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5.ちょっと気になる男の子

Auteur: たかはし
last update Date de publication: 2026-05-28 12:00:38

「燈、悟君とはどういう繋がりで、知り合ったの?」

喫茶店の営業時間が終わり、皿洗いやら明日の仕込み等をママとしていたら、陽気な声で質問される。こういう時のママは、少しばかり困ってしまう。

「別に、ゲームセンターの近くで一人でスマホをいじっていたら、チャラそうな男二人に絡まれていた所を、助けられただけだよ」

私がそう答えると、ママはニッコリと笑う。

「そう。それで悟君のことを、意識しちゃったのか」

「別に、それだけで意識なんかしてないから……」

「あら他に、何かがあったの?」

ママの問い掛けに、言い淀む。確かに、ただ助けてくれただけなら、私も影野の事を気になったりはしなかったと思う。

「影野は他の男子と違って、私に助けた事を口実にして言い寄ってきたり、なんて言うか下心とか一切感じなかったから」

実際、昨日の事が無かったら、私は影野悟の事を知ることもなかった。だから私は、警戒した。これを機に、隙あらば仲良くしてこようとしてくるかと、思って。

でも実際は、違った。影野は、ただ単純に私が困っているから、助けてくれんだ。

「あ~確かに。悟君と話してて思ったけど、下心とか一切感じなかったわね。今時あんな子、居ないなって感じたわ。礼儀正しくて、そこも好感持てたし」

そう。影野は礼儀正しくて素敵な人だと思う。そして今日一日、影野を見ていて分かった事が有る。影野は多分、面倒くさがりな人間なんだなって、今日つくづくそう思った。

私が、教室で昨日のお礼を述べたら、その事を出汁に多数の男子に囲まれて、質問攻めに遭っていた。それが終わった瞬間、影野は疲れ切った顔をしていた。

あれは、見ていて悪い事をしてしまったなと、罪悪感が芽生えた。それに、放課後に喫茶店に声を掛けたら、影野は美人局か罰ゲームじゃないかと言って来た。あれには呆れ半分、若干イラッともした。

多分、そう言う発言をするのは、影野が必要以上に自分に自信が無いからなんだろうな。それなのに、私を庇うくらいの度胸は有る。きっと多分、影野は基本面倒くさがりだけど、目の前で困ってる人は見捨てられない性格なんだろうな。

「燈、うかうかしてると……悟君、誰かにとられちゃうわよ」

私はその言葉に、数秒固まる。そしてすぐに、苦笑して首を左右に振る。

「そんな事は、絶対にないよ。だって影野は、非モテ陰キャだもん」

そう。彼は、いつも両目が隠れるくらいに前髪を伸ばしていて、誰かに話し掛けられない限り基本無口。そんな影野が、女子に言い寄られるなんて想像できない。

「あのね燈、人は見かけじゃなくて、中身だって私は思うのよ。確かに、燈は過去に問題があって、今でも引き攣ってるのは分かる。そこは、私の不注意のせいもあるから悪いと思ってるわ」

ママが、これ以上無いくらいに、悲しそうな表情をする。確かに、私は未だにあの···を引き攣ってる。そのせいで、誰も信じられなくて、人との距離を測りかねている。

「だからね、私今日、悟君を連れて来てくれて安心したのよ」

「安心?」

「ようやく燈にも、心の底から信用できるって思った人が、出来たんだなって」

信用できる……か。どうなんだろう? 影野の事は、信用しても良いような気がする。と言うか気になる。今まで、私に寄ってくる人は私の外見を見て、内面を見ようとしない人ばかりだったから。影野が、今まで居なかったタイプで、新鮮って感じがする。

「それに燈、悟君が帰るとき、寂しそうな表情をしていたものね」

「なっ」

ママの発言に、絶句する。確かに、影野が帰るとき少しだけ……ほんのちょっぴり、寂しいとは思ったけど。

「でも私の見立てだと、彼は難攻不落よ。礼儀正しくてしっかりしてるけど、どこか他人に対して、一歩引いてる感じがしたから」

確かに、ママの言うとおりだと思う。影野は自分から、人に話し掛けたりしそうにタイプに見えない。かと言って、友達が全く居ないわけじゃない。休み時間に、彼と親しげに話し合っている男子が、居た。放課後も話している所を、見ている。見るからに、長年の付き合いなんだろうなって、察しが着いた。

