เข้าสู่ระบบ「いやぁ、怒られたねぇ」
「あぁ……佐々木さんめっちゃ怖かった……」 あの後、佐々木さんに全てを話した結果、2人揃って怒られた。あまりにも怖すぎて、もう少しで泣いちゃうところだったぜ。 まぁ、怒られた原因の大半が、ダメ人間契約だったのは言うまでもない。佐々木さんは大反対だし、松田さんは結構ガチめのドン引きだった。 佐々木さんが東城に色々とやめろと説得していたから、多分この契約は無くなるんだろうなって思いながら、ボケっとしていたら気が付いた時には、東城は佐々木さん達を言いくるめていた。いやはや……本当に恐ろしい子だよ。 まぁそんな訳で、俺と東城のダメ人間契約は予定通り決行となった。 「それにしても、東城の家が近所だったなんてな」 「うん。それについては、私もビックリしたよ」 同棲のスタートが今日からとの事で、とりあえず必要な物だけを取りに、東城の家に行ったんだけど、まさか歩いて数分のバリバリ近所だとは思わなかった。 世間は狭いって言うけど、あれは結構マジなんだな。 「てかさ、家に物無さすぎじゃね?」 「まぁ、元々物がないってのもあったけど、必要ないのは、朝のうちに全部捨てたからね」 「行動力が凄まじいな」 「にひひっ、それが私のいいところだからね」 「なるほどね」 ま、こんくらいの行動力がなかったら、ダメ人間契約なんて言ってこないか。 「着いたぞ。ここが俺ん家」 「そして、私の家になるところね」 「そうだな。ほれ、入ってくれ」 「うん。えっと、ただいまかな?」 「ん。おかえり」 ただいま、か…… 何か少し変な感じだな。 まぁ、それも直ぐに慣れるか。なんせ、最低でも2年は一緒に暮らすことになるんだからな。 「おぉ……思ってたより広いんだね」 「まぁな」 なんて言ったって2LDKだ。 どう考えても、2人で暮らすには広すぎるくらいだ。 「あ、そこの部屋は空いてるから、今日から東城の好きに使ってくれ」 「分かった」 ようやく、この部屋を有効活用出来たな。ここに来てから、1回も使ってなかったんだよな。 「こりゃ、結構家賃が高そうだね」 「いや、家賃の心配はしなくてもいいよ」 「それはダメだよ。そういう契約でしょ」 「あー違う違う。家賃は親持ちなんだよ」 ありがたいことに、家賃と大学の学費は親に払ってもらっている。その代わり、光熱費や生活費は自分持ちだ。 「なるほどね。でも、別に家賃も私が出してもいいよ」 「いや、それはやめてくれ。この契約が親にバレるのは、ちょっと都合が悪いんだ……」 「そっか。なら仕方ないね」 助かるな。 大した理由がある訳じゃないけど、正直この件に関しては深く踏み込んでほしくない。 「さてと、早速で悪いんだど、細かいルールとか確認とか決めちゃおうか」 「賛成だ」 東城が持ってきた荷物を一旦、テーブル横に下ろして、俺達はソファーに座った。 「それじゃ、まずは私が払うお金について確認しよっか」 「だな。まずさっき言った通り、家賃は必要ない」 「となると、食費と光熱費がメインかな?」 「まぁそうなるな」 「因みに月にどのくらい使ってるのかな?」 「ちょっと待ってて」 俺はそう言って、棚に置いてある家計簿を持ってきて、東城に見せた。 「まぁこんな感じだな。食費はだいたい2〜3万程度で収めている。光熱費は、電気代以外は全部最低料金だ」 「わぁ……桜木君って結構マメなんだね」 東城は家計簿を見ながら驚いていた。 まぁそれも当然かな。俺の場合、レシートや領収書なんかは全部取っているし、その日使ったお金もこと細かく記録してある。 学生でここまでやっているやつなんていないし、下手したらその辺の主婦もやってないだろう。 「うーん。この家計簿を見る限りだと、8万くらいあれば余裕そうだね」 「そうだな」 まぁ、実際のところ6万あれは普通に生活出来るんだけどな。