LOGINShare
第907話
Latest chapter
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第908話
悟を見ると、シェパードたちは吠えるのを止め、彼に向って尻尾まで左右に揺らした。悟がここ暫くの間、よく牧野家に来ていたからだ。もちろん、涼太を誘いに来たという口実でだったが、まさか明凛の母親から悟は涼太狙いなのだと誤解されているとは知らなかったのだが、まあ、それでこの二匹のシェパードとは仲良しになっていたのだ。涼太が出てきて門を開けた。「僕に会いに来たんじゃないですよね？」悟は笑って言った。「今日はお姉さんに会いに来たんだよ。君じゃなくてね」涼太も笑った。「僕、昨日はじめて母さんが九条さんは僕のことを好きなんだと誤解してたってこと知ったんですよ。ははははは、ホント笑っちゃいますよ！」「俺もまさか、おば様に誤解されているとは思ってもみなかったよ」「だから毎回僕に会いに来たなんて口実使うべきじゃなかったんですよ。姉ちゃん、上で着替えながら、別に九条さんが来ようが来まいがどうだっていいとか口先では言ってたんですけど、実際は朝起きてからウォークインクローゼットの中でこれじゃない、あれじゃないって服を引っ掻き回してるんですよ。女性って本当に口で言ってんのと本音が天邪鬼ですよねぇ」悟は彼に注意した。「涼太君、俺の前でお姉さんの悪口は言わないでもらえるかな」涼太「……マジですか、もう姉ちゃんの味方になってるんですか？」「涼太、九条さんがいらっしゃったの？あら、九条さん、本当にいらっしゃっていたのですわね、早くお上がりになって」母親の莉子は玄関の前で待っていた。悟は持ってきた手土産を莉子に手渡し、照れながら言った。「おば様、ご家族がお好きな物がわからなくて、つまらない物なんですけど、どうぞ受け取ってください」「そんな気を使われなくたってよかったですのに。九条さんに来ていただいただけで、私も旦那も大喜びでございますことよ」これでほっとできたというものだ。まず、彼氏なんていないと思っていた娘に、なんとこんなハイスペックな男性がアプローチをかけてきていたことを知り、彼ら明凛の両親はやっと胸をなでおろすことができたのだ。次に、最初は息子が男性の嫁を迎えるのかと思っていたが、それはただの誤解だとわかり、これもまた彼らの胸をさらに下までなでおろす原因でもあった。家に入るとすぐ明凛の父である牧野祐大（まきの ゆうだい）の姿があった
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第907話
つまり、唯花が上流階級に身を置く理仁に合わせることができなければ、離婚して、それぞれの人生を歩もうという意味だった。結婚は、二人の家柄が釣り合わないといけないものなのか？彼も家族も彼女のことを一度たりとも軽蔑するようなことはなかった。どうして彼女は勝手に自分に対してそのようなプレッシャーをかけようとするのだ。周りからどう言われるか気にする必要があるのだろうか？彼が二人の間には如何なる差もないと言えば、そんなもの、この世に存在しない！彼の言うことが全てなのだ！「覚えてないんなら、きっと何も起きなかったのよ。あ、そうだわ、昨日の夜ずっと同じ言葉を繰り返していたわよ、あなた。『唯花さん、俺は君じゃなきゃいけないわけじゃないんだ』とかいうこれよ。本音が出ちゃったの？後で明るくなったら、唯花さんのところに行って、目の前で言ってあげればいいじゃないの。私たちにそんな虚勢を張ったところで無意味なのよ」理仁はあのイケメン顔を崩し、つらそうに声を出した。「ばあちゃん、唯花さんは俺にいろいろ言ってきたんだ。俺に養われる小鳥になりたくはないとか、俺と肩を並べて歩んでいける女性になりたいんだとか。俺と同じ話題で話せるようになりたいとかも。だけど、今でも共通の話題ならいくらでもあるじゃないか。俺は別に彼女をペットとして飼いたいって言ってるわけじゃないのに。彼女は俺の奥さんだぞ、自分の妻を養うのは当たり前のことじゃないか？彼女はどうしても自分の力で生きたいと言うんだよ。外にいる多くの女性が俺と結婚して、玉の輿に乗り、勝ち組になりたいとかそう言っているんだろう？俺はそんな女どもなど要らん。唯花さん、彼女ただ一人だけが欲しんだ。彼女はどうして他の女たちとは違うんだ。俺と結婚すれば、一生楽して煌びやかな人生を送れるんじゃないのか？俺が彼女も家庭も養っていけないような男だから、彼女が自立したいと言うんなら話は別だけど。俺だけで完全に彼女も家庭も養っていけるんだぞ。そんな俺に対して自分の力で自立したいなんて言う必要はないだろう。彼女は今本屋を経営していて収入もあるし、それだけじゃ駄目なのか？俺も別にあの店を閉じろだなんて言ってないし、家にずっといて専業主婦をやってくれとも言っていないのに。彼女の自由はまだ足りないのか？唯花さんはこの結城理仁の妻だぞ、誰が彼女を軽蔑
