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女性であっても

作者: 結城慎二
last update publish date: 2026-07-03 18:00:42

「そんな怪物をなぜわざわざ退治に行く必要があるんだ?」

 サビーがあまり興味なさそうに訊ねてくる。

「さっき村長が説明した通りこの村に俺たちの拠点を作る」

 と、ジョーが説明を引き受けてくれた。

 そっちの方が説得力があるだろうと、僕は任せる。

「そうするとそのことを嗅ぎつけた野盗に襲われる可能性があるだろ? 村を守る戦いは避けられない。そこでみんながどれくらい強いか知っておきたいわけだ」

「自分の身は最低限自分で守れってことか?」

 と、ルダーが訊ねる。

「そういうことだ。俺たちの品物はサビーたちが守る。そこらの野盗なら十人二十人と束になっても負けないだろうが、彼らはあくまで俺の私兵だと思ってくれ。最終的には俺たちの品物を守ることが最優先だ」

「もちろん、村に野盗を入れないのが最善だから彼らが村のために戦わないってことじゃないよ」

 と、一応フォローする。

「ということで、スクリトゥリ退治でみんながどれくらい戦えるかみて、今後の対

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  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    「やっぱり」と「まじか」と「なんてこった」-後篇-

    「俺等興奮したね。魔法より科学の方があふれているなんてこんないい世界ないじゃない。ま、そのせいで魔法を軽視した発言が疎まれて左遷喰らっちゃったんだけどね」 はは……笑うしかない。「なら、僕の傘下に入るのは君の幸運だよチカマック」「なぜ?」「なにせ僕の前世は魔法のない科学技術だけの世界だったんだから」 ちょろい。  子供みたいに目をキラッキラさせて神を見るようなチカマックちょろすぎる。  さて、あまり長く二人で密談するのもよろしくないので、ここら辺りで話を切り上げてホルス車待機組を安心させなくちゃ。「その件はまた次の機会に話すとして、そろそろ心配しているだろう部下たちを安心させようじゃないか」「ああ、そうか……そうだね」 と、席を立って僕を案内する。  応接室を出ると食堂に案内して人を呼び、僕らは一団勢揃いで饗応を受ける。  食事の席にチカマックの家臣はサイとノサウスの他はメイドだけ。  いいのか?  結構な人数だぞこっち。  食事の席で互いの情報を交換していた際に話題に出たのがグリフ族の件だ。  やっぱり悩みの種なんだねぇ。「どうも最近族長が代替わりしたらしく、好戦的でテリトリーも拡張傾向にあるという報告が上がっています」 と、サイがいう。  通行が脅かされるのは戦略的にも困るよね。  それで死者なんか出るようになったら為政者としての責任問題にもなるし……。「交易はどうなっているのですか?」 ここら辺りはさすが元キャラバン組だね、サビー。  僕ら田舎もんはどうもそこら辺りがとんと疎い。「グリフ族のテリトリーは貴重な資源の産地で今も交易を行っていますが、どうも代替わりをしてからかんばしくありません」 そう答えたのはノサウス。  どうやら軍事面はサイが経済面はノサウスがチカマックノ右腕のようだ。  ん? どっちかは左腕?「グリフ族なんて追い払っちまうのはダメなんですか?」 

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    「やっぱり」と「まじか」と「なんてこった」-前篇-

     どちらも話したいことがあるけれど言い難いので互いに切り出しかねているという状況が続く応接室。  なんの我慢比べだよ。  ええい、主導権を握ったれ。「先ほどのあなたが代官と見破った件ですけどね」 うん、日和った。  本当はそんなことはどうでもいいっちゃどうでもよかったんだ、いまさら。  けど、核心に触れるのはなかなか度胸がいるんだよ。  ということで搦手で攻めつつ主導権をとるべく話し始める僕、なかなかやると思わない?「ほぅ、種明かしをしてくれるんですね?」 食いついてきた。  そりゃ、あの沈黙は居心地悪いよな。「最初に交渉主体として出てきた男が交渉の場だというのに自己紹介から始めなかったので、『おや?』っと思ったわけですよ」「そんなところから疑っていたんですか?」「ええ、まあ」 ヤバイ、ちょっとドヤ顔してる自覚がある。「そのあと前任の代官を様付けで呼んだでしょう?」「え? そんなことに引っ掛かったの?」 話し方が突然くだけたな。  まぁ、身バレしたときの言い方がこっちの方だったわけだし、これが地なんだろうけど。  そんじゃこっちも少しくだけてみせるか。「ま、他にも細かいところがいくつかあったんだけど、決定的なのは部屋に入ってきたときに僕の方を見て目を見張ったことかな?」「…………」 はい、黙っちゃいましたね。  マウントとれたかも。「いや、これはまた別件でしたかね?」「いや、たぶんその見立てがあった上での推理なんだろ? やれやれ……妖精連れなんて卑怯だよ。婚約者連れてくるより卑怯だ。しかも、そいつ転生者にしか見えないんだろ」 ビンゴ!「じゃあやっぱり」「ああ、あんたの推理通りだよ」 その後、互いの身の上話をした。  それによると、どうやらチカマックは地球人じゃないようだ。  誰もが魔法を使えた代わりに科学技術はほとんど

