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第10話

作者: 花畑のベイベー
報告書をまとめ終えるころには、ラーメンもちょうど俺の前に運ばれてきた。

半分ほど食べたところで、瑠璃が笑いながら口を開いた。

「もうおなかいっぱい?」

俺は満腹になると、食べる速さがいつも目に見えて遅くなる。

人の気持ちがこもったものは、最後までちゃんと食べたい。たとえおなかがいっぱいでも、俺はゆっくり全部食べきろうとするのだ。

「おなかいっぱいなら、もう無理して食べなくていいよ。食べすぎると苦しくなるから」

俺は思わず笑ってしまった。

「瑠璃、俺の心でも読めるのか?なんでそこまでわかるんだよ」

「ははは、だってしょうがないでしょ。あなた、考えてることが全部顔に出るくらい単純だもん。知りたくなくてもわかっちゃうよ」

単純?

そんなふうに言われたのは初めてだった。

綾乃はいつだって、俺のことを損得勘定ばかりしている逆玉狙いだと思っていた。

もし本当に瑠璃の言うような人間なら、どうしてあれだけ長いあいだ、綾乃は一度も俺の気持ちを気遣ってくれなかったのだろう。

俺の顔色が少し曇ったのに気づいたのか、瑠璃は慌てて口を開いた。

「どうしたの?私、変なこと言った?」

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  • 元カノの愛は金まみれ   第12話

    「私は本気であなたを愛してたの。あなたが望むものなら、何だってあげられる……」それでも瑠璃はなお、俺の前に立ったまま、冷ややかな目で綾乃を見ていた。「神宮寺社長、あなたたちのことは私もある程度知ってる。悠斗を傷つけたくなくて、今まで口にはしなかったけど。本当に彼を愛していたなら、何かあるたびに彼のことを逆玉狙いだなんて疑ったりしない。たとえ誰かに何を吹き込まれていたとしても、あのオークションの時点ではっきりしてた。あなたは悠斗を本気で愛してなんかいない。私は悠斗に何かを贈るとき、見返りなんて求めたことがない。ただ、喜んでくれればそれでいい。どれだけお金がかかっても構わない。私が見たいのは、受け取った瞬間に彼が見せる、あの嬉しそうな顔だけだから。でも、あなたにはそれができない。あなたは何よりお金を優先してる。本当に好きな相手なら、いちばんいいものをあげたいって思うものよ。でもあなたは、そうじゃなかった」瑠璃の言葉は、一つひとつが容赦なく綾乃の胸に突き刺さっていった。そして俺が瑠璃の手をしっかり握っているのを見た瞬間、綾乃にもわかったのだろう。俺はもう二度と、彼女のもとへは戻らない。そして、二度と彼女を許すこともない。「綾乃、俺はもう君を愛してない。君のせいで、俺はたくさんのものを失った。母さんも、友達も、仕事も。俺はもう十分すぎるほど苦しんだ。少しでも悪いと思うなら、もう二度と俺の前に現れないでくれ。これからの俺の人生に、君の存在が少しでも差し込んでくると思うだけで、吐き気がする」そう言い切ると、俺は一度も振り返らず、そのまま瑠璃の手を引いて立ち去った。綾乃は、去っていく俺の背中をただ見つめていた。その目からは、抑えきれない涙が次々とこぼれ落ちていた。伸ばした手で俺をつかもうとしても、俺はどんどん遠ざかっていった。胸をえぐられるような痛みと、息が詰まるような苦しさが、一気に押し寄せた。「悠斗、ご、ごめん……」瑠璃は振り返り、崩れ落ちるように泣いている綾乃を見て、何とも言えない表情を浮かべた。しばらく瑠璃の手を引いて歩いていたが、今度は彼女のほうが俺の手を握り返し、そのまま先へ導いていった。「写真を撮ってあげるって、約束したでしょ」俺は不思議に思いながら、そのまま彼女につ

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  • 元カノの愛は金まみれ   第10話

    報告書をまとめ終えるころには、ラーメンもちょうど俺の前に運ばれてきた。半分ほど食べたところで、瑠璃が笑いながら口を開いた。「もうおなかいっぱい?」俺は満腹になると、食べる速さがいつも目に見えて遅くなる。人の気持ちがこもったものは、最後までちゃんと食べたい。たとえおなかがいっぱいでも、俺はゆっくり全部食べきろうとするのだ。「おなかいっぱいなら、もう無理して食べなくていいよ。食べすぎると苦しくなるから」俺は思わず笑ってしまった。「瑠璃、俺の心でも読めるのか?なんでそこまでわかるんだよ」「ははは、だってしょうがないでしょ。あなた、考えてることが全部顔に出るくらい単純だもん。知りたくなくてもわかっちゃうよ」単純?そんなふうに言われたのは初めてだった。綾乃はいつだって、俺のことを損得勘定ばかりしている逆玉狙いだと思っていた。もし本当に瑠璃の言うような人間なら、どうしてあれだけ長いあいだ、綾乃は一度も俺の気持ちを気遣ってくれなかったのだろう。俺の顔色が少し曇ったのに気づいたのか、瑠璃は慌てて口を開いた。「どうしたの?私、変なこと言った?」俺は笑って首を振り、いつもの顔に戻った。すると瑠璃は、背中の後ろから小さな箱を取り出した。「ほら、見て。気に入るかどうかわからないけど」俺も遠慮せず、そのまま受け取って開けた。中に入っていたのは、腕時計だった。「先月、ジュエリーの展示会に招待されて行ったんだけど、そのとき主催者から急にもらってね。なんとなくあなたに似合いそうだなって思って。はは……ずっと渡す機会がなくて。もし気に入らなかったら、その、どこか適当にしまっておいてくれればいいし、別に……」「気に入った」「え?」瑠璃は、俺の返事に目を丸くした。彼女はこれまでにも何度か俺に物をくれたことがあったが、俺はいつも礼儀として受け取るだけだった。これを好きだとはっきり口にしたのは、これが初めてだった。社交辞令じゃない。本当に嬉しかったのだ。ぽかんとした瑠璃の顔は、初めて会ったときと少しも変わらなかった。「だから、すごく気に入ったって言ったんだよ」さっきまでしどろもどろにごまかそうとしていた様子が、なんだか妙に可笑しかった。俺のことを単純でわかりやすいなんて言っていたくせに、瑠璃だ

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