ただそれは、俺1人だった場合の話だ。東城もとなると、確かに8万は必要になるだろう。 「了解。んじゃ、とりあえず15万渡しておくよ」 「いや待て待て、流石にそれは多すぎだろ」 「余ったら、次の月に回していいよ。それにこの中には、桜木君が自由に使っていい金額も入ってるから」 「分かった。それでいいよ」 「了解。あ、足りなくなったら言ってね」 「多分大丈夫だと思うけど、了解だ」 かなり太っ腹だな。でもまぁ、何があるか分からないし、お金はあるに越したことはない。 この際、もらえる物はもらっておくとするか。 「次は私のことなんだけど、基本的に自由にさせてもらうね。具体的には寝たい時に寝て、遊びたい時に遊ぶ感じかな」 「んで、俺が東城の身の回りの世話をすればいいんだろ?」 「うん。掃除洗濯にご飯やお風呂の準備、その他もろもろだね」 「了解した」 「あ、でも、流石に大学の用事がある時はそっちを優先していいから」 「それはありがたいけど、いいのか?」 「もちろん。大学は、桜木君の将来に関わるからね。それを邪魔するのは違うから」 「助かるよ」 よかった。実はそこだけが、ちょっと心配だったんだよな。 「とりあえず、こんなものかな?」 「だね」 「じゃ、これからよろしくね。桜木君」 「こっちこそ、よろしく頼むよ。東城」 俺は東城から差し出された手を握る。契約の握手ってところかな。 「それじゃ、早速ダメ人間モード発動〜。あ、私の荷物、部屋に運んでおいて。後、ご飯の用意もよろしくねぇ」 「はいはい」 東城は、だらしなくソファーにゴロンと寝転びながら言う。 すっごい切り替えの早さだな…… てか、無防備過ぎないっすか? 可愛らしいおへそが見えてますよ。 「桜木君」 「ん?」 「私のお腹見てるのバレバレだよ」 「す、すまん……」 「にひひっ、桜木君のエッチ〜」 俺は東城のからかった視線から、逃げるように荷物を持ってリビングから出た。これ以上あそこに居たら、またからかわれそうだ。 ―――― ―― 「うん。こんなものかな」 東城の荷物を部屋にぶち込んでから、俺は今日の夕飯を作っていた。んで、今ちょうど作り終わったところだ。 本日の献立は、鶏もも肉の照り焼きと野菜炒めだ。 「おーい、東城。ご飯出来たぞ」 「……」 って、寝ていらっしゃるよ……。 ほんとにもぅ……無防備にもほどがあるってば。てか、メガネ付けっぱなしじゃん。フレーム曲がっても知らないぞ。 「東城さ〜ん。起きて下さい〜」 「……うぅん」 「起きないとイタズラしちゃうぞ」 「うん……」 え? 今オッケーもらった? だって今、うんって言ったよね? 聞き間違いじゃないよね? 「……」 よ、よし……やるぞ。俺はやるぞ! 据え膳食わぬは男の恥ってやつだぜ。 「え、えい……」 「う、ううん……?」 お、おぉ……や、やわらけぇ……それなのに、プニプニとした弾力まである。例えが安直になるけど、マシュマロみたいだ。 これが、女の子のほっぺたか。 「なに、してるの……?」 「あ、あー……」 しまったな。少しプニプニし過ぎてしまったようで、東城が起きてしまった。 「質問、答える」 「ちょっとした、イタズラすっね」 「ふーん……」 東城は、むくりと起き上がり、ぐーっと大きく伸びをしてから、まだ眠そうな目で俺を見る。 「ねぇ桜木君」 「何でしょう?」 「普通、ほっぺじゃなくて、おっぱいの方じゃない?」 「……」 いや、まぁ……うん。 俺も最初は、その魅力度満点のおっぱい様をつつくつもりでしたよ。でも、直前でチキりましたよ。だってねぇ……ほら、俺って多分まだ童貞ですから。そんなイケイケゴーゴーの精神は持ち合わせてないんですよ。 