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護衛

last update publish date: 2026-08-27 05:12:19

 朝を迎え、マルクエンとラミッタが起き出す。

 ラミッタは隣にスフィン将軍が居ないことに気付き、しまったと思った。

「おはようございますスフィン将軍! 申し訳ありません、将軍より遅くに起きるとは……」

「いや、良いんだラミッタ」

 怒ってはいない様子なので、ホッとしたラミッタ。続けてマルクエンもテントから出てくる。

「おはようございます」

「敵が起きているというのにイーヌの兵は随分と不用心なのだな」

「いや、まぁ、ははは……」

 相変わらずマルクエンに対してはあたりの強いスフィンだ。

「おや、おはようございます。飯出来ているんで食べましょうや!」

 マッサに言われ、食事を済まし、馬車を走らせ試練の塔へと向かう。

「この調子なら明日の朝には着くとおもいますぜー」

 荷台に座るスフィンは「あぁ」と短く返し、揺られていた。

「あそこに見えるのが試練の塔

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  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   護衛

     朝を迎え、マルクエンとラミッタが起き出す。 ラミッタは隣にスフィン将軍が居ないことに気付き、しまったと思った。「おはようございますスフィン将軍! 申し訳ありません、将軍より遅くに起きるとは……」「いや、良いんだラミッタ」 怒ってはいない様子なので、ホッとしたラミッタ。続けてマルクエンもテントから出てくる。「おはようございます」「敵が起きているというのにイーヌの兵は随分と不用心なのだな」「いや、まぁ、ははは……」 相変わらずマルクエンに対してはあたりの強いスフィンだ。「おや、おはようございます。飯出来ているんで食べましょうや!」 マッサに言われ、食事を済まし、馬車を走らせ試練の塔へと向かう。「この調子なら明日の朝には着くとおもいますぜー」 荷台に座るスフィンは「あぁ」と短く返し、揺られていた。「あそこに見えるのが試練の塔ですぜー。思ったより早く着きましたなー」「あれが……」 遠くに高くそびえ立つ建造物が見え、スフィンがジッと目を凝らしていた。 そんな時だった。「っ……!! 魔人の気配!!」 ラミッタが突然大きな声で言う。スフィンも膨大な魔力の気配を感じ取っていた。「こりゃ、まずいかもなー」 口調とは裏腹にマッサは真剣な眼差しで空を見る。 遠くからこちらへ飛んでくる影があった。「はぁーい、元気してた?」 奇術師の魔人。ミネスがやってきて、拡声魔法を使って話しかけてくる。「残念ながら元気よ、どこかへ行ってもらえるとありがたいのだけど」 ラミッタがそう返すと、やれやれといったポーズをし、ミネスは話し続けた。「そっちの金髪のおねーさん。ちょっと殺させて貰えないかなー?」 ミネスは自分の事かと剣を引き抜いて構える。「やれ

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   いざ、旅立ち

    「まぁいいや。旅の準備だ!! それに仲良くしましょうや!!」 マッサが笑いながら言い。皆を見た。「それじゃ、俺はギルドで馬車の手配と、他に手続きを済ませてきますわー。皆さんは各自必要なものを買っておいて下さいな」「必要なものか」 スフィンはうーんと考えてみる。「小さな街ですが、旅人用に旅の道具の品揃えは良いのでね!」「よし、分かった。行くぞラミッタ」「え? あっ、えぇ、はい!」 いつも買い物はマルクエンと一緒だったので、一瞬ポカンとしたラミッタ。「まさか、私よりもイーヌの騎士と買い物がしたいと?」「め、滅相もありません!! こんなド変態卑猥野郎なんて知りません!」 しょんぼりマルクエンは余計にしょんぼりとしていた。 買い物も終わり、マルクエンとスフィン達はギルドの前に集まる。「いやー、お待たせしました。それじゃ行きましょうか!」 扉を開けて出てきたマッサはニコニコ笑って言った。 マッサの後を付いて街を出る三人。「そういや、マルクエン様とラミッタ様に聞きたかったんですが、試練の塔とはどんな場所だったんですかい?」 その質問に答える前に、かねてから思っていた事をマルクエンは告げた。「そのー。様付けで呼ばなくても大丈夫ですよ。これから一緒に旅をするのですし」「だけど、流石に呼び捨てって訳にもいかねーしなー。マルクエンさんとラミッタさんって呼ばせてもらうぜ!」「そうですね、それで良いです」 勇者と距離が近くなった気がして、マッサも上機嫌だ。「それで、試練の塔っすよ! どんな所なんですかい?」「どんな所かと言っても……。本当に不思議な所でした。無限に続く階段に動く石像。塔の中なのに大自然が広がったりと」「そうなんすか、やっぱ試練の塔ハンパねぇですねー」 そこで口を挟んだのは意外にもスフィンだった。