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     オグマリー区制圧の手筋にはこの町をできるだけ犠牲なく手に入れることが重要だった。  つまり乗っとく方がいいと踏んでくれたってことだ。  心の中のガッツポーズは出来る限り表に出さない努力をしつつクロージングに向かう。  けど、ここでがっついちゃうと足元を見られる。  慎重に、主導権を握って渡さない。  それも重要なことだ。  なにせ僕は単なる田舎もんで、相手はまがりなりにも行政官を務める身分の男なんだから。「勝ち筋と言いますか勝算はあると見て行動しています。当然ですけどね」 それを聞いてチカマックは目を閉じ鼻で笑う。  あ・なんか馬鹿にされた気分。「まぁ、いいでしょう。いくつかこちらの条件を飲んでもらいますよ」「出来る範囲で善処しましょう」 そりゃあそうだ。  ここからは実務交渉と見ていいかな?  その前にちゃんと確認しとかないと。「では、私の傘下に入っていただくということでよろしいですね」 と、笑顔を作る。  若干あくどい笑顔になっている自覚がある営業スマイルだ。「そうですね。それで結構です」 最初に代官役をやっていたサイは不服そうだけど、この交渉はかなり対等に近い形になってる。  「名を取ると矢面に立たなければいけないからそこは譲る」くらいのスタンスだ。  実権を奪われないように気をつけなきゃと思うくらいだよ。  まったく、神様も転生ボーナスに高い交渉力とか、しょーもないことでも称賛される謎カリスマ性とかくれてもいいのにさ。「細かい実務は明日改めて詰めるとして、少々あなたとサシで話したいことがあるのですが、いかがでしょう?」 うん、僕も確認したいことがある。「いいでしょう」「チカマック様」 サイが抗議の声を上げるがチカマックは無視を決め込み、ノサウスがサイを連れて早々に応接室を出ていく。  よくできた側近だ。「オギン、サラを頼む」 と、僕が言えばこちらもな

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    「いつまで茶番に付き合わせるつもりなのでしょう?」 僕に声をかけられた従者はイタズラのバレた子供のように笑う。「いやあ、バレちゃったか。どこで気付かれたんだろ?」 ちらりと振り返ったオギンは無表情を装っているがポーカーフェイスとは言い難い。  こちらの視線が居心地が悪かったんだろう。  どうやらこの茶番はオギンの黙認のもと行われた僕の品定めだったようだ。「名探偵よろしく得意げに推理を語るつもりはありませんよ。今日は交渉に来たのですから」「これは失礼。改めましてこの町の代官チカマック・エモンザー、先ほどまで応対に当たっていたのはこの町の防衛隊長サイ・カーク。ついでに隣にいるのは側近ノサウス・クレインバレーです。以後、お見知り置きを」「叛乱者の代表をしているジャン・ロイです。後ろに控えている女たちはご存知でしょうから省略しましょう。隣に座っているのは私の婚約者のサラです」「いやいやもう勘弁してください。それより美しい婚約者を連れてくるとは、独身の私に対する当て付けですか?」 サイと席を替わりながらそうやってマウントをとりにくるチカマック。  こればっかりは避けて通れないよな。  力関係のはっきりしている村との交渉とは違って、どっちが上になるかを賭けた交渉だ。「いやいや、意味もなく連れては来ませんよ。それより、交渉再開といきましょう。田舎もんの首魁と違ってそちらはお忙しいでしょうし」「一町三ヶ村の代官と三ヶ村の領主、それほど変わりませんよ。いや、今は四ヶ村の領主と一町二ヶ村の代官か……むしろあなたの方が忙しいのではありませんか?」 「はっはっは」と互いに笑いあったあと、ようやく本題に入る。「先代代官キンショー殿からの申し送り、確かにうかがってはおりますが……正直決めかねている。先ほどサイ・カークが言った通り、あなたは世間的には単なる田舎の叛逆者だ。たしかに二度の鎮圧軍を撃退したことで小さいながらも一勢力の地位を確保しているだろうが、だからといってこの一町三ヶ村という集落を代官であったキンショー殿があなたの支配下に譲り

