087話

落流蛍
襟を整えながら、華恋はわざと自分のスタイルを確認した。

あるべきところにはちゃんと肉があり、ぜい肉なんて一切ない。

それなのに時也はどうして……

考えれば考えるほど腹が立ってきた。

いっそ穴でも掘って時也を埋めてしまいたい気分だった。

もはや幻覚では誤魔化せない時也は、華恋から距離を取るしかなかった。

「華恋、君に不満なんてない」

「じゃあどうして私と……その……」

華恋は思い出すだけで胸がつまってきて、今にも泣き出しそうだった。

ビジネスで哲郎にどれだけ狙われても平気だったのに、今は……

時也が一番苦手なのは、華恋が泣くことだ。

彼女が泣くと、すべてを忘れてしまう。

慌てて近づき、ぎゅっと抱きしめた。

「泣かないで、悪いのは君じゃない。僕だ」

華恋はぴたりと泣きやみ、視線を下げて頬を赤くした。

「まさか、あなた……」

時也のこめかみの血管がぴくりと跳ねた。

そんな疑いを向けられたら、血が逆流する。

証明したい気持ちは強く湧いたが、華恋のために必死でこらえた。

「華恋、やめよう。部屋に戻って」

華恋は一歩下がり、彼を見て言った。

「戻らない。今夜はここに泊まる。あなたが来てくれないなら、私があなたのところにいればいいでしょ」

時也は額に手を当てた。

失憶してから、自分の妻はどうしてこんなに強気になったのか。

時也が隣の部屋へ行こうと背を向けると、華恋はベッドに座り込んで笑った。

「その部屋、もうチェックアウトしてもらったから」

時也は足を止め、淡々と言った。

「大丈夫だ。また一部屋を取ってもらう」

「……」

扉が閉まるのを見ながら、華恋は枕を思いきり投げつけた。

――時也のバカ!

時也はすぐにマネージャーに頼み、隣の部屋を再び取った。

マネージャーは何が起きたのかさっぱり分からなかったが、夫婦の事情だと思い何も聞かず、にこにことカードキーを渡した。

ところが翌日、いつものように華恋に挨拶すると、彼女は完全に無視して怒ったように歩き去った。

マネージャーは頭の中が真っ白だった。

一体何が……?

華恋は昨夜の目的を果たせず気分最悪。

会社に着けば難題が山積みで、さらにイライラが増した。

栄子は一目で、華恋の寝不足による薄いクマを見つけた。

洗面所に向かう途中、笑いながら声をかけた。

「華恋姉
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