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第3話

Penulis: 鈴木真知子
今日の雫は、純白の膝丈ワンピースを着ている。腰が細く、すらりと立つその姿は、まるで朝霧の中で咲く白百合のように、瑞々しかった。

「雫〜〜!」瞳真は大喜びで女性の懐に飛び込み、その腰にしっかりと抱きついた。

使用人たちはその光景を目に焼き付け、顔を見合わせた。

この人は、なんと大した方なのだろう。

社長がブリリアージュ潮見への出入りを黙認しているだけでなく、気難しい坊ちゃまも彼女にこんなに懐いている。まるで本当の母子のようだ。

ご存知の通り、坊ちゃまは普段、奥様には素っ気ないというのに。

奥様との関係が天敵同士なのに対し、雫とはまさに相思相愛といったところか。

雫は優しく瞳真の頭を撫でる。全身から母性のような輝きを放ち、左手首には瞳真が贈った水晶のブレスレットをつけ、蒼真に向かってにっこりと笑った。

「蒼真さん、お姉ちゃんに会いに来たの。家にいる?」

蒼真の眉が沈んだ。「昨夜、お前の姉は実家に泊まらなかったのか?」

「いいえ、どうして?お姉ちゃん、昨夜帰らなかったの?」

雫は驚きに満ちた表情で心配そうに尋ねた。「蒼真さん、お姉ちゃんと……喧嘩したの?」

男の表情に苛立ちが浮かんだ。「あいつが分をわきまえないだけだ」

雫は軽く笑った。「お姉ちゃんの性格は少し頑固だけど、喧嘩しても仲直りできるわ。蒼真さんが謝れば、お姉ちゃんはすぐ帰ってくるわよ」

蒼真は薄い唇の端を動かし、その声は冷たく温度がなかった。

「俺があいつに謝る?あいつにその資格があるのか?」

「そうだそうだ!ママが悪いくせに!訳が分からないことで帰ってこなくて、僕もパパも放ったらかし!謝るのはママの方だよ!」瞳真はむくれて同調した。

「氷室瞳真、もう学校に行く時間だ」蒼真は無表情に注意した。

「ぐっ……」

瞳真は雫にしがみついて離さず、甘えて懇願する。「ねえねえ雫、今日学校まで送ってくれない?だって僕、もっと雫と一緒にいたいの!」

雫は苦笑し、彼の小さな顔をつまんだ。「瞳真くん、この前ずっと一緒だったでしょ。昨日別れたばかりよ」

「僕、毎日雫と一緒にいたいもん。そうだ、雫が僕のママだったらいいのに!」

瞳真の無邪気な言葉に、周囲は唖然とした!

幸い、奥様はいらっしゃらない。もし聞いたら、どれほど悲しまれることか!

「まあ、そんなこと……」

雫は口では窘めながらも、長い睫毛を伏せ、恥じらいながら目の前の凛々しく美しい男を見た。

蒼真は淡々とした顔だった。子供の言葉など全く気にしていない。

「雫、それでは悪いが、瞳真を学校まで送ってくれないか」

雫は嬉しそうな色を浮かべ、従順に「はい」と答えた。

……

彩葉が起きた時は、すでに九時だった。

これは氷室家に嫁いで以来、初めて自然に目覚めるまで眠った、安らかな眠りだった。

過去五年間、彼女は毎朝六時に起きていた。蒼真のためにコーヒーを淹れ、スーツを合わせる。息子の洗顔の世話をし、朝食を食べさせ、さらに自ら幼稚園まで送る。最後になって慌てて出勤していた。