「別に触ってもよかったのに」 「からかうなよ……」 「にひひっ」 ったく……そういうのは、冗談でもやめてくれよ。本気にしちゃうだろ。 まぁ……本気なったところで、出来るかどうかは別問題なんだけどね。 「あ、いい匂いがするね」 「そりゃ作りたてだからね。すぐに食べる?」 「うん。よろしく」 「あいよ」 やれやれ……何となくだけど、今後も同じようなことで、からかわれそうだな。 それに今の感じで分かったけど、早くも俺と東城のパワーバランスが確定してしまったようだ。 ―――― ―― 「おぉ! これは美味しそうだね!」 「そう言ってもらえると、嬉しいよ」 「いやぁ、まさかこんなに、ちゃんとしたの出てくるとは思わなかったよ」 まぁ、男子大学生が出す夕飯にしては、かなり家庭的だろうな。 「桜木君って、料理上手なんだね」 「自慢じゃないが、結構自信があるね」 料理は子供の頃からずっとやってたからな。同年代のやつらよりは、出来る自信がある。それに俺自身、料理することは結構好きだったりする。だから、多少凝ったものを作ることも、全然苦じゃない。 「にしても、その、悪いな」 「ん? 何が?」 「ほら、東城の食器ないだろ?」 「あぁ、なるほどね。別に気にしなくてもいいのに」 これに関しちゃ、完全に気がつくのが遅れてしまった。俺が気が付いたのは、料理してる最中だ。 本当は味噌汁も付けたかったんだが、入れるものがないから諦めた。 東城にはマジで申し訳ないけど、白米はラップの上、取り皿はたまたま買ってあった紙皿、箸はコンビニでもらえる割り箸だ。 明日、早急に東城の食器を買いに行かないとな。 「あ、そうだ」 「ん?」 「桜木君、食べさせて」 「は、はぁ?」 意味が分からない。何で今の話の流れから、食べさせてになるんだよ。 「ほら、私ダメ人間だしね」 「いやいや……意味不明なんですけど」 「いいからいいから」 東城はそう言うと、ちょこちょこっと俺の隣に寄って来て、ぽすんと腰を下ろす。 「はい。あーん」 「マジでやるの……?」 「早く〜」 小さくて可愛らしい口を開いて、早く寄越せと言わんばかりに、パクパクとさせている。まるで、親鳥から餌をもらう雛鳥みたいだ。 ただ、雛鳥と違うのは、何とも言えないエロスがある。なんと言うか、こう、とてもいけないことをしている気分になるのは、気のせいではないはずだ。 「ねぇ、早くしてよ」 「わ、分かったよ……」 こ、こうなりゃ、覚悟を決めるしかない。そ、そう、これはただの食事だ。それにお願いしてきたのは東城なんだ。俺はそれに従うだけなんだ。 俺は若干震える手で、箸を握り、鶏もも肉の照り焼きを取って、東城の口へと入れる。 「むぐ。うん、美味し」 「そ、そいつはよかった……」 や、やばいやばい! なんだこれ!? 上手く言えないけど、とにかくやばい! 俺の理性がごりっごりに削られる! 「ん? どうしたの?」 「い、いや……何でもないよ?」 まずいな……初手で照り焼きを食わせたのは、失敗したな。 唇に付いた照り焼きの油をペロリと舐めとったから、桜色の唇がテカって色っぽさが倍増しやがった……。 「んじゃ、次お願い」 「お、おう……」 ち、ちくしょう! これまだ続くのかよ! 心臓に悪いにもほどがあるだろ。 持ってくれよ……俺の理性……。 ―――― ―― 「美味しかった〜、ご馳走様!」 「お粗末様です……」 東城の腹が満たされ、ようやく餌付け? から解放された。 いや、もう、本当に疲れた。ここ数年で1番疲れたかもしれん。主に肉体的にじゃなくて、精神的にな。 「さてと、お腹もいっぱいになったし、お風呂に入りたいな」 「洗ってあるから、後はスイッチ押すだけだぞ」 「ん、りょ〜かい」 戦線離脱! 一時撤退! 俺は全力で、その場を離れて、台所横に付いている風呂を沸かすスイッチまで逃げる。 