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    町の代官との交渉03

    「なるほど、交渉する気はない、と」「そうは言ってない。だが、そなたらは我々にとっては叛逆者だ。キンショー様は何を思ってこの交渉を進める気になったのか、そなたらと手を組んでどんな得があると踏んだのか判らんのでな」 「様」?  いや、そこはとりあえず置いといて、僕はオギンを振り返る。  オギンは黙して目を閉じるだけ。  くぅ……。「では、まずこちらのことでご存知のことをお聞きしましょうか?」「三年前だったか? 最奥の寒村の分際で恐れ多くもズラカルト男爵様に反旗をひるがえし、奥の村を小賢しい策を弄して収奪、一昨年秋には第五中の村を急襲してこれもまた男爵様から奪った反逆者であろう」 ……間違っちゃないけど、なんか腹立つ言い方だな。「そうですね。オルバック軍どころか男爵軍も戦で退けた新興領主だと認識して欲しいところですが?」「なに?」「なにか?」 すごむ男にとぼけて見せると、さっき目を見張ってた若い従者がぷっと吹き出す。  男がむすっとした後で咳払いをすると真面目な顔を作って背筋を伸ばす。  それを見て今度はサラがクスッと笑うのでこちらも咳払いでごまかす。「いいだろう。確かに一寒村と侮って二度も戦に敗けているのば事実だ。しかし、調子に乗って領主を名乗るとはおこがましい」「いえいえ、第五中の村、今はセザン村と名を改めていますがその村を我が軍が接収した後、オルバック家は軍をおこせなかったと聞き及んでおります。キンショー様は村の叛乱一つ抑えられない領主など取り替えてしまった方が民のためだと、そうお考えになられて帰順の打診をされたのだと考えておりましたよ?」「む……」「ところで……」 短くうめく男を無視して、僕は後ろに控えている従者の目を見る。「いつまで茶番に付き合わせるつもりなのでしょう?」

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    さゔぁいぶ-後篇-

     村に戻った僕は村人の埋葬をする。  人の死には慣れている。  現世の僕が、だけど。  この世界は前世の世界と違って文明水準が高くない。  当然医療水準も高くない。  田舎だからってのはあるかもしれない。  大きな街はもしかしたらすごく発展しているのかもしれない。  魔法のある世界だから、当然治癒魔法もあるはずだ。  でもそれがどれくらいの効果があるかもわからない。  だからこの村はよく人が死んだ。  子供は特によく死んだ。  僕にも姉と妹がいたらしい。  妹の方はかす

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    さゔぁいぶ-前篇-

     僕は十五歳の朝を木の枝の上で迎えた。  この世界の元服、つまり成人の儀式が行われる日だ。  確かに一生忘れられない日にはなったけど……切ない。  あまりにも切ない。  秋とはいえ、昼頃になればそれなりに暖かくなる。  今日は天気もいいので昼頃にはむしろ汗ばむほどの陽気になった。  慎重にあたりの気配を確認しつつ、木から降り集落に戻ると、まだプスプスとくすぶっている焼け跡の中を歩く。  あたり一面、嫌な臭いが立ち込めているのは、村人の焼けた臭いだろう。  昨日から何も食べてないのに込み上げてくる胃液を吐き出し

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    泣ぬれるは枝の上

    「逃げたのはガキ一匹か」 と、僕の真下で傷だらけのごつい男が言っている。  こいつが盗賊団の頭目と見た。「へい、多分」「多分だと!?」「へ、へ……」 あたふたした下っ端が頭目にぶん殴られ、仰向けにぶっ倒れる。  気絶してろ!  盛大に気絶してろよ、でなきゃここにいることがバレる。  僕の祈りは天に通じたのか、そいつは白目をむいて動かない。「このさらに奥に行ったかもしれませんぜ」「ならいい」 頭目は、一言吐き捨てて踵

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    晩秋の枝の上で八方塞がり

     さて、ここからは前世の記憶をフル活用だ。  襲ってきたのは、十数人の盗賊団。村には女子供を含めて三十人ちょっと。ここは本当に農村の一集落だった。  ん? この世界は前世知識的にどれくらいの文明水準なんだ?  くそっ、ど田舎の未成年じゃ参照知識がなさすぎる。  異世界転生ものならそれなりの環境に生まれ直させろっての。  ──って言っても仕方ないわけで、そもそもテンプレの神様にあった記憶がない。  現世の記憶を手繰り寄せてもなろう系のお作法である知ってるゲーム世界的な場所でもなさそうだ。  あ、もっとも僕、

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