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第906話
理仁はもう形容のしようがないほど相当にキレていた。しかし、彼はそこから動こうとはしなかった。おばあさんからステッキでこっぴどく叩かれるのを警戒しているのだ。彼は、おばあさんがさっき彼に皮肉を言っていた言葉を思い出し、冷たく低い声を出した。「ばあちゃん、俺は別に『唯花さんじゃなきゃいけないわけじゃないんだ』とかそんなこと言った覚えはないぞ」彼がそんなセリフを口にするわけなかろう。絶対に唯花さんじゃないと生きていけないのだからな！唯花さん以外に、彼に必要な女性などいない！「本当に言ったことがないって？」理仁は突然口を閉じ、暫くしてからやっと口をまた開いた。「夢の中で言ったような気はするが……ばあちゃん、なんで知ってるんだよ？」まさか夢の中ではなかったのか。彼は本当に唯花と言い争いをしていた。腹が立って思わずあんなセリフを口にしてしまい、それから唯花と熱く……。「ばあちゃん、お、俺は酒が入ってたんだ。あの後俺、何か唯花さんにしちゃったのか？」もし酒に酔った勢いで唯花さんを無理やり……。嘘だろう！理仁はその後のことを想像もできなかった。酒を飲むと失態を犯してしまう！しかもベロンベロンに酔っぱらってしまっていた。おばあさんはステッキをおろし、言った。「あなたが唯花さんに何をしたかなんて知るわけがないでしょう？あんたはお酒を飲み過ぎて、心にもない言葉を適当に吐き出していたのよ。そろそろアルコールも抜けるんじゃない？どう、頭はスッキリした？」理仁は少し黙ってから言った。「スッキリした」おばあさんは理仁を冷たいプールに落とすという荒業で、この男の頭を醒まさせてやったのだ。もし彼が目を覚ましていなければ、そのまま水の中に沈み、海の主ポセイドンの嫁にでもなりに行けばいいのだ。「お酒の力を借りれば問題が解決できるかしら？」理仁は首を横に振って否定した。「だけど、短い間だけ、悩みを忘れさせてくれるさ」「今はっきりとして、それでもモヤモヤする？もっとそのモヤモヤが増えちゃったんじゃないの？酔っぱらったら心にもない言葉まで言えるし、なんだってできちゃうでしょう。あなた、夢の中で起きたと思う出来事が、実は本当に酒に酔って起きた出来事だったとしたらどうする？」理仁は顔を青くした。そして、緊張した面持ちで尋ねた。
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第905話
理仁は今どんな様子だって？彼は酔って寝てしまった後、まだ夢の世界にいた。夢の中で彼は唯花とかなり激しいバトルを繰り広げていた。彼は彼女に向かって大声で怒鳴りつけた。「内海唯花、俺は別にお前じゃないといけないわけじゃないんだぞ。俺はいつだって別の女にとっかえることができるんだ。取り返しがつかなくなってから泣きついてきても知らないからな！」夢の中の唯花は冷ややかな視線で彼を睨みつけた後、彼に背を向けて去っていった。「唯花さん！離婚なんて考えは捨てるんだ！君は俺のものだ！俺は君なしじゃ生きていけないんだ！」彼女が去っていこうとしたのを見て、彼は反射的に彼女の腕を掴み、引き留めようとした。彼は彼女の腕を引っ張り、しっかりと腕の中に抱きしめると、彼女のほうへ顔を下に向けて激しいキスをした。そのままベッドに入り二人が一つになろうとした時……。「ドボンッ――」理仁が夢の中でしつこく唯花に絡みついていた時、姿勢を崩し、つまりあの椅子から体勢を崩してプールの中に落ちてしまったのだ。冷たい水が彼を呑み込んだ。その瞬間、夢の世界は音を立てて崩れ、熱くほてった体は冷たい水に落ちた瞬間、冷めてしまった。嘘だろ！寒い！周りは水！なんで水の中にいるんだよ！理仁がプールに落ちた時、あまりに突然の出来事に口や鼻からどんどん水が流れ込んできて、頭がはっきりとした。そして、すぐにプールの端まで泳ぎ、中から這い上がってきた。すると彼は悪態を付いた。「これは一体どういうことだ？誰が俺をプールに投げ込んだ!?」理仁は顔に残る水滴を拭いながら、怒鳴り散らした。プールサイドにあるライトが柔らかい光りを放ち、辺りはとても静かだった。彼のその怒号には誰も返事をしなかった。プールの周りには誰一人としていなかったからだ。彼のいるところから対面に、椅子が一つ置いてあった。そして布団がプールの端にかかっていて、布団の端のほうが水の中に浸っていた。理仁はまた悪態ついた。聞くまでもなく、ここが結城家の邸宅だということがわかった。あの日、彼はこのプールで泳ぎ、仮病を使うおばあさんを引きずりだした場所である。彼をこんな目に遭わせようとする人間はおばあさんを除いて、そんな度胸のある者など他にはいない。ただ気持ちが晴れずに酒を飲んだだけだ
