Share

冷酷夫、離婚宣言で愛を暴走
冷酷夫、離婚宣言で愛を暴走
Penulis: 小円満

第1話

Penulis: 小円満
今夜は、私――結城昭乃(ゆうき あきの)と夫・黒澤時生(くろさわ ときお)の、月に一度の夫婦の夜だった。

思わず、小さく声が漏れた。

けれど、時生の冷たい瞳には、もう何の温もりも宿っていない。

「昭乃、ルールを破ったな」

そう言うと、彼はあっさりと身を引き、バスローブを羽織って浴室へ向かった。

ベッドに取り残された私は、恥ずかしさと悔しさで目を閉じた。

すべてが変わったのは三年前、最初の子どもを亡くしてからだった。

そのとき時生は「子どもへの供養だ」と言い訳し、別荘に仏間を作り、香を絶やさず仏を祀るようになった。

彼の言い分はこうだ。信心深い者は欲に流されてはいけない。夫婦の営みは月に一度だけ。みだらな声を出すことも許されない、と。

私はまだ二十五歳。欲は人並みにあったが、逆らうことはできなかった。

……

深夜、時生は静かに家を出て行った。

ほどなくして親友・桜井紗奈(さくらい さな)から電話が入った。

切羽詰まった声だった。

「昭乃!今すぐトレンド見て!優子の『パトロン』って……あれ、時生に見えるんだけど!」

慌てて画面を開いた瞬間、頭が真っ白になった。

――【衝撃!人気女優・優子、パトロン依存で出世疑惑!パトロンの正体は現在調査中!】

載っていたのは、ぼやけた後ろ姿の写真一枚。

でも私にはすぐにわかった。あれは夫の時生だ。

右手には、いつも身につけている数珠。その手が、津賀優子(つが ゆうこ)の腰を抱き、二人はホテルへ入っていくところだった。

そのとき、匿名メールが二通届いた。

添付されていた高画質の写真が次々と目に飛び込んできた。

最初の写真では、時生が片膝をつき、小さな女の子を抱きしめている。ふんわりしたドレス姿のその子は、首に腕を回し、彼の頬にキスをしていた。

次の写真では、優子が彼の肩のほこりを払おうと手を伸ばしているところだ。時生は、私にするように冷たく払いのけることもなく、口元を少し緩めて受け入れていた。

……

何十枚もの写真を見て、ようやく悟った。

三年間、彼が冷たかった理由は信仰なんかじゃない。

――不倫していたのだ。

爪が手のひらに食い込むほど拳を握りしめ、深呼吸を繰り返しながら二通目のメールを開いた。

そこにはただ一行。

【奥様、世間に公表しますか?それとも二億円で買い取りますか?】

私は迷わず返信した。【二億円で買い取ります】

口座にある全財産を投げ打って、夫と愛人を破滅に追い込める証拠を買った。

皮肉なことに、その金は結婚のときに時生から渡された結納金だった。

まさか今、それが夫の裏切りの証拠を買い取るために消えていくとは。

私は何度も写真の中の女の子を見つめた。

もし私たちの子が生きていたら、今ごろ同じくらいだっただろう。

けれど私の子は灰となり、小さな箱に収められてしまった。

あのときの私は、生きる気力をすべて失っていた。そんな私に返ってきたのは、彼の「子どもならまたできるさ」という軽い一言だけだった。

しかし、今はもうわかっている。二度と叶わない望みだということを。

写真を買い取った私は、紗奈に電話をかけた。「知り合いの弁護士いる?離婚したいの」

――汚れた男なんて、もう要らない。

紗奈が紹介してくれた弁護士が、後日、離婚協議書を作ってくれた。

ただ、時生の資産が不明なため、財産分与の欄は空白のままだった。

「とりあえず協議書だけ送って。財産のことは、私が時生と直接話すから」

写真は二億円で買ったにすぎない。けれど黒澤グループの社長の肩書きと名誉は、その何倍もの価値があるのだ。

