LOGIN300年の嫁。
第二話 狂気 「三人分、いるかしら?」 その声は、笑っている。 いろはを声が不気味に感じた...。 澪をリビングに案内する。 ソファに腰を下ろしながら、何度も頭を下げる。 「帰る途中から、誰かにつけられてて……」 「気にするな。落ち着くまでいればいい。 警察にも連絡しておこう。」 そう言ったものの、俺の視線は無意識にキッチンへ向いていた。 いろはが魚を捌いている。 トン。 トン。 トン。 包丁の音が、妙に規則正しい。 まるで、秒針みたいだ。 澪もその音を気にしているのか、ちらりとキッチンを見る。 「……奥さん、料理上手そうですね」 「まあ、普通だよ」 答えながらも、俺は違和感を覚えていた。 いろはは料理が上手い。 それは間違いない。 間違いはないのだが...... 「ねえ、あなた」 キッチンから声がした。 「なに?」 「桐野さん、お魚食べられる?」 澪が慌てて答える。 「は、はい!大丈夫です!」 「よかった」 いろはが振り向く。 にっこりと微笑む。 その笑顔は、いつも通りだった。 だが澪は、目を逸らした。 俺はその反応を見逃さなかった。 「どうした?」 小声で聞くと、澪は少し迷ってから言った。 「……怒らないでくださいね」 「内容による。また例の話なら...」 「違います!...奥さんが...」 彼女は声を落とす。 「さっきから、ずっと私を見てるんです」 ぞくり、と背中が冷える。 「そんなわけないだろ」 「でも……」 澪は言葉を飲み込む。 その瞬間。 「はい、お茶どうぞ」 いろはがすぐ横に立っていた。 いつの間に。 俺は思わず身を引く。 澪も肩を跳ねさせた。 「そんなに驚かなくても」 くすっと笑う。 「私が怖い奥さんみたいじゃないの」 澪はカップを受け取る手が震えていた。 「……ありがとうございます」 「緊張してるのね」 いろはは優しい声で言う。 「最近、湖の事件も多いし」 澪の瞳が揺れた。 「そう……ですね」 「若い女の子ばかりだもの」 沈黙。 「怖いわよね」 いろはは笑った。 そして、近すぎるくらい澪を覗き込む。 「ねぇ...桐野さん...匂うわよ あなた、湖に行ったの? 旦那から言われなかった? 今度はあなたが死にたいの?」 澪の両肩を掴み、真顔になるいろはに 澪はもはや怯えている。 「いや...その...どうして、それを...?」 俺はいろはを静止させるように... 「やめろ!いろは、怖がってるじゃないか!」 「あら、ごめんなさい。 心配になっちゃったから...」 いろはは手を離す。 まるで今のことなど、何でもないかのように。 だが澪は、まだ固まっていた。 呼吸が浅い。 俺は澪の肩を軽く叩く。 「大丈夫か?」 「は、はい……」 そう言うものの、澪の視線はいろはから離れない。 まるで。 何かを確かめるように。 いろはは、そんな澪を見つめていた。 微笑んだまま。 瞬きもせずに... トン。 トン。 トン。 包丁の音がまた聞こえた。 俺は振り向く。 キッチン。 そこには—— 誰もいない。 「……あれ?」 澪が小さく呟く。 「奥さん……今、ここに……」 トン。 トン。 トン。 音は続いている。 キッチンから。 だが。 いろはは、今—— 澪の目の前に立っている。 俺の背中を、冷たい汗が流れた。 いろはは、ゆっくりと振り向く。 キッチンの方を見て。 小さく笑った。 「……ああ」 「まだ、いるのね」 澪の顔が青ざめる。 「え……?」 いろはは、何でもないことのように言った。 「帰ったかと思ったのに...」 沈黙。 トン。 トン。 トン。 包丁の音は。 まだ、続いていた。 