とはいえ、影野は若干迷惑そうにしていたけど。まあでもそれは、納得できる。たたでさえ、目立ちたくない影野だからこそ、あんな爽やか系イケメンと連んでいたら、悪目立ちするだけなんだから。

「燈、この際だから言うけど、悟君の事を気に入ってるんだったら意識して貰えるように、グイグイ行った方が良いわよ」

ママの言葉を聞いて、私の顔が熱くなる。きっと今の私の顔は、真っ赤に染まっているに、違いない。

「そんな……そもそも私と影野は、友達ですらないのに」

「友達でもないのに、喫茶店に誘ったの?」

ママのその言葉に、反論出来ず私は俯いてしまう。そんな私を見て、ママはクスッと笑う。

「まあ燈はもう少し、自分の気持ちに向き合って素直になることね」

「自分の気持ちに、向き合って素直に?」

言ってる意味が分からず、オウム返しに問い掛ける。

「要は、燈が影野君ともっと、仲良くなりたいかって事」

ママの言葉を聞いて、私は考える。最初は、影野が他の男子達と一緒で、言い寄ってくる存在だと思ってた。でも影野は、言い寄ってくるどころか、なんも見返りを求めずにそれどころか、私の事を考えて不干渉を決め込んでいた。

今まで、そんな男の子が居なかったから、正直な話もっと彼の事を知りたい。

「でも学校じゃ、話し掛けちゃ駄目って言われてるし」

「そんなの関係ないわよっ。気になる子が居るなら、どんどんアタックしなさい」

「……引かれたり、嫌われたりしないかな?」

ママはその言葉を受けて、笑い声を上げる。

「あのね燈、男の子は単純でね。可愛い子や美人から話し掛けられたら、嫌な気はしないものよ」

「……そういうものなの?」

「ええ。だから燈なりに、勇気を出して頑張りなさい」

ママの、その言葉と同時に、皿洗い並びに明日の料理の仕込みが、終わる。

「さてと、これで粗方終わったわね。手伝って有り難うね。もし悟君との事で困った事が有ったら相談しなさい。いつでも相談に乗るから」

「ありがとう。今日はこのままお風呂に入って寝るね」

「ええお休み」

「おやすみなさい」

私はそう言って、風呂場へ向かう。明日からは、もっと影野に対して積極的に、関わる事を決意しながら。

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  • 一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件   3.放課後何故か話し掛けてきた一匹狼クール系女子

    「ふうやっと授業が終わったか」 あー怠い。こういう時はさっさと家に帰ってダラダラするに限るな。こういう思いをするのは毎日なんだけどさ。 「悟ごめん。俺今日部活が」 「おいモジモジしながら言うな気色悪い」 別に一緒に帰る約束もしてないし、何でそんな彼女みたいな振る舞い方をするんだよ。いや絶対揶揄ってるだけだって分かってるけどさ。 因みに太一はサッカー部で詳しくは知らないけどフォワードという結構な大役のポジションらしい。 「まあ怪我しないように程々にな」 「あら悟ちゃんたら優しい~」 「張っ倒すぞ」 全く、基本的には太一は良い奴だがたまにこういう悪乗りをしてくるから困ったものだ。 「まあまあ……じゃあ行ってくるわ」 「おう」 俺がそう返事をすると颯爽と太一は教室から出て行く。さてと俺も帰るかな。 俺は教科書や今日渡された宿題などが詰まった鞄を背負って出入り口まで歩みを進める。そのまま教室から出ようとしたら―― 「ちょっと待って」 と背後から声を掛けられた。振り返るとそこには神崎さんがいた。いきなり声を掛けられたことにより俺の脳がショートし掛ける。 な、なんで神崎さんが俺に声を掛けてきたんだ。ショートし掛けた脳を俺はフル回転させる。これはあれか……美人局的なやつか。そうだよなじゃなきゃ神崎さんが俺に話し掛けてくるわけないもんな。 いやそれか神崎さんの中で非モテ陰キャの俺に声を掛けてちょっとした良い思いをさせようとしてるのかも知れない。内心で俺の事を馬鹿にしながら。取り敢えず否定をしなければ。 「あのすいません、俺金も持ってないし。見ての通り非モテ陰キャだからって馬鹿にしないで下さい」 「……何を言ってるの?」 彼女は俺の言ってる意味が分からないのかキョトンとした顔をする。 「いやだから、これはいわゆるアレですよね。美人局か罰ゲーム的な」 おずおずといった調子で俺が告げると 「貴方、私のことをなんだと思ってるのよ」 とジト目で睨まれる。どうやら神崎さんの機嫌を損ねてしまったらしい。 「な、ならどういうご用件で」 「その前に貴方……ええと、ごめんなさい名前を教えて」 どうやら神崎さんは俺の顔を認識していても名前までは認知してなかったみたいだ。それはそれで悲しい。もうこ