危なかった……あそこに居るのは、俺の精神衛生上よろしくない。ここは少しでも頭を冷ますべきだ。 「はぁ……」 「どのくらいで沸く?」 「まぁ、15分くらいかな」 「分かった。その間に桜木君も食べたら?」 「そうさせてもらうよ」 東城にずっと食べさせていたから、俺はまだ、一口も夕飯に手をつけてない。てか、そんな余裕はなかったからな。 「んじゃ、いただきます」 「どうぞ〜」 どうぞって……作ったのは俺なんですけどね。 まぁ、そんなことを言うのは野暮ってもんか。 「いやぁ、桜木君って本当に料理が上手いんだね」 「まぁな」 「明日からも楽しみにしてるよ」 「おう」 流石に明日も、これが続くわけないよな? 今日は食器が無かったから、特別だよな? てか、そうであってくれ。マジで頼みます。 「そういや、東城って嫌いな食べ物や食べられない物ってあるの?」 今日は何となく作ったけど、今後のために東城の好き嫌いは、しっかりと把握しておきたい。 「あーそうだね。とりあえず、こんにゃくだけは避けてほしいかな。昔からあれだけがダメなんだよねぇ。あの、うにゃうにゃってした感触が苦手なんだよね」 「なるほどな。了解した。後は何かある?」 「それくらいかな。あ、因みに炭酸飲料は死ぬほど好き」 「分かった」 奇遇だな。実は俺も炭酸飲料は大好きだ。特にコーラ。あれが無いと生きていけないレベル。 まぁ、そんなことはさておき、NGなのは、こんにゃくね。 「あ、お風呂沸いたね」 「そうだな。ちゃちゃっと入って来なよ」 「そうする〜。あ、一緒に入る?」 「うへぇ!?」 「にひひっ、冗談だよ〜」 こ、こんにゃろ…… 「もぅ、桜木君はえっちだなぁ」 「い、いいから早くいけよ!」 「はいはい。それじゃ、お先に〜」 ったく……本当にもう勘弁してくれよ……「なぁ頼むよ」 「えぇ〜」 今年、高校に入学したばかりの息子、桜木奏多《さくらぎ かなた》は心底嫌そうな声を出す。 むぅ……まさかここまで嫌がるとは思わなかったな。 「そんなに嫌なの?」 「嫌だよ。てか、それ以前に何でお見合いなんてしなくちゃいけないのさ。まずは、その理由を聞かせてよ」 「まぁ話せば長くなるんだけどな」 音葉《おとは》と夫婦契約を結んでから、早いもので18年の時が経った。 大学を卒業したその日に音葉と結婚して、その年に第1子である奏多が産まれた。 早くね? って思うかもしれんが、仕方がなかったことなんだ。ちょいとテンションが上がって、音葉とフィーバーし過ぎちまった結果だ。 まぁ色々大変ではあったが、全く後悔はないから良しとしよう。 そして何と驚いたことに、小鞠さんがいつの間にか結婚していて、おまけに奏多と同い年の娘を出産したらしい。めでたいことだ。 で、だ。俺は完全に忘れてたんだが、昔小鞠さんとした約束の話が持ち上がってきた。 そう、お互いの子供を結構させようっていうあれだ。あの時は、冗談だと思って適当に流していたが、どうやら小鞠さんは本気だったようで、つい先日お見合いをやろうという連絡がきたのだ。 んで、慌てて奏多にお願いをしているってわけだ。 「まぁそういうことだ。頼むぞ、我が息子よ」 「いや、頼むぞじゃねぇよ。クソ親父」 「こらこら奏多君。お口が悪いですよ。そんなんじゃいい大人になれませんよ」 「うっぜぇ……」 ち、本当に口が悪いなこのガキ。いったい誰に似たんだか。 「はぁ……分かったよ。とりあえず、出るだけ出てあげるよ」 「お? いいのか?」 「相手は雪城さんの娘さんなんだよね? 父さんと母さんの立場もあるからねぇ」 おぉ……流石俺の息子だ。その辺、言わなくてもちゃんと分かっていらっしゃる。 今の小鞠さんは、音葉が所属している事務所の社長さんだ。俺も個人的に小鞠さんには、そこそこお世話になってる。だから、断るのは少々都合が悪いんだよな。 まぁ断ったからって、あの人が何かしてくるとは全く思わないけど、それでもまぁ色々あるもんなんだよ。 「ただし、条件が3つある」 「ほう。言ってみろ」 「まず1つ目、お見合いはする。ただ、その後のこと