証拠を握っている限り、財産分与は私の思い通りにできるはずだ。

私は印刷した離婚協議書を茶の間のテーブルに置き、時生に電話をかけた。

聞こえて来たのは、女の声だった。

「昭乃さん?どうしたんですか?時生は今、子どもをあやしてるんです」

やわらかく気遣うような声。だがそれは、耳に突き刺さる針のようだった。

――優子は私の存在を知っている。

私は予想した。時生が独身を装って、彼女をだましているのかもしれないと。

けれど違った。彼女はすべて承知のうえで、私を踏みにじっていたのだ。

感情を抑え、冷たく言った。

「時生に代わって」

「ごめんなさい、子どもが彼から離れたがらなくて。今は無理なんです。用件なら私から伝えますね」

相変わらず、やわらかな口調。

直後、電話越しに幼い声が聞こえた。「パパ、明日の朝も会える?パパ、いつも急にいなくなるから」

時生は優しくあやすように答えた。「もちろんだよ。明日の朝も必ずそばにいるからね」

胸が強く締めつけられる。こんな優しい声を、最後に聞いたのはいつだっただろう。

「ご用件は何ですか?なければ切りますね。もう遅い時間ですから」

優子の丁寧な声の奥には、確かに棘があった。

私は言い放った。「あるわ。彼に今すぐ帰って、離婚協議書にサインするよう伝えて!」

Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi

Bab terbaru

  • 冷酷夫、離婚宣言で愛を暴走   第682話

    紗奈はそれを聞くと、ぱっと目を輝かせた。「高司さんに相談しようよ!前にあなたが南洋国に売られたときだって、あんなに複雑な状況から無事に助け出してくれたんだよ?それに比べたら、詩恩を一人探すくらいどうってことないでしょ!絶対に何とかしてくれるって!」今回は、私も迷わず頷いた。ただ不安を抱えながら「助け」を待つより、自分から動いたほうがいい。私はスマホを取り出し、すぐに高司へ電話をかけた。しばらく呼び出し音が鳴ってから、ようやく電話がつながった。「もしもし」低くて穏やかな声が耳に届いた瞬間、張り詰めていた気持ちが少しだけ緩んだ。私も自然と声を落とし、今日ショッピングモールで詩恩を見かけたことを、最初から最後まで話した。電話の向こうでしばらく沈黙したあと、高司が静かに口を開いた。「分かった。こっちでも調べてみる」少し間を置いて、さらに優しい声で続けた。「安心して、俺からの連絡を待ってて。たとえ今すぐ詩恩を見つけられなくても、君が心配しているようなことは絶対に起こさせない。昭乃、俺はいつだって君の味方だから」高司は普段、愛情を言葉にして伝えるような人じゃない。それでも、今の言葉だけで胸がいっぱいになって、鼻の奥がつんとした。私は強く「うん」と返した。「分かってる。私もちゃんと自分のことは気をつけるから。あなたも……無理しないでね」電話を切ったあとも、手のひらにはまだスマホの温もりが残っていた。胸の奥に引っかかっていた不安が、ようやく半分ほど消えていった。……一方その頃。銀色のベントレー・コンチネンタルの車内で、高司は無意識にスマホを握る手に力を込め、隣に座る女性へ目を向けていた。詩恩は、さっきの恐怖からまだ完全には抜け出せずにいた。つい先ほど、自分のあとをつけている人間がいることに気づいたのだ。それが時生側の人間なのか、それとも晴人側の人間なのか、彼女には分からなかった。もし、ちょうどこの場所で客と会っていた高司に出会えていなかったら、自分が今どうなっていたのか分からない。詩恩は険しい顔でバックミラーを確認した。幸い、そこにはもうさっきの尾行者の姿はなかった。「高司さん、今日は本当にありがとうございました」ほっと息を吐き、体を横に向けてドアを開けようとする。「待って」