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   試練の塔再び

     昼前頃にスフィンは目が覚めた。酒を飲んで寝るなんていつぶりだろうか。 少し痛む頭に、酔い覚ましの魔法を掛けて上半身を起こす。「って、なっ、なあああああ!?」 隣で寝ているマッサに気が付いてスフィンは飛び起きた。「な、何故貴様がここに居る!?」 その大声でマッサは目を覚ます。寝不足のクマができており、フラフラしていた。「おはようございます。何故ってスフィンさんが付き合えって……「私がそんな事言うわけ無いだろう!!!」「理不尽だ!!! 言いましたよ!!! 軍人としての心得を教えるって説教が数時間!!」 説教と言われ、あぁ確かに酒を飲むとよくそんな事をしていたなとスフィンは思う。「そ、そうか。それでも同じベッドで寝る必要は無いだろ!!」「お互い体力が尽きてバッタリですよ。多分」 自分に責があるので、あまり問い詰めることが出来ないスフィン。「……まぁいい」 それだけ言って立ち上がり、部屋を出た。「スフィン将軍!! おはようございます!!」 ラミッタが敬礼をして一階に降りてきたスフィンを迎える。「ラミッタか、どうやら寝過ぎたようだ」「あのー、おはようございます」 マルクエンもおずおずと挨拶をするが、ジッと見つめられ、目線をフンッと逸らされるだけだった。「それじゃ、朝飯っていうか昼飯でも食べましょうかね」 ふわーっと眠そうなあくびをしながらマッサも一階に降りてきた。 四人は椅子に座り、食事をする。「とりあえず。この後は冒険者ギルドに行って、国からの伝令待ちっすねぇ」 ゆで卵の殻を剥きながらマッサが言う。「そうか、分かった」 スフィンは短く言うと、また沈黙が流れた。「スフィン将軍はその……。この国で勇者になれーって言われたらどうします?」「答えは決まっている。ルーサへ帰れるならば私はなんだってするさ」 昼食を終えた一行は冒険者ギルドに向かって歩き始める。 その途中で、慌ただしく走るギルドのスタッフと遭遇した。「あっ、ギルドマスター!! 向かおうと思っていたんですよ!!」「どうした? 俺のことが恋しくなっちまったか?」「それは無いですね」 冷たく言われるマッサ。ギルドのスタッフは「そんなことよりも!」と言葉を続ける。「国から、いや、国と勇者マスカル様からの伝令が届きました!」 その言葉に一同はどんな

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   恋バナ!

    「それじゃカンパーイ!」 マッサが酒の入ったグラスを上に掲げると、ギルドに居た冒険者からも乾杯の音頭が返ってきた。「まぁまぁ、スフィンさんもそんな難しい顔しないで。美人が台無しだぜ?」「ふん、うるさい」 そっぽを向いてスフィンはワインを口にする。「……中々、美味いワインだな」 素直な感想を言ったスフィン。気を良くしたマッサは更に笑顔になった。「そうでしょそうでしょ? 料理も沢山あるからドンドンどーぞ!」 冒険者向けの味の濃い料理にマルクエン以外の三人は酒が進む。 やがて、ラミッタは頬を紅潮させ、スフィンも長い金髪を少し乱して酔っていた。「そうだ! いい感じに酔ってきましたし、王様ゲームでもやりませんか?」 マッサがニヤリと笑って言うと、スフィンは顔をガバっと上げる。「王国? イーヌ王国は潰す!!!」「いやいや、王国じゃなくて、王様」「王の首は取る!!」 こりゃダメそうだなと、マッサは笑っていたが、マルクエンは複雑な気持ちだ。「それじゃアレですか? 恋バナでもします?」 マッサがニヤニヤと笑いながら口にする。マルクエンは牛乳を吹きそうになり、ラミッタは顔を更に赤くした。「なーにが恋バナだー? 私は軍人になった時から女としての幸せは捨てた」 スフィンがフラフラになりながらも言うと、ラミッタも頷いた。「それに……。私の手はもう血に染まっている。こんな手で赤子を抱くことは出来ない」「そうっすか? 俺、そういうの気にしないっすけどね」 そう言われ、スフィンはマッサをジッと見つめる。「何すか? 何すか? もしかして脈あり? いやー、モテる男はつら」「いや、仮に軍人でなくともお前は無いな」「あびゃー!!!」 マッサは撃沈し、ショックを受けて大声を出した。 そんなスフィンの隣で、ラミッタは何だかシュンとしている。「どうしたラミッタ?」「な、何でもないわよ!!」 察したマッサが助け舟を出してやることにした。「マルクエン様は、好きになった相手が軍人だったら気にします?」「えっ、わ、私ですか? 私も気にしないですけど……」「ふ、ふーん」 ラミッタはそっぽを向いてマルクエンの言葉を聞く。「ふにゃー、もう飲めない……」 ラミッタは酔ってふにゃふにゃになり、その隣でスフィンはグビグビワインを飲んでいた。「何だ、だらしな