そのため、彼女はしばしば遅刻し、女性の上司に人前で叱責されることが数知れずあった。

最初は恥ずかしく辛かったが、次第に面の皮が厚くなり、どんなひどい言葉も柳に風と受け流し、ひたすら本職の仕事に専念した。

実は、蒼真が一言口添えすれば、氷室グループで誰一人として彼女に嫌がらせなどできなかったのに。

しかし蒼真は特別扱いが大嫌いで、常に実力主義、平等を主張していた。

だから氷室グループ全体で、秘書の颯以外、彼女が正真正銘の氷室社長夫人だと知る者は一人もいなかった。

本来、彩葉は蒼真が本当に公正無私な「聖人」だと思っていた。

だが、彼が堂々と雫をオークションやパーティに連れて行き、彩葉がずっと参加したかったAI知能サミットにまで連れて行き、さらに数日前の公演……

彩葉は次第に目が覚めた。

あの男は、現代の「公正無私な聖人」などではなく、底の底まで腐った「底なしの女好き」だと。

妻は、彼にとってただの長期契約の娼婦兼、家政婦だ。雫こそが、彼が何度も規則と一線を破ることができる、その特別な人なのだ。

彩葉は洗顔を済ませ、食卓に座って朝食を食べようとしたが、なぜか心が落ち着かなかった。

その時、携帯の着信音が突然鳴った。瞳真の担任からだ。

彩葉はしばらく躊躇した後、電話に出た。「もしもし、高橋先生」

「お母様、瞳真くんが喘息発作を起こしました!学校ですでに救急車を呼んで最寄りの病院に搬送する準備をしています。急いでお子さんの看病に来てください!」

やはり母子は心で繋がっている。彩葉は食事も顧みず、立ち上がってドアへ向かって駆け出した。

……

「瞳真!」

彩葉が息を切らし、全身汗だくになり、焦燥に駆られて病室に飛び込んだ時、目の前の光景が彼女の心臓を激しく刺した。

息子の小さな顔は真っ白で、虚弱そうに病床に座っている。涙で顔をぐしゃぐしゃにした雫に、しっかりと抱かれていた。

夫の蒼真が、長身を傍らに立たせ、深い眼差しを向けている。

彼らを精一杯守っている姿だった。

「雫、もう泣かないで……僕のこと心配してくれてるの、分かるよ」

瞳真は発作が落ち着いたばかりで、呼吸もまだ苦しそうだったが、それでも雫を慰めた。「ほら、僕、こうして元気じゃない……」

雫は泣き崩れた。「瞳真くん……怖かったわ!あなたに何かあったら、私は……」

瞳真は目を赤くし、小さな手を上げて女性の涙を拭った。だが、恨みがましい目で、自分の母親を睨んだ。

彩葉は全身が凍りつき、氷の穴に落ちたようだった。細い両脚がズボンの中で震える。

彼女は流産したばかりで、しかも来る時に急ぎすぎ、階段で転んでいた。今も膝から血が流れている。

この子がどれほど冷淡でも、結局は自分の血肉だ。すぐには割り切れない。

しかし息子が今、自分を見る目には、どこに親子の情の欠片があろうか。明らかに仇敵を見るようだった。

「氷室彩葉……母親として、そんな無責任な真似をするのか?」

蒼真は大股で彼女の前に歩み寄り、厳しく詰問した。

彩葉は男の怒気を秘めた目を受け止め、静かに尋ねた。

「私が何をしたの?」

「何をした?よくそんなことが聞けるな!」

蒼真は高い位置から彼女を見下ろし、その語気は寒々しく、裁きのようだった。

「お前の生家、お前のキャリア、めちゃくちゃだ。俺は一度もお前に何も要求したことはない。

なのにお前はなぜ、一番基本的な子供の世話さえできないんだ!理不尽に騒ぎ、夜も帰らず……お前は本当に瞳真を愛しているのか?

もうがっかりなんだ!」

雫は対峙する夫婦二人を見て、瞳の奥に一筋の冷たい光が走った。

「丸五年、私は全身全霊を家庭に捧げ、個人的な付き合いは一切なかった。毎日家と会社の二点を往復し、残業以外、一度も夜遅く帰ったことはない」

彩葉の瞳は冷たく、一語一語鋭く反論した。「昨夜、私が帰らなかったことが、何だというの?何か法でも犯した?それとも私は保釈中の犯罪者で、毎日あなたに居場所を報告しなければならない義務でもあるの?」

瞳真は呆然と、普段おどおどしている母親を見つめた。

雫も、彩葉が突然反撃したことに驚いた。

空気が一気に凍りついた。

蒼真の剛毅な顔の輪郭が強張り、深い瞳に怒りの色が浮かんだ。

次いで、彼は薄い唇を冷たく持ち上げ、嘲りを込めた。

この無口で不器用で、情緒のない女が、反抗するだと?

子供を盾に増長したか?ますます野放図になった。

「瞳真はなぜ突然喘息を起こしたの?食べてはいけないものを食べたの?」

彩葉は蒼真との口論に疲れ、本題に切り替えた。

蒼真の表情は傲慢で、仕事のできない部下に話すようだった。「知るか。それはお前が一番わかるはずだ。母親としてのお前の失職だ!」

彩葉は笑い出した。どうしてこんなに無神経に言うのか。

「私が一人で瞳真を産んだとでも言うの?母親がいないなら、父親のあなたは一切管理しないの?氷室瞳真はあなたの息子じゃないとでも言うの?」

蒼真は唖然とした。

「どの法律が、子供は母親だけが育てると規定してるの?私が多めに担当したら、私がやること全てが、あなたたちにとって当然のことになるの?」

蒼真の顔色が雪のように冷たく沈んだ。「……氷室彩葉!」

その時、病室のドアが押し開かれた。
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