  • 冷酷夫、離婚宣言で愛を暴走   第681話

    時生が店を出てから、私と紗奈もすぐに後を追った。足早に歩きながら、私たちも詩恩の行方を探そうとしていた。私の頭の中には、ずっと同じことが浮かんでいた。時生の忘れられない女、詩恩は本当に戻ってきた。今回、時生に姿を見られたのも、決して偶然じゃない。おそらく、わざと姿を見せたのだ。もし時生が本当に詩恩と一緒になったら、私とあんな馬鹿げた結婚式を挙げるはずがない。時生と詩恩がどこへ行ったのか知るために、私たちも監視カメラを確認することにした。紗奈はこのショッピングモールのVIP会員だったから、一本電話をかけると、すぐに責任者と連絡がついた。ところが、監視カメラの担当者から「今日の映像はハッキングされて、全部消えてしまった」と聞いた瞬間、足元から背筋を這い上がるような寒気を感じ、全身が一気に冷えた。これで何度目だろう?詩恩が絡むたびに、重要な手がかりが決まって何かしらの理由で消えてしまう。まるで、見えない誰かが裏で一連の出来事を操っているみたいだ。紗奈も、以前私が話したことを思い出したらしい。途端に焦ったように声を張り上げ、問い詰めた。「じゃあ、時生は今どこにいるの?まさか、あいつまで突然消えたわけじゃないよね!」担当者は少し言葉に詰まり、確信のなさそうな口調で答えた。「時生社長は……もうショッピングモールを出られたようです。十分ちょっと前に出ていかれました」私たちは監視室を出た。結局何の手がかりも得られなかった。紗奈は悔しそうに舌打ちして、吐き捨てるように言った。「ほんっと最低。何かあるたびに、あなたを一人置いていくんだから。昔もそうだったし、今だってそう!いつも何かあれば、置いていかれるのはあなたなんだから!」紗奈はずっと、私と時生がこの結婚式を挙げることには反対していた。それでも、この数年間、私と時生の間で繰り返されてきた苦しさも、私がどれだけ傷ついてきたかも、ずっとそばで見てきた。だから彼女が怒っているのは、ただ私が何度も無視され、置き去りにされてきたことが、悔しくてたまらないからだった。そんなふうに私の代わりに怒ってくれる紗奈を見ていると、胸の奥に苦しさと温かさが入り混じった。私は逆に彼女をなだめるように言った。「もう怒らないで。私はむしろ、いいことだと思ってる。時生が詩恩を見つけ

  • 冷酷夫、離婚宣言で愛を暴走   第680話

    優子は指先を手のひらに食い込ませながらも、平静を装っていた。時生が何度も電話をかけ、助手に指示を出したり、探偵を雇ったり、さらには警察にも人脈を使って連絡を取ったりするのを、ただ見ているしかなかった。怒りと恐怖が入り混じり、胸の中は煮え立つようにざわついていた。時生が書斎に戻ると、優子も自分の部屋へ戻り、ドアと窓を閉め切ってから電話をかけた。景也は、優子からの電話に大喜び、電話に出るなり嬉しそうに言った。「優子、やっと連絡してくれたな。今日は会えるか?」「あなたに頼みたいことがあるの」優子は声を抑えたが、それでも震えが隠せなかった。「詩恩が戻ってきたの。時生に見つかる前に、何としても先に見つけて。できれば……誰かに頼んで、誰にも知られないように始末してほしい」景也は一瞬、言葉に詰まった。それから尋ねた。「なんで戻ってきたんだ?前に、もう二度と戻ってこないって言ってただろ?」優子は苛立ちを押し殺すように言った。「私にも分からない。でも、今は潮見市にいるだけじゃなくて、時生の前にまで現れたの。わざとやってるのかどうかも分からないけど……たぶん、わざとよ。あのとき、彼女は私とお母さんがしたことを全部知ってた。もし時生に見つかったら、私は終わりよ!」景也は迷った。詩恩は自分には何の関係もない女だ。そんな女を探すために、時間も労力も使いたくはなかった。「優子、詩恩が時生のところに戻ってきたなら、それでいいんじゃないか?そうすれば昭乃も時生に付きまとわれなくて済むし、君も自由になれる。そのときになれば、俺たちも堂々と一緒にいられるだろ」それを聞いた優子は、歯を食いしばって言った。「景也、昭乃のせいで私がこんな目に遭ってるのに、まだ昭乃のことを心配するの?私たちの計画を忘れたの?私は今もまだ、時生のパソコンに入っている情報を手に入れられてないのよ。あの客たちの好みも秘密も、全部時生のパソコンに入ってる。それさえあなたが手に入れれば、結城家をもっと大きくしていけると思わない?」景也は理性と感情の間で、何度も心を引き裂かれるような思いをしていた。理性は告げていた。時生がこれほど多くの情報を握り、国内でも最大手クラスの取引先をいくつもほぼ独占できているのは、相手の弱みや秘密を押さえているからだ。それこそが、時生が黒澤グループを