いろはが振り返る。 その目は、どこか楽しそうだった。 俺に微笑む。 「ねえ、あなた」 「桐野さん、さっき言ってたでしょう?」 「帰り道で、誰かにつけられてたって」 澪の肩がびくりと震える。 「……はい」 いろはは、まるで世間話でもするような声で言った。 「ほら」 顎でキッチンの方を指す。 「まだ、いるわよ」 澪の顔から血の気が引いた。 「……え?」 トン。 トン。 トン。 包丁の音が、急に早くなる。 トン。 トン。 トン。 トン。 まるで、誰かが焦って魚を叩き切っているみたいに。 俺は立ち上がった。 「……誰かいるのか?」 キッチンへ一歩近づく。 その瞬間。 トン。 音が止まった。 沈黙。 冷蔵庫の低い唸りだけが聞こえる。 ゆっくりとキッチンを覗く。 誰もいない。 まな板の上には。 さっきまで捌いていたはずの魚が 跡形もなく消えていた。 「……なんだよ、これ」 思わず呟く。 その時だった。 背後で。 いろはが、くすっと笑った。 振り向く。 いろはは、優しく微笑んでいた。 まるで何もおかしくないみたいに。 そして。 静かに言った。 「ねえ、あなた」 「三人分、いるって言ったでしょう?」 いろはは、当たり前のことを言うみたいに微笑んだ。 俺の喉が、ひくりと鳴る。 「……三人?」 俺と。 澪と。 そして—— その時だった。 キッチンの奥。 シンクの下から。 ぴちゃ。 水の滴る音がした。 誰かが、 濡れた足で 床を踏む音。 ぴちゃ。 ぴちゃ。 ぴちゃ。 澪の口から、声にならない悲鳴が漏れる。 いろはは、嬉しそうに笑った。 「ほら」 「来た」ちゃぷん。ちゃぷん。ちゃぷん。畳の下から響く水音はまるで湖そのものがこの家の下に広がっているかのようだった。澪が震える声を出す。「……なに……これ……」畳はゆっくりと波打っていた。水面のように。ありえない。ここは家の中だ。だが俺の足の裏は確かに“水の感触”を感じていた。冷たい。深い。底のない水。「三百年よ」いろはが言った。その声は静かだった。だがどこか遠くから響くようにも聞こえる。「わたし……ずっと待ってたの。」澪が叫ぶ。「待つって……何をですか!」いろははゆっくり澪を見た。そして少しだけ微笑んだ。「夫婦の時間を邪魔するなんて野暮よ。」その視線はまっすぐ俺に向けられていた。背筋が凍る。「孝一さん。....いや、孝之助さん。そろそろ起きて...」名前を呼ばれる。その声には三百年分の時間が込められているようだった。「あなたよ」心臓が強く打つ。「……俺?」いろはは静かに頷いた。「ええ」そしてゆっくりと近づいてくる。一歩。また一歩。畳の水はいろはの足元だけ避けるように揺れていた。まるで湖が彼女を主人として扱っているみたいに。澪が震えながら言う。「ちょっと待ってください……」「孝一さんは……関係ないじゃないですか!」いろはは首を傾げた。「関係ない?」小さく笑う。「そんなはずないわ」そして静かに言った。「だってこの人は」「“あの人の魂を受け入れる器...」その言葉に俺の頭の奥がズキンと痛んだ。「……っ」まただ。あの映像。満月。松明。白い花嫁。湖。「……う……」視界が揺れる。澪が俺の腕を掴む。「孝一さん!」だがいろはは優しく言った。「大丈夫」「少し思い出しているだけだから...」「ね....孝之助さん。」いろはが名前を呼ぶと同時に、記憶の扉が開かれたように...当時の記憶が意識に上書きされる。「やめろぉ!」..............................................暗い部屋。蝋燭が一本灯る部屋に寝支度をするいろは...「ねぇ、孝之助さん..私怖いわ」「いろは...俺を信じろ...」「常夜流しは名誉な事なんだ。村長もあぁ、言ってるんだ。次の常
