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6 3人からのプレゼント

Author: けいこ
last update Huling Na-update: 2025-08-06 17:11:47

「祥太君……。そんなに言ってもらえて、すごく嬉しいけど……本当にいろいろごめんね。私のせいですごく悩ませてるね」

誠実に言ってくれた言葉が、痛いほど胸に突き刺さった。

「俺のことばっかり言ってごめんね。いや、俺はもちろんだけど、文都も颯も結菜ちゃんのこと本気で好きなんだ。言わば、俺達はライバルってことだよね。しかも、かなり強力な」

祥太君は、ちょっと笑った。

「ライバル……」

「うん、ライバル。でも、アイツらは本当に良い奴だから。だから、3人で協力して結菜ちゃんを楽しませたいって思って。颯がアイディアを出してくれてさ。温泉旅行にしようって」

「そうだったんだね。本当に嬉しいよ。温泉なんて、久しぶりだし、子どもが遠足に行くのを楽しみにしてるみたいな気分でワクワクしちゃって」

恥ずかしいけれど、旅行を楽しみにしていることを思いのまま伝えたかった。

「ワクワクしてるのは結菜ちゃんだけじゃないよ。俺達3人はその何倍もワクワクしてる。だってさ、大好きな人と旅行に行けるんだから」

祥太君、本当にズルい。

そんなことを言って……すごくズルいよ。

私は、今、きっとものすごく顔が赤いだろう。

この歳になって、こんなにキュンキュンするなんて思ってもみなかった。

旦那との苦しい生活から考えれば、こんな瞬間が来るなんて想像もできなかった。

「ま、2人きりじゃないのは残念だけど」

「えっ」

そう言って、祥太君は席を立った。

「ねえ結菜ちゃん。嫌なことを全部忘れられるような旅行にしよう。楽しみにしてるから」

祥太君は、私をさらにキュンとさせて部屋に戻った。

3人とも、本当に素敵な青年だ。

私は、間違いなく、3人が好き――

祥太君も、文都君も、颯君も。

だけど、これは恋なのだろうか?

ドキドキしたり、不安になったり、泣いてしまったり、私は、今、たくさんの刺激の中で生きている。

こんなことは、人生で初めての経験だ。

とにかく、旅行を提案してくれたみんなに感謝して、今は「楽しむ」ことだけを考えたい。

せっかくもらった大切なプレゼントだから――
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