  • 冷酷夫、離婚宣言で愛を暴走   第679話

    かつて、詩恩は本当に優子たちを大切な家族だと思っていた。時生の前でも、優子はしっかりしている、雅代は優しい人だと、何度も褒めていた。当時、雅代が詩恩を実の娘のように育てていたのは、忠平がごく普通の家庭の出身で、何の後ろ盾もない人間だと分かっていたからだ。詩恩を一人前に育て上げたあと、津賀家より何段も格上の名家に嫁がせ、その家とのつながりを得ようと考えていたのだ。雅代はよく分かっていた。身分違いの家に嫁げば、肩身の狭い思いをすることになる。だからこそ、実の娘をそんな家に嫁がせるのは惜しくて、優子には好き勝手に生きさせ、やりたいことを何でもさせていた。その一方で、詩恩には名家の令嬢として生きられるよう、雅代なりに「手をかけて」育てていた。忠平が昭乃の母親と別れた当時、詩恩はまだ何も分からない年頃だった。物心ついた頃から、雅代を実の母親だと思っていた。詩恩が大学に通っていた頃、雅代はある名家に目をつけた。その家の、四十歳で妻を亡くしたばかりの男に詩恩を嫁がせようと考えた。ところが、その話を切り出すより先に、詩恩は恋人ができたことを告げた。心から愛してくれる人に出会ったのだという。相手は潮見市の黒澤家で、誰もが知る名家だった。そこから先は、もう雅代の思い通りにはならなかった。そして、詩恩が精神病院に入院して三年目を迎えた頃、雅代と優子はついに本性を現した。そして、二人は詩恩に、時生が彼女にしてきたこともすべて話した。そのときになって初めて、詩恩は知ったのだ。自分が時生にここまでひどく騙されていたことを。時生は自分の病気を治そうとしていたわけではない。ただの「軟禁」にすぎなかった。もはや異常なほどの独占欲に支配された行為だった。……時生は、涙で顔を濡らした優子を見つめた。そして、以前、詩恩がこの母娘の話をするときの穏やかな口調を思い出した。胸の奥にあった疑念が、少しずつ揺らいでいく。詩恩は何度も言っていた。優子と雅代は、自分にとって何より大切な人たちだ、と。時生はゆっくりと手を離した。優子はよろめきながら二歩後ずさり、手首を押さえて、声を殺して泣いた。一方の時生は、魂が抜け落ちたようにぼんやりと宙を見つめ、呆然と呟いた。「もしかして……本当に、俺が見間違えていたのか?いや、そんなはずは……」次の瞬間、