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第904話
「俺、こいつを内海さんのところに送ってくよ。彼女ならきっと世話してくれるだろう」悟は親友の手助けをしてやろうと思ったのだ。しかし、隼翔は「理仁は今こんなに酔っぱらって、訳わかんないことばっか呟いてるんだぞ。さっきこいつが言ってた言葉を内海さんが聞いたら、火に油を注ぐだけだ」と注意した。悟「……じゃ、やっぱ、琴ヶ丘のほうに送ってくわ」隼翔はそのほうがいいと思った。三人はバーを出ると、隼翔は理仁を悟の車まで運ぶのを手伝い、また何かを注意して、悟が理仁を乗せて去っていくのを見送った。その後、彼も携帯で運転手に電話して迎えを頼んだ。結城家の邸宅への帰り道、理仁はずっとぶつぶつと呟いていた。そして「ゆいかさん、君を愛しれる。俺から離れらいでくれ」とまた同じ言葉を吐いていた。そしてまた暫くしてから「これ以上どうすれっれ言うんらよ？いっれおくけど、別に君じゃらいといけないわけじゃ」とまた繰り返していた。彼はずっとあの言葉を繰り返し何度も呟き続けた。これは彼の愛とプライドの闘いだった。愛が優勢に立ったと思えば、すぐにプライドが勝ち上がってくる。一時間以上かけて悟は琴ヶ丘邸に辿り着いた。彼は到着する前におばあさんに電話をかけて連絡していたので、おばあさんが屋敷の前で待っていた。「おばあ様」悟は車を止めると、おばあさんに挨拶しながら車を降りてきた。「こんな遅くに、ご迷惑をおかけしてすみません」「それはこちらのセリフよ、こんな遅くに理仁を送ってきてもらっちゃって」おばあさんはボディーガードに言って理仁を車から降ろさせた。理仁が歩くこともできないほど酔っているのを見て、悟に尋ねた。「この子ったら、どれだけお酒を飲んだのかしら？」「ボトルを何本も開けていましたね。心の中を全てぶちまけるほど酔っていましたから、奥さんのところには連れていけなくて。もし奥さんが理仁の話を聞いたらもっと怒るでしょうし」「この子、何を言っていたの？」悟は包み隠さず、理仁が言っていたあの呟きをおばあさんに教えた。おばあさんはそれを聞いて「ふん」と鼻を鳴らした。「そんなこと唯花さんの前で言ってごらんなさい、私はそれでこそ結城理仁と賞賛してあげるわよ」「おばあ様、理仁もずっとモヤモヤしていたでしょうし、こうやって心の内を全部吐き出してしまったほうが
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第903話
理仁はテーブルの上にある全ての物を一掃し、自分はそこに倒れ込んでぶつくさと何かを呟き始めた。「唯花さん、唯花……別に唯花さんじゃないといけないってわけじゃないんだからな……」悟と隼翔は最初、理仁が何を言っているのか全く聞き取れなかった。彼は何度も何度も繰り返し呟いていて、悟が彼に近づいてよく聞いてみると、やっと「唯花、俺は別に絶対に君じゃないといけないってわけじゃないんだぞ」というのを聞くことができた。「こいつ、何言ってんだ？」隼翔は悟が微妙な表情をしているのがとても気になり尋ねた。悟はスックと立ち上がり、姿勢を正してべろべろに酔っぱらっている理仁を見つめ、隼翔に言った。「理仁がスピード結婚してから、内海さんのことで何度も酔っぱらってきたな」最初、理仁と唯花が契約を結んだあの時、唯花のほうがそれに対してどうでも良いという態度を取っていたことが理仁は気に食わず、その時もこの二人の親友を呼び出して酒を飲んだ。しかもひどく酔っぱらって、七瀬に家まで連れて帰ってもらったのだ。その時も、七瀬は運転代行業者として、堂々と唯花の前に現れたのだった。「それから、なんだっけ『唯花さんじゃないといけないわけじゃないんだからなぁ～』とかなんとか、はっはっは」悟は酔っぱらった親友を嘲笑していた。「だったら、お前、内海さんの前でその言葉を吐いてみろよ。ここで俺らに酔っ払いの言葉なんか聞かせてどうすんだ？内海さんに直接『君じゃないといけないわけじゃない』って言えるなら、俺はお前が勇者だと認めるよ」すると理仁は突然サッと立ち上がり、悟の両肩をポンと掴み、力を込めて彼を揺さぶり叫び始めた。「唯花さん、これ以上、おれにどうすれっていうんらよ？おれが悪かった。もうじゅうぶんあやまっらだろう？おねーさんのところに住みらいっれゆーから、そうしれあげらじゃないか。これ以上、君はどうしらいんだ？いっれおくがなぁ、俺がその気になればぁ、どんら女だっれ、この俺とけっこんしたいと思ってるんだぞぉ！唯花さんしかだめらわけじゃあ、ないんらからなぁ！」悟はひたすら理仁に揺さぶられ、頭がふらふらし、彼のどうでも良い話を聞かされ続け、最後には耐えきれなくなって彼に言った。「お前な、本気で内海さんじゃなくてもいいってんなら、さっさと彼女と離婚して、他の女を探せばいいだろうが！」「
You may also like