「おーい。アラタ君ー!」 「なんでいるんだよ……」 おっかしいなぁ。俺、今日帰るとは音葉に言ってなかったはずなんだけどなぁ。 てか、もう夜中なんだから、そんな大きな声出さないでもらえないですかね? 「お帰り」 「ただいま。んで? 何でいるの?」 「言い方悪い。何? 私が迎えに来るのは嫌なの?」 「まさか。嫌じゃないよ。ただ、何で俺が今日この時間に帰ってくるか、分かったのかなって思ってな」 「風実歌《ふみか》ちゃんから教えてもらったんだよ」 「なるほどな」 だから時間とか聞いてきたのか。納得納得。 「音葉は飯食ったのか?」 「うん。オムライス食べたよ」 「ほう。栞菜《かんな》ちゃんに作ってもらったの?」 「にひひっ。って思うじゃないですかぁ? でもね、私が作ったんだよねぇ」 「音葉。嘘つきは泥棒の始まりだぞ」 「全く信じてくれないねぇ!?」 当たり前だ。 卵すらまともに割れないやつが、オムライスを作った? そんなの信じろって言う方が無理だろ。 「胡桃《くるみ》に教えてもらったんだよ」 「胡桃ちゃんに?」 「うん。メイド喫茶特製のね」 「ほほう。まさに直伝ってやつだな」 「うん。これがめっちゃ美味いんだなぁ」 「え? てかガチで作れるようになったの?」 「ガチだよ。胡桃のやつに超スパルタで叩き込まれたんだよねぇ」 胡桃ちゃんのスパルタか。 めっちゃ厳しいってことだけは想像出来るわ。 「今度作ってあげようか?」 「お手並み拝見だな」 「にひひっ! 刮目していいよ」 「楽しみにしてる」 しかし、音葉と胡桃ちゃんがねぇ。 喧嘩ばかりしてるけど、やっぱ何だかんだで仲良いんだよな。 「そうだ。ありがとね、アラタ君」 「うん? 何のこと?」 「またまた〜、惚けちゃって」 「茶化すな。何の話だよ」 「スカウトのことだよ。雪城エンターテインメントから、契約の話が来てるんだよ。メジャーデビューしないかってね」 あぁなるほどね。その話か。 確か、もうすでにいくつかのバンドと契約して、メジャーデビューの話が進んでいるって言ってたな。まぁ当然、音葉達AGEにもこの話が来ててもおかしくはないか。 「別に俺にお礼を言うことじゃないだろ
「お? あにぃこれ美味しいよ」 「おぉ本当だな。絶品だ」 「あにぃ同じの作れない?」 「流石に無理だなぁ」 「うーん。残念」 クソ親父達が帰った後、俺と風実歌、それと雪城さん達で料理を食っていた。 まぁ残して行くには、少々もったいないくらいには、お高いところだからな。 ちなみに、和奏《わかな》さんは帰って行った。一緒にどうですか? って誘いはしたんだけど、和奏さん曰く、こういう高いところは仕事としてじゃなくて、プライベートで来たいからとのことだ。 まぁ気持ちは分からんでもない。 「それにしても、アラタさんと風実歌《ふみか》さんは仲がいいんですね」 「んー、多分普通ですよ。俺らとあのクソ兄貴が特別仲悪いだけなんで」 「なるほど。確かにそうかもしれませんね」 そもそもの話、あのクソ兄貴と仲良くなんて出来るわけがない。あいつ、性格が悪いってより、人として大分終わってるしな。 「あ、でもでも、あにぃは世の中のお兄ちゃんより、ずっといいと思いますよ!」 「こら、妹よ。恥ずかしいからやめなさい」 「えぇ〜、可愛い妹の愛を受け止めてよ」 「あーはいはい。ありがとな。愛してる愛してる」 「えへへぇ〜、私も愛してるよ。あにぃ」 やれやれ……何でうちの妹はこのやり取りがこんなに好きなんだろうねぇ? いい加減付き合うのにも飽きてきたぞ。 