  • 冷酷夫、離婚宣言で愛を暴走   第678話

    自分が気に入らないからと、優子は一言一言、淑江の心をえぐるようなことばかり言っていた。淑江は怒りで震えながらも、必死に堪え、ひと言も言い返せなかった。そのとき、家の中に時生が駆け込んできた。ついさっきまで、自分には人を操る手腕があると得意げに話していた優子は、次の瞬間、時生にいきなり腕をつかまれ、引き起こされた。突然強い力で引っ張られた優子はよろめき、全身を震わせた。声までかすかに震えている。「と、時生?どうしたの……?もしかして……私、何か間違ったことした?」さっきまで淑江を嘲っていたときの得意げな表情が、今は跡形もなく消え、そこに残っているのはただの動揺だった。時生は優子の手首をきつくつかみ、力が入りすぎて指の関節が白くなるほど強く引き寄せた。激しく上下する胸。目はショッピングモールにいたときよりも赤く充血している。時生は優子をまっすぐ睨みつけ、一言一言、噛みしめるように問い詰めた。「詩恩が死んだっていうのは、本当なんだな?」その瞬間、優子の頭の中で何かが弾けたような気がした。心臓が喉元まで跳ね上がりそうになる。どうして?どうして時生が突然そんなことを聞くの?まさか、何か気づいたの?胸の中で荒れ狂う動揺を必死に押し殺し、指先を掌に食い込ませながら、優子は戸惑いと悲しみに満ちた表情を作った。声もかすかに震わせる。「時生、何を言ってるの……?お姉ちゃんは……もうずっと前に亡くなったじゃない。当時、私とお母さんが自分たちでお姉ちゃんを葬儀場まで送り届けたんだよ。間違えるはずないでしょ?」「嘘をつくな!」時生が突然、低く怒鳴った。その瞬間、周囲の空気まで凍りつくような圧が広がった。興奮でこめかみに青筋を浮かべ、優子の手首をつかむ力もさらに強くなる。今にも骨が砕けそうなほどだ。「今日、詩恩を見た!この目で見たんだ!ショッピングモールで、あいつの横顔を見た。エレベーターに入っていくところも見た。絶対に見間違いじゃない!」時生はもう感情を抑えきれなくなっていた。胸の中で渦巻く驚き、喜び、疑念、怒り……それらが入り混じり、今にも彼自身を飲み込もうとしている。優子は怒鳴られて、びくっと身を縮めた。必死に動揺を隠し、時生に少しでも不審に思われないように振る舞う。もちろん、優子は詩恩が生きていることを知っていた。ずっと前

  • 冷酷夫、離婚宣言で愛を暴走   第677話

    黒澤グループを離れてしまえば、自分はもう黒澤グループの主要事業に関わることはできない。ましてや、正徳と晴人を追い出すなんて、到底できるはずもない。時生は、状況に応じて身を低くすることの大切さを、昔からよく分かっていた。昭乃のことを除けば、何もかも捨ててでも徹底的にやり合うような真似はしない。そして今も、理性が彼の足を止めた。時生は父親を冷たく見ながら言った。「何をすればいいんだ?」「弟に謝れ!」正徳は容赦なく叱りつけた。「あのろくでもない女に育てられたせいで、こんな情けない人間になったんだ!まだ俺が生きているうちから、弟にこんな態度を取るとはな。俺が死んだあと、君みたいな親不孝者が弟に何をするか、分かったもんじゃない!」時生は腹の底から湧き上がる怒りをこらえながら言った。「分かった。謝る。それでいいだろ?」「その態度が謝っている人間の態度か?」正徳は険しい顔で言った。そのとき、晴人のスマホが一度光った。晴人は画面に表示されたメッセージをちらりと確認すると、母親に目配せした。それを見た明音がすぐに正徳の腕に手を添え、なだめるように言った。「正徳、もういいじゃない。時生も、ここ最近いろいろあって、頭が冷静に働いてないだけよ。晴人だって気にしてないわ。兄弟なんだから、いくら揉めたって、さっきあなたが言ったようなことになるわけじゃないでしょ」明音に優しくなだめられ、正徳の怒りもかなり収まった。それでも、吐き捨てるように言った。「ろくでもない奴だ。毎日のように黒澤グループを騒ぎの渦中に巻き込んで、一流企業の社長ともあろうものが、自分の結婚までネットでベラベラ話すとはな。恥さらしもいいところだ!」そう言い残すと、正徳は明音を連れてその場を去っていく。晴人は時生に、勝ち誇ったような目を向けると、両親の後を追って出ていった。普段の時生なら、正徳からこんなふうに一方的に責められて、黙っているはずがない。だが今日は、それよりも優先すべきことがあった。だから時生は、すぐに監視室へ向かって走り出した。その頃、ショッピングモールの監視室では、技術スタッフがパソコンに向かい、何かのコードを入力していた。時生は勢いよく中へ入ると、すぐに命じた。「今すぐ、二十分前の3号エレベーターの監視映像を出してくれ!」技術スタッフは驚

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status