Short
偽りの愛を断ち、ハーバードの優等生へ

偽りの愛を断ち、ハーバードの優等生へ

By:  ブルベリーサンドCompleted
Language: Japanese
goodnovel4goodnovel
8Chapters
7.8Kviews
Read
Add to library

Share:  

Report
Overview
Catalog
SCAN CODE TO READ ON APP

親友の兄である不二裕斗(ふじ ゆうと)と付き合い始めて二ヶ月。ちょうどサンクスギビングの時期だった。 親友の不二杏奈(ふじ あんな)が、やけに秘密めいた口調で私に囁いた。「ねぇ、お兄ちゃんが彼女を連れて帰ってくるんだって!一緒に見に行こうよ、雫!」 私は胸を高鳴らせて、精一杯お洒落をした。これでようやく「彼女」として、彼の家族に紹介してもらえるんだと信じていたから。 ところが、玄関をくぐった瞬間、目に入ったのは、彼が別の、洗練された美しい女の子を抱き寄せ、両親に笑顔で紹介している姿だった。 「彼女は沢村冷夏(さわむら れいか)。僕のガールフレンドだ」 裕斗も私に気づき、一瞬、明らかに動揺したのが分かった。 しかし、次の瞬間、彼は何事もなかったかのように、その女の子に軽く言った。 「ああ、こっちは妹の友達で、うちでバイトしてる学生......まあ、お手伝いさんみたいなものさ」 お手伝いさん? 彼の心の中では、私はキスや添い寝は許されても、決して表には出せない「バイトの学生」でしかなかったのだ。 私は踵を返し、彼の寝室ではなく、ハーバードへ向かう便に乗り込んだ。

View More

Chapter 1

第1話

サンクスギビングの朝、不二裕斗(ふじ ゆうと)は私にセクシーなランジェリーを残し、「夜、これを着て待ってて」と言い残した。

私が返事をする間もなく、彼は「大事な用事がある」と慌ただしく出て行ってしまった。

ちょうどその時、親友の不二杏奈(ふじ あんな)から連絡が来た。彼女の兄、つまり裕斗が、ついに本命の彼女を家に連れてくるから、一緒に見に行こうというお誘いだった。

杏奈の期待に満ちた瞳を見て、私は緊張と甘い気持ちで承諾した。

杏奈が知らないのは、その「本命の彼女」が私だということだ。

これはきっと、裕斗が私に用意してくれたサプライズなのだろう。この特別な日に、「彼女」として家族に紹介してくれるのだと、そう信じていた。

私は丹念にお洒落をし、さらに裕斗のために徹夜で仕上げたレポートをバッグに忍ばせ、杏奈と一緒に不二家へと向かった。

玄関に着いた途端、杏奈が「キャー!」と小さな悲鳴を上げ、私を引っ張って物陰に隠れた。

「雫!お兄ちゃん、本当に連れてきてるよ!」

私の笑顔は凍りついた。杏奈の指差す先を見ると、今朝まで私と愛を交わしていた裕斗が、別の女の子、沢村冷夏 (さわむら れいか)を抱きしめ、口づけを交わしている姿があった。

私にキスをした唇が、今、別の女の子を求めている。

まるで時間が止まってしまったかのように、私はただ呆然と目の前の光景を見つめるしかなかった。

無意識に握りしめたバッグの中で、レポートの角が皮膚に食い込み、私がピエロであることを突きつけるかのようだった。

反射的に踵を返して逃げ出そうとしたが、杏奈に腕を掴まれてしまった。

杏奈に引きずられるように前へ出た瞬間、キスを終えた裕斗と目が合った。

視線が交差した瞬間、彼の瞳に一瞬の後ろめたさがよぎったのを、私は見逃さなかった。

しかし、すぐに彼は冷たい視線を私たちに向けた。

「杏奈、今日はサンクスギビングデーだぞ。どうして勝手に人を連れてくるんだ」

昨夜、愛を囁き合ったばかりの男は、今やまるで赤の他人のように私を見つめている。

杏奈が私を庇う言葉を口にしても、裕斗の表情は冷たいままだ。

彼の目から、彼は心底私に立ち去ってほしいと願っていることが読み取れた。

私は拳を握りしめ、立ち去ろうとした。

その時、冷夏が、明るく口を開いた。

「裕斗、せっかくのサンクスギビングデーなんだから、一人で帰らせるのは可哀想よ」

裕斗は冷夏に優しく目を向け、頷いた。

「分かった。冷夏がいいなら、居てもいいよ」

裕斗の言葉は、私の耳に突き刺さり、激しい痛みを伴った。

私がここに留まることすら、冷夏の許可が必要だというのか。

杏奈は笑いながら騒ぎ立てた。

「やった!お兄ちゃん、彼女の言うこと聞くなんて、ラブラブじゃん!早く紹介してよ!」

裕斗は隣の女の子の頭を優しく撫でながら、私たちに言った。

「彼女は沢村冷夏。僕のガールフレンドだ」

そして、冷夏を抱き寄せたまま、私の方を向いた。

「こっちは妹の杏奈。そして、その隣は......」

私を紹介する時、裕斗の言葉は途切れた。

二人の視線が私に集まった。私は爪が食い込むほど手を握りしめ、涙をこらえた。

裕斗の冷淡な声がゆっくりと響いた。

「ああ、こっちは妹の友達で、うちでバイトしてる学生......まあ、お手伝いさんみたいなものさ」

私の心は完全に冷え切った。

二ヶ月の親密な関係も、結局のところ、私はただの「お手伝いさん」だった。キスも、添い寝も許されるが、決して公の場には出せない裏の存在。

胸の奥の苦しさを押し殺し、背筋を伸ばして、精一杯の笑顔を作った。

「沢村さん、不二さん、お似合いですよ。私は......お邪魔虫ですから」

杏奈が掴んでいた手を振り払い、私は背を向けて歩き出した。一歩踏み出すたびに、全身が震えているのが分かった。

ふと、今朝、裕斗が私に渡したランジェリーを思い出した。

大事な用事が終わったら、私に会いに来るから待っていろ、と。

だが、彼の大事な用事とは、本命の彼女を家族に紹介することだった。

結局、私は彼の本命の彼女との時間外に、空虚を埋めるための代用品であり、欲望を処理する道具、そして学業を肩代わりする代筆屋でしかなかった。
Expand
Next Chapter
Download

Latest chapter

More Chapters
No Comments
8 Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status