「う、う〜ん。やっぱり、仲がいいと思いますけど……色んな意味で」 「あはは……確かに僕の目にも、そう見えるかなぁ」 「気のせいですよ」 そうそう気のせいだ。俺はシスコンじゃないし、風実歌もブラコンじゃない。そこそこ仲がいいどこにでもいる兄妹なのだ。それ以上でもそれ以下でもないのである。 「そうだ。アラタさん、1つお願いがあるのですが」 「ん? なんすか?」 小鞠さんが俺にお願い? 何だろ? 全く想像出来ないな。 「私と結婚しませんか?」 「ぶほはっ!?」 「ちょ、あにぃ汚いよ! ほら、水」 「あ、ありが、と……」 きゅ、急に何言い出すんだこの人!? 食ってた餃子が変なところに入っていっちまったじゃねぇかよ。 「それでどうでしょうか? アラタさん」 「いや、ちょっと待ってくれ。いきなり何言ってんですか?」 「何って、
「遅いぞ」 「時間通りだろ」 「社会人なら10分前行動が基本だ」 「はいはい。そいつは悪かったな」 今日はいよいよ、俺のお見合いの日がやってきた。昨日、一昨日と挨拶回りだのと、あっちこっち連れ回されての今日だ。おかげで休む暇もなかった。ったく、本当に人の扱いが酷いもんだぜ。 でもまぁ、それも今日で終わりだ。さっさと済ませて早くあっちに帰りたいものだ。 俺達は今、お見合い会場となっている料亭に来ている。珍しいことにクソ親父にクソ兄貴、クソババアと俺と風実歌の家族全員参加だ。しかも、俺らが早く来ての相手さんを待ってる状態だ。 こりゃ、よっぽど相手さんを立ててるってことだな。 ちなみに、ホームズはお留守番だ。今日は獅雄《れお》さんに預かってもらってる。 「恥じかかすなよ。アラタ」 「努力するよ。クソ兄貴」 「お前。間違っても、相手方の前でそんな呼び方するなよ?」 「わーってるよ。今だけだ」 「ふん。相変わらず、出来の悪いやつだな」 ったく……こっちはこっちで、うるせぇやつだなぁ。少し黙ってらんねぇのか? 「ねぇあにぃ? 本当に大丈夫なの?」 「心配するな。風実歌は料理が運ばれてきたら、美味しそうに食ってればいいさ」 「んな適当な……」 「いいんだよ。適当で」 どうせ、これから始まるのは茶番なんだからな。しっかりするだけ無駄ってもんだ。 だったら、味だけは美味いご飯を楽しんでた方が何百倍もいい。 「桜木さん。お待たせしました」 お? 来たっぽいな。 扉が開いて、50代後半くらいのスーツを着た男性と、俺と同い年くらいの和服を着た金髪の女性が入って来た。 「雪城さん。本日はお越しいただきありがとうございます」 「いえいえ。こちらこそ、ありがとうございます」 「どうぞ。まずはおかけ下さい」 お決まりの硬っ苦しい挨拶を済ませると、クソ親父は雪城さん達を席に通す。 雪城さん達が席に座ると、待ち構えてたかのように、料理が運ばれてきた。 うわ……高そう。いったい1食いくらするんだこれ? 「ほら、アラタ。何してる。お前も挨拶しろ」 はいはい。分かってますよ。 「桜木アラタです。今日はよろしくお願いします。雪城さん」 「あぁ。こちらこそよろしくね。アラタ君。ほ
「なぁ音葉《おとは》。1人で大丈夫か?」 「にひひっ、大丈夫だよ。栞菜《かんな》とかが助けに来てくれることになってるから」 「なるほど。確かにそれは心強いな」 まぁ……栞菜ちゃんには、また迷惑かけることになるけどね……。 ごめんね。うちの子がポンコツのダメ人間で。戻ってきたら、俺が責任もって世話するんで、少しの間お願いします。 「ねぇ……何か今、心の中で失礼なこと考えてなかった?」 「気のせいだよ」 「本当かなぁ」 「本当だって」 「まぁいいや。気をつけて行ってきてね。それと、ちゃんと帰って来てね」 「あぁ分かってるよ」 「行ってらっしゃい。