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   聖域での出来事

     階段を登った先にあるのは、正方形の石が敷かれ、大きく開けた場所だ。 その中心には大きな墓石と剣を掲げる男の像があった。その周りに例の箱が設置されている。「アレが勇者様のお墓と銅像だ!」 マッサがそう解説を入れてくれたが、大体は見れば分かってしまった。「ほう、それでアレが魔物が出てくる箱とやらか」「そうそう、ご明察スフィンさん」 四人は箱まで歩み寄り、見上げる。「この箱がどうやっても破壊できないのです」 ラミッタは剣で斬りつけるが、カァンと弾かれた。「なるほどな」 そう言ってスフィンが箱に手を触れる。 その瞬間だった。 スフィンが触れた部分を中心に、ガラス細工を壊すかのようにヒビが入り、箱が割れ、音を立てて崩れだす。「なっ!?」 驚くマルクエン。ラミッタも信じられないと口をポカーンと開けていた。「なっ、ちょっ、えぇ!? 何したんだスフィンさん!? 何かの魔法か!?」 マッサも目を丸くして驚く。「い、いや、私は何もしていないぞ!?」 スフィン自身も何をしたのか分からないでいた。 周りに居た箱の監視をしている衛兵もざわつき始める。 うーんと悩んだ後に、マッサは思いつき、スフィンに伝えた。「スフィンさん。他の箱も触ってみてくれないか?」「あ、あぁ」 何が起きているのか分からないスフィンであったが、他の箱に移動してまた手を触れてみる。 すると、先ほどと同じ現象が起きた。ヒビが入り、ガラガラと箱が崩れていく。「何だこりゃ!? 一体何が起きているんだ!?」 崩れた破片は氷が溶けるように、ゆっくりと消えていった。 残った六つある箱、全てに触れてみたが、例外なく砕ける。「アレだけ何をしても壊れなかった箱が、スフィン将軍が触れただけで壊れるなんて……」 ラミッタも信じられなかったが、目の前で起こってしまった事だ。信じるほかあるまい。「まさか、異世界から来た勇者だからってか!?」 マッサは興奮して言うが、スフィンは戸惑っている。「だが、ラミッタやイーヌの騎士は破壊できないのだろう?」「えぇ、私が身体強化を使い押してもビクともしませんでした」「スフィン将軍だけが持つ能力って事も考えられますが」 そう言った後。ラミッタは腕を組み、片目を閉じて考えた。「まっ、ともかくだ。これでこの街の脅威は去ったな!!」 マッサが笑

