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第1145話

Auteur: 木真知子
騎手は思いもよらぬ扱いに戸惑いながらも、勢いよく頷き、真剣な表情で周囲を見渡した。

「私はLグループの騎手です。うちの馬は馬小屋に入ると、KSグループの馬のちょうど向かい側に配置されます。

そして……うちの社長には少し変わった趣味がありまして。馬の視点から日常を観察するのが好きなんです」

ざわ……と場が揺れた。

「そのため、社長はすべての競走馬の頭に装着する覆いに、小型カメラを付けていまして。

特に今日は大きなイベントですから、愛馬に万が一のことがあっては困ると、いつもより高画質のものに交換していました。周囲の様子が広く撮れるタイプです」

説明が終わると、場にいた全員が呆気にとられた。

桜子でさえ、思わず口を半開きにした。車にドライブレコーダーを付けるのは知ってるけど……馬に『走行レコーダー』付ける人、本当にいるの?

彼女の心の中で、未知の人物――そのLグループの社長が、突如「会ってみたい人リスト」に入り込んだ。才気がすごすぎる。

一方、仲田は打ちのめされたように肩を震わせ、耳鳴りまでしていた。

これまでどれだけ危険を渡り歩いても足元をすくわれたことはなかったのに……まさか『馬』に負けるとは。

「仲田。うち高城家とあなたの間には、何の因縁もない。そもそも、今回のレース以前、私はあなたと一度も関わったことがなかった」

桜子の目がふっと陰る。

「あなたも分かってるでしょう。罪は隠すより、正直に話した方が軽くなるものよ。今、私は生きてる。でももし私の腕前が未熟だったら?もし啸雲が踏ん張れなかったら……私はきっと空中に投げ出されて、間違いなく死んでいたわ」

淡々とした声が、かえって冷たく突き刺さる。

「その場合、あなたの罪は『殺人』よ。今は『殺人未遂』。それに他人の財産を故意に破壊した罪、動物虐待……全部合わせれば、どんな判決になるか想像できるでしょう」

仲田の背中が汗でびっしょり濡れ、口元が痙攣する。

「だから、あなた自身のためにも言いなさい。誰に指示されたのか。主犯の名前さえ言えば――KSグループは検察に減刑を申請してあげるわ」

桜子の冷静な声は、まるで逃げ場を与えるようでいて、一歩も退けなくさせる。交渉をさせたら桜子様の右に出る者はいない。

昭子は必死に表情を取り繕っていたが、スカートの下の膝はガクガク震えていた。胸の奥で心臓が破
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