アラタ君」 「行ってきます。音葉」 ―――― ―― 音葉達のライブバトルが終わって早数日。あの後、打ち上げやら、胡桃《くるみ》ちゃんの歓迎会やらをやっているうちに、あっという間にクソ親父との約束の日がやってきた。そんな訳で、嫌々ながら地元に帰ることになった。 あ、ちなみに胡桃ちゃんとは、歓迎会で結構仲良くなった。主に音葉に対する愚痴や苦労なんかを話してたら意気投合した。今じゃお互いに名前呼びする仲になった。 「新幹線に乗ってる間は、大人しくしてろよ?」 「にゃ〜あ」 「いや、ほんとに頼むぞ。ホームズ」 うちの愛猫、ホームズも連れて帰ることになった。まぁ、俺がいない間、音葉には流石に任せられないってことになったからだ。 ネットで調べたら、新幹線に猫を乗せても大丈夫とのことだったから安心したぜ。今は、俺のバックの中で頭だけ出して大人しくしてる。 ふむ。こうして見ると、某ゲームの主人公みたいだな。 「っと、そろそろ発車の時間だな」 ぼやぼやしてるとあっという間だな。 指定席を取ってあるから確実に座れるけど、ぎりぎりに行って乗り込むのに苦労したくないし、さっさと座ってしまおうか。 あーあ……それにしても、まじでくそめんどくせぇなぁ。 ―――― ―― 「あにぃ〜! こっちこっち!」 駅から出てすぐに、風実歌《ふみか》の大変元気な声が辺りに響き渡る。 うん。ちょい恥ずかしいから、あれやめてくれないかな? ほら、めっちゃ注目集めてるじゃん。お兄ちゃんは、シャイで恥ずかしがり屋さんだから目立つのは嫌いなんだよ? 「お
―胡桃視点― 負けた……。 結果を聞くまでもない。完全に私達の負けだ。 その証拠に会場は、大AGEコールが鳴り響いている。 悔しい……悔しい悔しい悔しい! 「胡桃」 「大丈夫。帰ろう……」 私はそれだけ言って舞台袖へ帰ろうとする。 ごめん優。今はちょっと顔を見れない。多分、私すっごい酷い顔してるから。情けなくて見せられないよ。 「胡桃!」 「え?」 会場の大AGEコールをかき消すほどの大きな声で、音葉が私の名前を呼んだ。 余りにも突然のことで驚いてしまった私は、思わず音葉の方を向いてしまう。 「にひひっ」 音葉はいつものように、白い歯を見せて笑うと、ジャーンとギターを掻き鳴らす。 それに応えるように、璃亜はベースを栞菜はドラムを弾き始めだ。 「こ、この曲は……」 忘れもしない。これは、私達がまだAGEだった頃に初めて作って演奏した曲だ。 何で今さらこの曲をこの場所で演奏してんのよ。バカじゃないの? でも……。 「あぁ……そう……」 ほんとに腹立つやつだ。 何? その顔。 出来るよな? 早く入って来いって顔してさ。 いいよ。やってあげるよ。忘れてるかもしれないけど、この曲のメインは私なんだから! ―――― ―― 「はぁ……はぁ……」 突然始まった演奏に会場のお客さんは、戸惑いはしたものの、すぐに熱狂に変わった。 まぁ当然かな。この曲で盛り上がらないわけがないんだから。 「にひひ、出来るじゃん」 「うるさい。急になんのつもり?」 「べっつに〜。ただ泣きそうな顔してたから、ちょっと慰めてあげただけだよ」 「はぁ? 喧嘩売っての?」 ほんとに音葉は昔からこうだ。ほんとにムカつく。 「はいはい。2人ともその辺にして」 分かってましたよって言わんばかりに、栞菜が私と音葉の間に入ってきた。 なんというか、流石と言うべきかな。私と音葉が喧嘩しそうになると、いつもこうやって間に入ってくれたっけ? 「ごめんね胡桃。急にやっちゃって」 「別にいい……」 無視しようと思えば出来た。それなのに演奏に参加したのは私だ。だから、栞菜が謝ることじゃない。 「ねぇ胡桃。やっぱり戻ってこない?」 「その話は前に断ったでしょ」 「お