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逆さまの絵本②

last update publish date: 2026-02-22 19:10:51

 異変が起きたのは午後三時前のことだった。

「それじゃあ、ちーちゃん。大人しくここで待っててね」

 五歳くらいの娘に絵本を読んであげていた母親が、そう言って娘から離れた。

「いってらっしゃーい」

 と、娘は慣れた様子で母親を見送る。

 何気なくその様子を目で追っていると、なんと母親は図書館から出ていってしまった。

 目を疑う光景だった。間遠はすぐに娘へと視線を戻す。

 幼い娘は自分で棚から絵本を出しては、大人しく読んでいた。しっかりした子らしいが、これはよくないのではないか。

 張り込みの仕事がありながら、間遠は見過ごせずに椅子を立って娘へと近づいた。

「そこの君、さっきまでお母さんと一緒だったよな?」

 女児向けのアニメキャラのヘアゴムで髪を二つ結びにした幼女が振り返る。

 大きな目でじっと間遠を見てから言った。

「おじちゃん、しらないひとだからおはなししちゃだめっていわれた」

「ああ、それは正しい。でも、そうじゃなくて」

 すると松田愛美
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  • 久我探偵事務所の灯りの下で   愛と馬鹿と盗聴器①

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