第五話いろはに声をかけられ...リビングに戻るといろはは、何事もなかったかのように席に座っていた。「遅いわよ」味噌汁の湯気が、静かに揺れている。さっきまで、あの女がいた場所。テーブルの下を思わず見てしまう。何もない。乾いた畳。水の跡ももう残っていない。澪は俺の後ろに立ったまままだ震えていた。「……座らないの?」いろはが首を傾げる。その仕草はいつも通りの妻だった。だが。俺の中で、何かが変わっていた。この家は――普通じゃない。俺は席に座る。箸を持つ。だが手が震えている。味噌汁の表面がわずかに揺れた。ちゃぷん。一瞬。湖の水面を思い出した。「どうしたの?」いろはが覗き込む。距離が近い。近すぎる。「……いや」俺は視線を逸らした。「澪の件だ」澪がびくっと肩を揺らす。「警察に連絡する」「それまで家でうちらで保護しよう。」いろはは一瞬だけ黙った...ほんの一秒。それからゆっくり笑う。「そうね」「女の子を一人で外に出すのは危ないわ」その言葉は優しい。だが――どこか冷たい。「ねぇ澪ちゃん」いろはが言う。「常夜湖について調べてるんだっけ?」澪の体が硬直する。「湖の話よ...」いろははくすっと笑った。「この辺りにはね」「昔、ある伝説があったのよ」俺の箸が止まる。「伝説?」「ええ」いろはは味噌汁を一口飲んだ。そして言う。「村で1番可愛い女の子を五人を常夜に嫁がせるって言う...ね。」空気が凍った。澪が小さく息を飲む。「……え?」いろはは平然としている。「昔の話よ。常夜に繋ぐ満月が湖を照らす夜...常夜からあちらの住人が、現世に嫁探しに来る。と言われててね。その嫁を献上して、常夜に見送るの。」俺の頭の奥でさっきの映像が蘇る。松明。白い着物。花嫁行列。そして――水の中へ沈む女。「ば、馬鹿な」俺は言う。「そんな話聞いたことない」いろははふっと笑った。「あなた、この土地の人じゃないもの」そうだ。俺は結婚してこの家に来た。元々はいろはの実家だ。「だから昔の人は、二十歳になった村の女性を五人...この常夜湖に沈めて、常夜に嫁いでもらっていた。でもその常夜にいくのも栄誉なことにされていた」いろはが言う。「
「はやく食べよ?」いろはが微笑む。まるで何事もなかったかのように。ついさっきまでこの部屋は――水で満ちていたはずだった。床を覆う冷たい水。そして。無数の女の手。青白い腕が水の中から伸びてきて――俺の体を掴んでいた。確かに。確かに、あった。なのに。床は乾いている。畳も。家具も。濡れた形跡は、どこにもない。澪が震えた声で言った。「いまの……」喉が張り付く。俺は、ゆっくり頷いた。「……見た。」夢じゃない。絶対に。あの水の冷たさはまだ足に残っている。骨の奥に染み込んだような冷たさだ。いろはは味噌汁をよそいながら首を小さく傾げた。「どうしたの?」その声は本当に不思議そうだった。まるで。俺たちが怯えている理由がまったく分からないみたいに。澪が恐る恐る聞く。「いろはさん……」「さっき……水……」「水?」いろはは、くすっと笑った。「何言ってるの?」あまりにも自然な笑顔だった。演技には見えない。むしろ――本気で知らないような顔。俺と澪は顔を見合わせた。もしかして。本当に。夢だったのか。だが。その時だった。俺の視線がテーブルの上で止まる。箸。茶碗。皿。そして――水滴。ぽたり。床に落ちた。俺の手からだった。「……」指先が濡れている。湖の水みたいに。冷たい。その瞬間。頭の奥に何かが走った。満月。夜の湖。松明の火。白い着物。ゆらゆらと揺れる花嫁行列。水面に映る女たちの顔。そして。