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第267話

作者: 魚ちゃん
胡桃が即答する。「当たり前でしょ!」

「分かった」大輔は素直に手に持っていたものを手渡した。「必ずアキに伝えてくれ。食事は俺が届けたってな。それから、これは彼女のスマホだ」

大輔がわざわざ寮まで往復して取ってきたのだ。

胡桃が受け取り、顔をほころばせる。「あなたのほうが、よっぽど物分かりがいいわね」

潤に目をやると、彼の顔は、怒りでどす黒く濁っていた。

胡桃が快活に言う。「もう食事は届いたから、争う必要もなくなったわ。二宮社長、手を離してちょうだい。ドアを閉めるから」

潤は梃子でも動かない。「明里は俺の妻だ。病気の妻を看病して何が悪い。夫として当たり前だ」

「屁理屈言わないで」胡桃はその論理を一蹴する。「もうすぐ離婚するのに、どこが夫婦なのよ。アキはあなたを見るだけでストレスで気分が悪くなって、回復が何日も遅れるわ」

潤の顔色がさらに悪化する。

大輔が背後から油を注ぐ。「誰かさんがね、もう少し自意識過剰を治したほうがいいぞ。自分が世界の中心だと思ってるようだが、現実はドアの中にも入れてもらえないんだからな」

その隙を突き、胡桃がすかさずドアを閉めた。

大輔が届けた食事を手に、胡桃が明里に告げる。「いいこと、潤があんな殊勝な様子だからって、情に流されないでね」

先ほど潤が改心したのかと問うた時、明里はただ静かに微笑んだだけで、その意味を、胡桃は誰よりも理解していた。

今また釘を刺すと、明里が再び微笑む。「あの人がどうしようと、私とは何の関係もないわ」

「その通りよ」胡桃が満足げに頷く。「一時の情にほだされて、またチャンスを与えたりしないか心配だったの」

明里が首を横に振る。

胡桃が食事の包みを解きながら、憤慨して言った。「潤も大輔もさっさと食事を届けに来たってのに、樹のやつ、連絡ひとつしてこない。本当に、肝心な時に役に立たないんだから!」

大輔が届けた食事は二人分で、一つは消化に良さそうなあっさりしたもの、もう一つは見た目も華やかな弁当だ。

胡桃が感心する。「大輔って、チャラチャラして頼りなさそうに見えて、意外と気が利くわね」

明里が身を起こすと、胡桃が小さなテーブルをベッドに据え付け、食事を並べ始めた。

明里が言う。「そんな言い方しないであげて。遠藤さんにしても、黒崎先生にしても」

胡桃がふんと鼻を鳴らし、箸を渡す。「いいか
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