  • 一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件   2.一難去って

    「あー疲れたぁ」 神崎さんが俺に声を掛けた後、太一は当たり前として全く関わりの無い男子達まで俺に詰め寄ってきて質問攻めに遭い疲労困憊状態と化した。「お疲れー」 そんな俺を、太一はニヤニヤしながら労ってくる。「絶対お前面白がってるだろ」「そりゃあ当然」 このやろー。そりゃ傍から見てれば、楽しいだろうな。出来れば、俺も見る側に回りたかったわ。「でも本当あの鉄壁の神崎さんがよりによって悟に話しかけるなんてな。一体どういう繋がりなんだよ?」「……ノーコメントで」 別に言っても、問題ないような事だが、神崎さんの許可も無しに、言うわけにもいかないよな。それに俺が、形上助けたなんて、知れたらもっと面倒くさい事に、なること間違いない。「まあ言いたくないならそれでも良いけどさ」 こういう時太一は、深く追求してこないから助かる。昔から俺が言いたくないって言えば、無理に聞き出そうとはしてこなかったからな。「でもなんとなく想像は付くけどな」 そう言って、太一はにっこり満面の笑みを俺に向けてくる。「何で嬉しそうなんだよ」「いやあ、だって……悟の良いところを知ってくれる人が、増えたんだからさ」「はあ?」 俺の良いところ? 俺は対して、そんなに性格良くないぞ。というか自分で言うのもなんだが、かなり捻くれてる自信がある。「太一……お前、俺の事を美化しすぎだ! 俺はお前が思ってるほど性格も良くないし、第一長年付き合ってるんだから分かるだろ。俺が面倒くさがりだって事」 俺の反論の言葉に対して、太一は苦笑した上で肩を竦める。「確かに悟は性格が捻くれてるし、面倒くさがりだって事も知ってるよ」「だったら、何で俺の事を良い奴のように言うんだよ」「だってそれは、表向きだって事を知ってるからさ。悟は、捻くれてるように見えても根は真面目だし、面倒くさいって思っても、目の前で困ってる人が居たらなんだかんだ言いながら、助けに行くじゃん」「うっ」 太一の的確な指摘に、俺は反論出来ずに唸る。まあ実際その通りで、神崎さんの事を助けたんだけどさ。「今だったら、神崎さん話してくれるかな」「それはない」 俺は太一の言葉に、無碍もなく否定する。今までの神崎さんを見る限り、他人と接触は疎か会話すらしていないのだ。今回はたまたま、昨日の事が有ったから礼を言いに来ただけだろう。全く律