――沈められる花嫁。「……っ」俺は頭を押さえた。痛い。脳が軋む。澪が立ち上がる。「大丈夫ですか!?」視界が揺れる。耳鳴りがする。湖の音。ちゃぷん。ちゃぷん。ちゃぷん。水の音が頭の中で響く。そして。女の声。「.......助けて....」「……!」俺は息を飲む。だが。目の前の光景は変わらない。食卓。味噌汁の湯気。いろは。澪。いつもの部屋。いろはは箸を持ったまま。ただ――じっと俺を見ていた。笑っている。でも。その笑顔の奥がどこか深い。「あぁ……大丈夫だ」俺は無理に笑った。「ちょっと疲れてるのかもな……」額に汗が滲む。「急に眩暈がしただけだ」気を紛らわせたい。この空気から一度離れたい。「
「ほら」いろはが、にこりと笑った。その笑顔は相変わらず柔らかい。優しくて、穏やかで――けれど。その奥に、底の見えないものが潜んでいる気がした。まるで深い湖の底を覗き込んだような、不気味さ。俺は思わず視線を逸らした。「きた」ぽつりと、いろはが呟いた。「……え?」聞き返そうとした、その瞬間だった。「きゃあぁぁぁ!!!!」リビングから澪の絶叫が響いた。「どうした!?……澪!!」俺は廊下を駆け抜け、リビングへ飛び込んだ。「水が!?……水が流れ込んできます!!」澪はソファの上に立ち、震えながら叫んでいた。視線を落とす。俺の足元。床の上を――水が広がっていた。「な、なんだこれ……」凄い勢いで水位が上がっていく。足首が一瞬で浸かった。冷たい。いや――冷たすぎる。真冬の湖に足を突っ込んだような冷たさだった。水位は、見る間に上がっていく。くるぶし。ふくらはぎ。「どこから水が……!」俺は慌てて部屋を見回した。天井。漏水の跡はない。窓。割れていない。玄関。閉まっている。それなのに。水だけが増えていく。ありえない。「そんな……どうして……!」澪の声は震えていた。ソファの背もたれを掴み、必死に耐えている。「落ち着け!何か原因が――」自分でも信じていない言葉だった。水位はもう膝まできている。たった数十秒で。ありえるはずがない。その時だった。ジジジ……バチッ!!部屋の電気が瞬いた。次の瞬間。暗闇が落ちた。停電。視界が一気に闇に沈む。「もういやぁぁ!!なんなのこれ!!」澪が泣き叫ぶ。俺は手探りで壁を探した。その時。チャプン……チャプン……背後で、水音がした。ゆっくり振り返る。キッチンの入り口。そこに――影が立っていた。膝まで水に浸かりながら。じっと。動かずに。まるで最初からそこにいたかのように。「……いろは?」暗闇の中、俺は目を凝らす。「いろは!?危ない!こっち来い!」叫ぶ。だが。影は動かない。「おい!聞こえてるのか!?」俺は水をかき分けて近づいた。そして。その腕を掴んだ。その瞬間。ぞわりとした。違う。いろはじゃない。肌の感触が――腐っている。「……え?」暗闇の中で顔を見る。そこにいたのは。女性の形をした、ただれ
300年の嫁。第二話 狂気「三人分、いるかしら?」その声は、笑っている。いろはを声が不気味に感じた...。澪をリビングに案内する。ソファに腰を下ろしながら、何度も頭を下げる。「帰る途中から、誰かにつけられてて……」「気にするな。落ち着くまでいればいい。警察にも連絡しておこう。」そう言ったものの、俺の視線は無意識にキッチンへ向いていた。いろはが魚を捌いている。トン。トン。トン。包丁の音が、妙に規則正しい。まるで、秒針みたいだ。澪もその音を気にしているのか、ちらりとキッチンを見る。「……奥さん、料理上手そうですね」「まあ、普通だよ」答えながらも、俺は違和感を覚えていた。いろはは料理が上手い。それは間違いない。間違いはないのだが......