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   休戦協定

     空を飛ぶラミッタは着地し、話し続ける。「そして、勇者になった我々は魔物が現れる箱を壊すために各地を巡っています」「魔物が現れる箱?」 スフィンが聞き返すと、ラミッタは頷く。「少し、長い話になるかもしれませんが、こちらの世界に来て分かっていることをお話します」 ラミッタは、こちらの世界に来て起きた魔人との戦いを簡潔に説明する。「わかった。信じられない話だが」「異世界の勇者様もそんな事情があったなんてなー」 マッサも興味深げに隣で聞いていた。「それで、私はこの聖地の箱を壊しに来た所、スフィン将軍に出会ったのです」「そうか……」 スフィンは必死に状況を飲み込もうとしている。「ラミッタ。まず私はどうすべきだろうか」「やはり、この国に報告をするのが得策かと。もし、勇者として認められれば、行動もしやすいでしょうし……」「わかった。国へ戻るまで、イーヌの騎士。貴様とは休戦だ」「はい、わかりました」 マルクエンはそう返事をし、その場は丸く収まった。「さて、では早速その国と話がしたいのだが」「この街にも冒険者ギルドがあるんだ! そこで連絡石を使って報告してもらうよ」 マッサが言うと、スフィンの頭には疑問符が浮かぶ。「連絡石とは何だ?」「簡単に言うと、触ると遠くにあるもう片割れの石が光るっていう貴重で不思議な石でな。それで信号を送るんだ」「そんな不思議なものが……」「と言っても、距離はそこまで遠く出来ないから、王都に信号送るには何個も中継地点で繋いでもらう感じなんだけどねー」 マッサが説明すると、なるほどなとスフィンは納得した。「この街の箱について知りたいし、まずは冒険者ギルドかしらね」 話が纏まり、マルクエンとラミッタ。スフィンにマッサという珍妙なパーティは冒険者ギルドへ向かった。「ここが冒険者ギルドだ!」 建物は他の街よりもこじんまりとしているが、小さな街なので仕方がないのかとマルクエンは思う。「はーい、三名様ごあんなーい」 勢い良く扉を開けてマッサは中へと入る。「あら、マスター。お帰りが遅いので魔物にやられたかと思いました」「いやーん。冷たいこと言わないでー」 ギルドスタッフの女にマスターと言われるマッサを見て、マルクエンはまさかと思う。「その、マスターって事は?」「あぁ、俺はこの街、チターで冒険

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   再会

     女の名がわかった所で、笑顔を作りマルクエンは言う。「シヘンさんですか、よろしくお願いします」「い、いえ、その、マルクエンさんのお国の……」 シヘンは先程言われた国名を忘れてしまい、察したマルクエンがもう一度言う。「あぁ、イーヌ王国です」「そう! イーヌ王国……。ごめんなさい、聞いたことがありません」「そうですか……」 イーヌ王国は決して小さな国ではないので、名を知らぬという事は、よほど遠い地なのか、もしくは本当に死後の世界なのか。「あの、どうしてマルクエンさんは森に?」 シヘンに聞かれ、マルクエンはうーんと悩み言った。「えぇ、とても信じられない話なのですが、気付いたらこ

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   決闘

    「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」 一人の女が赤面しながら男を指差し言う。 そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』に決闘ではなく、結婚を。プロポーズを受けた。 騎士と魔剣士が剣を構え、対峙していた。互いの背には軍勢が半円状に並んでいる。 一人の名は『マルクエン・クライス』と言い王国騎士の男だ。前髪をかき上げた少し長めの金髪に重厚な白い鎧を身に纏っている。 もう一人は『ラミッタ・ピラ』魔剣士の女だ。肩より少し長めで切りそろえた茶髪に白と茶のヘアバンドをし、黒を基調とした軽装備で、左肩に赤い肩当て。 互いに別の国に仕

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   共闘

    「お、お前、生きていたのか!?」 マルクエンは動揺して言った。同じ様に焦るラミッタも言葉を返す。「いや、まって、宿敵、なんでアンタがここに!?」 互いに混乱し、上手く言葉が出て来ない。代わりにシヘンがマルクエンに声を掛けた。「お知り合いなんですか?」「い、いえ、知り合いというか、知ってはいるのですが」「えー、何スか? もしかして痴話喧嘩とかー?」 ケイはにやにや笑いながら言った。マルクエンは顔を赤くして言葉を返す。「いや、決してそんなものでは」 そんなやり取りをしていると、村人が血相を変えて冒険者ギルドに入ってきた。「た、大変だ!! ゴブリンと魔物の群れが村に襲いかかって

  • 別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが   二人で

    「昔から身体強化は使っていたみたいだけど、あの青いオーラの奴は魔力の消費が特に激しそうね」 ラミッタの言葉にマルクエンは頷いて答える。「あぁ、物凄い疲れるぞ」「身体強化にしろ、光の刃にしろ、宿敵は魔力を100出せば良い所を、120ぐらいで使っているから疲れるのよ」「なるほどな……」 ラミッタの指摘を理解は出来たが、どうすれば良いのかわからない。「まぁ、これは数こなして慣れしかないけどね」「だが時間がないな……」「そうね……」 二人の間にしばし沈黙が流れる。 それを破ったのはラミッタだった。「今、出来ることを考えましょう」「そうだな。ラミッタと連携をしてヴィシソワさんを

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