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共に傷つく運命

共に傷つく運命

By:  拾安Completed
Language: Japanese
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結婚式まであと半月というとき、深津蒼介との間で激しい喧嘩が勃発した。 理由は単純だった。彼が恩師の娘との間に子供を作ろうとしていたのだ。 「試験管ベビーを作るだけだよ。何もないんだ。先生は重病で、珠里ちゃんの将来を心配しているだけなんだ」 深津は何でもないように言ったが、私は全身が凍りつくような気がした。 「私たち半月後に結婚するのよ。なのに他の女性と子供を作ろうとするなんて、おかしいと思わない?」 怒鳴って出て行く深津の背中を見つめながら、私はインスタに投稿した。 「半月後に結婚予定。新郎を変えたいんだけど、誰か興味ある?」

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Chapter 1

第1話

ソファに座って、そのインスタの投稿へのコメントを眺めていた。友達からは冗談めいた反応ばかりだった。

そうだろう。私が深津蒼介のことを、自分を失うほど愛していることを知らない人なんていない。

私と深津の結婚が間近に迫っているこのタイミングで、私が彼から離れるなんて、誰も信じないだろう。

三年間も追いかけてやっと手に入れた、自分では完璧だと思っていた結末。私は彼の彼女になり、二十七歳の誕生日にプロポーズまで受けた。

これまでの努力が報われる時が来たと思った矢先、深津は私の頭を殴りつけるような話を持ち出した。

他の女性との子作りだった。

私は寛容な人間ではない。でも、あまりにも卑屈な愛し方をしてきたせいで、深津は私のことを、婚約者を他の女に譲れるほど心が広いと思い込んでいたらしい。

ぼんやりとソファに座っていると、静寂を破る着信音が鳴り響いた。

何年も連絡を取っていなかった久我慎也からだった。

考えてみれば、私たち幼なじみと言ってもいい関係だった。子供の頃はいつも彼の後ろを付いて回り、「慎也の子分」なんて笑われていた。

久我は物静かな性格で、近寄り難い高嶺の花と言われていたけれど、私にはそんな印象はなかった。

確かに無口な彼だったけれど、私のどうでもいい話を、うんざりした様子も見せずに聞いてくれていた。

大学受験の後、彼は帝都大学へ、私は浜城へ進学した。

その後、私は深津蒼介と出会い、どうしようもなく恋に落ちた。彼を追いかけるあまり、何年も北都に帰らなくなってしまった。

だから今、久我から電話が来るなんて、予想外だった。

私が言葉を発する前に、久我の冷たさの中にある優しさを感じる声が、受話器を通して届いた。

「本当なのか?」

「何が?」

一瞬考え込んでから、久我が何を指しているのか分かった。壁に飾られた写真を見つめた。そこには私と深津が写った一枚の写真が、ポツンと掛かっていた。

「本当よ」

彼は軽く笑い、その声音には喜びが混じっているようだった。

「良ければ、僕を考えてみない?」

ベランダの閉まりきっていないドアの隙間から風が吹き込み、まだ掛けていなかった薄手のカーテンが舞い上がり、隅に置いてある極楽鳥花を覆った。

「いいわ。条件は?」

久我は弁護士だけど、久我家は代々実業家で、彼にもビジネスマンのような考え方が染みついている。何か企んでいないはずがない。

「明日、婚前契約書を送る」

やっぱり。損な商売はしない人なのよね。

「それと、瑠璃。僕のことを『旦那様』って登録し直してほしい」

思わず画面を見て登録名を確認した。確かに『久我慎也』のまま。彼、何か変な物でも食べたのかしら。こんな......

「北野瑠璃、これが新しい人生への第一歩だ」

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