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     翌日、俺はいつも通りに自分が現在通っている高校――九十九高等学校に登校した。因みに俺はそこの一年生だ。一年生のクラスは三つあって俺は1の2に属している。 俺はいつも通りに教室に入ると、真っ先に自分の席に向かい着席する。そして自分の視界に映っている光景を、ジッと眺める。 高校に入って二ヶ月。もう慣れてきた光景だ。俺より先に教室に入ってきたクラスメイト達は、各々決まった人達と群れて楽しそうに話している。 そう――このクラスは、皆友好的で和気藹々と、している。え? じゃあなんでお前は、ぼっちなんだって? そりゃあ、俺が孤独《ぼっち》が好きだからだよ。「おはよう悟」「あぁ太一……おはよう」 そんなぼっちな俺にも一応友達……いや腐れ縁のような存在はいる。 保育園からの付き合いの、野呂太一《のろたいち》だ。コイツは異性から見たら、爽やかイケメンという部類に入るらしい。  もうすでに、太一が教室に入ってきた瞬間、クラスメイトの女子達が、黄色い声を上げている女子もいればチラチラとわ俺達に目を向けてくる女子もいる。まあ、大半はチラチラと視線を向けてくる、女子ばかりなのだが。 (あーうぜぇ) 基本目立ちたくない俺としては、こういう状況は一番困る。前に一度、一人の女子が興味本位で聞いてきたことが、あった。『太一君と何で根暗陰キャのアンタが友達なの?』って。 随分と失礼な質問だとは思うが、俺が根暗陰キャなのは敢えて、否定はしない。何故なら、自分でもその通りだなと思うからだ。「ん? どうした悟?」「いや単純に、俺からさっさと離れてくんないかな、と」「いきなり酷くないっ!?」 太一が引き攣った顔を浮かべ悲痛な声を上げる。「いやだって、お前が居ると周りの女子達の視線がこっちに向いて、落ち着かないし……そもそも俺なんかと違って、このクラスで話せる友達他に居るだろ」 そう。太一は無愛想な俺と違って、気さくで誰とでもすぐ打ち解けられる人間なのだ。だから出来れば、俺に構わず他の男子と、会話をして欲しい。「また悟は、そんなこと言って」 太一が、俺を呆れた目で見る。がすぐに真剣味を帯びた目になり「確かに。仲の良いクラスメイトは居るけどさ。俺にとって、悟が一番の親友だ」「出来れば、その台詞も俺じゃなくて、他の奴に言って欲しいもんだけどな」 全く何で太一は、いつ

  • 一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件   プロローグ

    「なあ、俺らと遊ぼうぜ?」  ―― ん? 学校からの帰宅途中、チャラそうな声が聞こえて俺――影野悟《かげのさとる》は、声の聞こえた方へ目を向ける。 そこには見るからに、チャラそうな男が二人。女の子を間に挟む形で、ナンパをしていた。 (今時ナンパを、するような奴いるんだなぁ) 俺は呆れ半分興味半分な気持ちで、その光景を眺めていたが、ナンパをされている女子高生と思われる人物を見て、目を瞠った。 なんと、その女子高生は俺のクラスメイトであり、学年で一位の成績を収めている――神崎燈《かんざきあかり》だったからだ。しかもそれだけではなく、彼女は顔が整っており特徴的なのは、肩の辺りまで、切り揃えられている銀髪だ。それがより、彼女の美しさを際立たせている。 (確かに彼女なら、ナンパされるのも頷けるよなぁ) 神崎燈は成績だけではなく、運動神経も抜群で容姿端麗だ。可愛い系か美人系かというと、後者の方。 ただ彼女はあまり他人を信用していないのか、はたまた独りでいることが好きなのか、誰も寄せ付けない態度をとっている。 今ナンパをしてきている二人の男に対しても、あまり興味が無いようでずっとスマホをいじって、相手にしていない。  そんな彼女に男達は、痺れを切らしたのか「なあ、スマホばっか見てないで、俺達の事を見ろよ。楽しい思いさせてやっからよ」 と、神崎の肩に手を掛ける。神崎さんは、先程まで無表情でいたものの、二人の男の内の一人に肩に手を掛けられ、明らかに不快そうな顔を浮かべていた。 ――どうする? 今いる場所は、近くにゲーセンがあるものの、入り口が二カ所あって、正面玄関からならある程度人気があるが、不幸な事にもう一カ所は横からで出たらそこは、裏路地みたいな物……滅多に人は寄りつかない。 (はぁ仕方ないか) 神崎さんとはクラスメイトであるものの、接点は皆無だ。俺としては面倒事には巻き込まれたくない。平穏に暮らしたいと思っている。 だけど、見てしまったからには仕方ない。多分神崎さんは、俺の事をクラスメイトとして認識すらしてないだろうが、ここは一つ、助けに入る事にしますか。 「神崎さん……ごめん待たせちゃって」  俺は神崎さんの元へ近付きながら、何食わぬ顔で声を掛ける。 神崎さんは、俺と目が合うと呆けた顔を、見せてきた。「あん? お前な

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