「ねえ、あなた」キッチンから声がした。「なに?」「桐野さん、お魚食べられる?」澪が慌てて答える。「は、はい!大丈夫です!」「よかった」いろはが振り向く。にっこりと微笑む。その笑顔は、いつも通りだった。だが澪は、目を逸らした。俺はその反応を見逃さなかった。「どうした?」小声で聞くと、澪は少し迷ってから言った。「……怒らないでくださいね」「内容による。また例の話なら...」「違います!...奥さんが...」彼女は声を落とす。「さっきから、ずっと私を見てるんです」 ぞくり、と背中が冷える。 「そんなわけないだろ」「でも……」澪は言葉を飲み込む。その瞬間。 「はい、お茶どうぞ」 いろはがすぐ横に立っていた。いつの間に。俺は思わず身を引く。澪も肩を跳ねさせた。「そんなに驚かなくても」くすっと笑う。「私が怖い奥さんみたいじゃないの」澪はカップを受け取る手が震えていた。「……ありがとうございます」「緊張してるのね」いろはは優しい声で言う。「最近、湖の事件も多いし」 澪の瞳が揺れた。 「そう……ですね」 「若い女の子ばかりだもの」 沈黙。「怖いわよね」いろはは笑った。そして、近すぎるくらい澪を覗き込む。「ねぇ...桐野さん...匂うわよあなた、湖に行ったの?旦那から言われなかった?今度はあなたが死にたいの?」澪の両肩を掴み、真顔になるいろはに澪はもはや怯えている。「いや...その...どう
「……ハァ……ハァ……」 夜の森を、荒い呼吸が裂いた。「助けて……お願い……誰か……」足をもつらせ、少女は振り返る。月明かりの下、白い影が立っていた。「良い子だから……さぁ、こっちへおいで」優しい声だった。逃げ場は、もうない。「いやよ……来ないで……!」悲鳴は途中で途切れた。水面が、静かに揺れる。そして、何もなかったかのように——夜は閉じた。常夜湖の朝。死体が見つかったのは、午前五時だった。若い女が、水面に浮いていたらしい。俺がその連絡を受けたのは、朝食の席だ。「また……女子大生だって」そう言うと、向かいに座る妻は味噌汁を一口飲み、小さく首を傾げた。「二十歳前後なの?」「らしい。……また聴取で仕事が止まる。」「最近は、残業続きだもんね。いつもお疲れ様。」妻は、ふっと笑った。俺は白瀬孝一。常夜湖の管理業務を任され、久遠市に越してきて三年になる。妻の名は、白瀬いろは。どこにでもいる、仲の良い夫婦だ。.......少なくとも、俺はそう思っている。常世湖での事件は今回で三人目だった。全員、女子大生。全員、失血死。全員、常夜湖の近く。 「怖いわね。本当に……」いろはは湯呑みの縁をなぞる。その指が、やけに白く見えた。 午後。仕事帰りに、ひとりの女子大生と会った。桐野澪。湖底に沈んだ旧久遠村を、卒業レポートにまとめているらしい。旧久遠村...今や、この常世湖に沈んでいる村。とても昔の話だが洪水災害により壊滅状態に...100年以上前の話だ。そこに興味をもつ若い子も珍しい。「過去の洪水災害で資料を調べてみたら面白いものを見つけたんです!」彼女は目を輝かせて言った。「当時、常夜流しと言う言い伝えがありまして...その内容がまた奇妙で...」胸の奥が、わずかにざわつく。「しかも、その年の満月の日に——」 「こらこら、君はオカルトをレポートにあげるつもりかい?なら私は専門外なんだが...」澪は言葉を飲み込んだ。「……いえ、...すいません。」少々強く言いすぎたかな?...と反省しつづも「ありがとうございます!またきますね!」と会議室を後にする姿を見て安心する自分がいた。夜。風呂上がりのいろはは、長い髪を拭きながら言った。「ねえ、あなた」「ん?」「今日会った子